犬の熱中症の症状、特に注意が必要な犬は?獣医師が徹底解説!

今年は猛暑が予測され、梅雨明けから暑い日が続いています。TRVA夜間救急動物医療センター(東京都世田谷区)院長の中村篤史先生によれば、比較的涼しかった6月の時点で、熱中症の急患が訪れていたそうです。実は人より犬のほうが危険ってホント? 熱中症を正しく理解するために、中村先生に聞きました。

<教えてくださった先生>
TRVA夜間救急動物医療センター 院長 中村篤史先生中村先生プロフィール_200

城南地区を中心とした東京都獣医師会所属動物病院により設立された、夜間救急を専門とする動物病院。ホームドクターの診療時間外である夜間の急患に対応する。院長の中村篤史先生をはじめ、緊急処置に特化した経験豊富な獣医師や看護師が勤める。
愛犬はフレンチ・ブルドッグのちゅべくん(オス・10歳)。
TRVA夜間救急動物医療センター

 

熱中症、体の中では何が起こっている!?

熱中症は炎天下で運動させたり、エアコンが故障したりした時に発症する、特別な病気と思っていましたが……

「実は日常生活の不注意や事故で、元気な犬がすぐ亡くなる危険な病気です。短時間で急激に進行し、来院したその日のうちに亡くなってしまうこともあります。交通事故や中毒といった命に関わるリスクと同じレベル。熱中症は高体温、脱水、低酸素を同時に引き起こし、重症の場合は50%の確率で亡くなります

中村先生

発症すると、体の中ではどのようなことが起きるのでしょうか?

高体温
体内のたんぱく質の変性が起き、全身の毛細血管に血栓ができて血液が酸素を運べなくなり、臓器が壊れてしまいます。

脱水
水分が全身に行き渡らなくなります。水分不足はまず胃腸や皮膚から始まり、やがて重要な臓器である、腎臓や脳、心臓に至ります。

低酸素
パンティング(舌を出してハアハアと荒い呼吸)が続くとのどが腫れ、呼吸がしづらくなってしまいます。

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写真は運動後のイメージ。呼吸を自力でコントロールできない状態は要注意です。

「人では『頭が痛い』『のどが渇いた』と自覚症状があった時点で、すでに中等症以上の段階! 飼い主さんが少しでも早く異変に気づき、対処してあげることが重要です。日頃から愛犬の体温や体調を把握しておきましょう。体温は、耳の中に手を入れたり内股を触ったりして、目安の温度を知っておくだけでも十分で

熱中症の発症前から重症まで、4段階に分けられます。

➤発症前
・呼吸が速くなる ・体温が高い

➤軽症
・呼吸が落ち着かない ・体温が下がらない

➤中等症
・嘔吐 ・下痢

➤重症
・血便 ・吐血 ・不整脈 ・けいれん ・意識障害

 

犬は熱中症になりやすいってホント?

人の熱中症は研究が進み、さまざまな対策が周知されています。犬に関する情報はその後を追っている段階。しかし、犬は人より熱中症の危険が高い動物だそうです。

「犬は毛皮を着て真夏も過ごしています。人より体高が低く、地面からの輻射熱を受けやすい。体温を下げる手段が呼吸による放熱で、人のように発汗で効率よく体を冷やすこともできません。犬種や持病の有無などによってさらにリスクが高まるので、もし愛犬が当てはまる場合は、念には念を入れた注意が必要です

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シベリア原産のサモエドなど、寒い地域原産の犬種は豊富な被毛に覆われているので、一層注意が必要です。

【特に注意が必要な犬】
短頭種(フレンチ・ブルドッグ、シー・ズー、チワワなど)
➤8歳以上の高齢犬
➤6ヶ月齢未満の子犬
呼吸器にトラブルを抱える犬(軟口蓋、気管虚脱、喉頭麻痺など)
心臓病を抱える犬
腎臓病、甲状腺の病気、消化器系にトラブルを抱える犬(脱水を生じやすい)
肥満の犬
黒くて毛が密集している犬、北方原産の犬(シベリアン・ハスキー、サモエドなど)
➤興奮しやすい犬
➤散歩の時にリードを引っ張る犬

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黒くて毛が密集したMIXの犬。熱を吸収する黒色と、熱がこもりやすい被毛を備えた犬は、熱中症のリスクが高まります。

私の愛犬・ジュウザは日本原産の甲斐犬。暑さにも強いはず と思っていたら、8歳以上の高齢犬、腎臓病、黒くて毛が密集している犬… なんと 3項目も当てはまりました。油断は禁物ですね。

次回の「予防と対処編」では、熱中症から犬を守る方法を紹介しましょう。

(文・構成:金子志織)

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金子志織

編集&ライター、愛玩動物飼養管理士1級、防災士、ヒトと動物の関係学会会員、いけばな草月流師範 前職はレコード会社でミュージシャンのファンクラブ運営を担当。そのときに思い立って甲斐犬を迎える。初めての子犬の世話に奮闘するうちに動物への興味が湧き、ペット雑誌や書籍を発行する出版社に転職。その後、フリーランスのライター・編集者として独立。飼い主さんと動物たちの暮らしに役立つしつけや防災の記事から、犬のウンチングスタイルなど雑学の記事まで作成。現在も犬と猫を中心に、ペット関連のさまざまな雑誌、書籍、We…

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