愛犬はいいウンチをしていると、自信を持って言えますか?ウンチはクサくて汚いイメージがあるかもしれませんが、健康状態を教えてくれる大切なバロメーター。ウンチがゆるくなったり便秘になったりするのは、体の中で何らかのトラブルが起こっているサインです。
腸内環境を整えて体を健康に保つ「腸活」は、最近、犬でも注目を集めています。動物の腸内フローラ(腸内細菌叢)を研究する麻布大学小動物内科学研究室の五十嵐寛高先生に、犬のウンチと腸内環境について教えていただきました。
麻布大学獣医学部獣医学科 小動物内科学研究室
五十嵐 寛高先生

2005年北海道大学を卒業。神奈川県の動物病院勤務や東京大学で研修医(内科)を経験したのち、2015年に東京大学大学院で博士(獣医学)取得。その後、酪農学園大学勤務を経て2017年10月より麻布大学講師。専門は消化器内科学・免疫学。
愛犬のおなかは大丈夫?犬にとって理想的なウンチってどんなもの?


ウンチの変化は飼い主が気づきやすい体の異変のサインです。トイレで片づける時に、「いつもよりもやわらかい」「ちょっと硬いかな」など、直接確認することができるので、多くの飼い主が「愛犬がおなかの調子をくずしたことがある」という経験をしています。

おなかの調子がくずれる理由は、とてもたくさんの原因が考えられます。ウンチの状態には日によって若干の違いがありますし、そのコの個性もあります。ウンチからのサインをしっかり受け止めるためには、愛犬の普段の健康なウンチの状態を観察して把握しておくことが大切です。



Check1:形
ウンチの形は水分量によって決まります。理想的なのはスルッと1本で出て、形がしっかり整っている状態。コロコロと切れるようでは水分不足で便秘気味、形がくずれているのは水分が多い軟便や下痢だと考えられます。
Check2:硬さ
ティッシュペーパーでさっとつまめて、ペットシートにウンチの跡が何も残らないのが理想的な硬さです。つまんで跡が残ったりティッシュペーパーでつまめなければゆるすぎ、ティッシュペーパーでつまめてもコロコロしていたり、乾いた感じがしているウンチは硬すぎです。
Check3:色
理想的なウンチの色は茶色〜焦げ茶色。消化不良があると黄色や白っぽくなり、消化管のどこかに出血があると血便になります。赤い鮮血が付いている時は大腸からの出血、真っ黒いウンチは胃や小腸などからの出血が疑われます。

ゆるい、硬い…ウンチの状態はどうして変わるの?


口から取り入れた食べ物は胃で分解され、小腸でさらに消化して必要な栄養素を吸収し、不要なものは大腸へと運ばれます。大腸では必要な水分やミネラルを吸収して、残りをウンチとして体外に排泄しますが、水分の吸収具合によって、下痢になったり便秘になったりします。
●下痢の原因
食事性、薬物・異物の摂取、ウイルスや細菌、寄生虫などの感染症、消化器系の病気、消化器以外の病気の症状など、たくさんの原因が考えられます。大きく分けて「小腸性下痢」と「大腸性下痢」があります。
小腸で栄養分や水分をうまく吸収できずにゆるくなるのが「小腸性下痢」で、ウンチの回数は普段とさほど変わりませんが、水分を多く含みウンチの量は増加します。
一方、大腸にウンチをとどめておくことができず、水分を調節する前に排泄されることでゆるくなるのが「大腸性下痢」で、ウンチの量は普段とあまり変わらないものの回数が多くなり、出したいけれど出ない様子(しぶり)が見られることもあります。


環境の変化などでストレスを感じると、自律神経の乱れなどによって消化器の動きの調整がうまくできなくなったり、腸内環境のバランスがくずれたりすることで下痢をすると考えられています。思い当たるストレスの原因がある場合には、それを取り除くことでほとんど治まります。

●便秘の原因
体が脱水していると、ウンチからも水分がたくさん吸収されるため硬くなります。オシッコの量が増えて体に脱水が起こる「慢性腎臓病」などの病気が原因のこともあります。
また、病気や老化などで大腸(結腸)の動きが悪くなると、ウンチが出せずに硬くなることがあります。硬くて出し切れないウンチが大腸にとどまり、さらにカチカチになって便秘が悪化します。不溶性の食物繊維を大量に摂取したり、毛球(抜け毛)などウンチが硬くなる成分が含まれる時にも便秘になります。
このように下痢や便秘の原因は実にさまざまです。ウンチに血液が混ざる、嘔吐する、元気や食欲がないなどの症状が合わせて見られる場合は、動物病院を受診してください。
健康なウンチを出すために、愛犬にできる「腸活」は?


人の消化管内には1000種以上、100兆個以上の腸内細菌が生息しているといわれ、バランスを取りながら腸内環境を整えています。いろいろな種類の腸内細菌が種類ごとにまとまって腸の壁に生息している様子がまるで花畑(フローラ)のように見えることから「腸内フローラ」あるいは「腸内細菌叢」と呼ばれます。
人だけでなく犬や猫の腸内にも同様に「腸内フローラ」が存在することが知られていて、近年、さかんに研究が行われています。腸内細菌が酵素を出して消化を助けたり、消化しにくい食物繊維を分解してエネルギー源として利用しやすい栄養素に変えたり、免疫のバランスを整えたりなど、健康のために大きな役割を果たしていることが知られていて、腸内フローラは「もう一つの臓器」とも捉えられています。臓器なので老化とともに機能が低下することがあります。



腸内細菌には、ビフィズス菌や乳酸菌のように体にとってよい働きをする「善玉菌」、大腸菌やウェルシュ菌のように有害物質を作るなど体に悪い影響を与える「悪玉菌」、悪玉菌と善玉菌いずれか優勢なほうに味方する「日和見菌」があり、一定のバランスで腸内環境を保っています。健康のためには、善玉菌が優勢で悪玉菌の増殖を抑えていることが大切で、何かのきっかけで悪玉菌が増えると、下痢や便秘などの原因になったり、免疫力が下がったりします。
腸内環境は、生活環境、ストレス、老化、食事などによっても変わってきます。つまり、犬の「腸活」とは、腸内環境を左右するこれらの要因をベストな状態に整えることです。まずは愛犬にストレスのかからない生活環境を提供すること。老化には逆らえませんが、年齢に応じて必要なカロリーや栄養バランスを考えてつくられているライフステージに合った食事を与えることは重要です。

さらに最近、より積極的な「腸活」として、人と同様、プロバイオティクスが注目されています。プロバイオティクスとは体に有益な生きた微生物のことで、摂取することにより、腸内の善玉菌を増やし、その働きを活発にして腸内環境を整えてくれます。そして、このプロバイオティクスの栄養源となるのがプレバイオティクスと呼ばれる成分で、一緒に摂取することで、より高い効果が期待されます。
最近では、こうした考え方を取り入れ、腸内環境を整えることに配慮したドッグフードも登場していますので、そういうフードを選択するのも一つの手段です。
食事は健康な体をつくる基礎になるもの。日々のウンチの状態をしっかり観察しながら、愛犬と相性のよいフードを選ぶとよいでしょう。
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