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日本の動物愛護の現状と未来とは?

フェンスの向こうで遠くを見つめる
近年、動物愛護の波は、大きなうねりをあげています。ここで一旦立ち止まり、現状はどうなっているのか、今後の動物愛護・動物福祉の発展のために、どう向き合っていったらいいのかを考えるべく、『保護動物の福祉とは?海外の動物福祉に学ぶ』の記事に引き続き、(株) Mr. Mac/ミスターマックアカデミー主催によるセミナーの後編をお送りします。

セミナーの後編は、西山先生、渡辺眞子さん、浅田美代子さん、お三方による『今回の法改正で学んだこと~動物愛護の現状、問題点と改善案、動物の福祉の実現に向けて~』と題したパネルディスカッションとなりました。

<講師>
西山ゆう子先生
獣医師(アメリカ、日本)、シェルターメディスン専攻、獣医法医学認定医。長年にわたり、動物愛護や動物虐待、医療ネグレクト、地域猫などの問題に関わり、それらをテーマとした講演や執筆活動も行っている。『不妊去勢手術の母』とも呼ばれる。

渡辺眞子さん
作家、『Free Pets』代表。『捨て犬を救う街』(KADOKAWA、2000年)の取材をきっかけに、動物の問題や、人と動物それぞれの福祉をテーマにした執筆や講演活動を続けている。他に、『ハルの日』『犬と、いのち』など作品多数。
Free Pets

浅田美代子さん
女優、タレント、『Tier Love』代表。ドラマ『時間ですよ』で大ブレイクして以来、現在も映画『エリカ38』で主演を務めるなど第一線で活躍。自身を支えてくれた愛犬への想いを胸に、ロビー活動はもとより動物保護の現場まで、人と動物との未来のために奔走している。
Tier Love

日本の動物愛護・動物福祉の現状

セミナーの前編『保護動物の福祉とは?海外の動物福祉に学ぶ』では、海外の取組みを知ったところで、日本の状況はどうでしょうか?

芝生の上で伏せる雑種の子犬
不適切な繁殖業者により、糞尿まみれの中で飼育されて、生まれた子犬はペットショップに回され、50~60万円で売られているケースもある

6月に動愛法が改正となり、新たな一歩とはなりましたが、直前になって8週齢規制から天然記念物指定を受けた日本犬は外されるというどんでん返しがありました。
参照:記事末尾『動物愛護管理法の主な改正点(2019年)』

各種数値規制に関しては、すでに検討会が重ねられており、今後、基準値が決められていくのでしょうが、そのエビデンスとなるものを求め、環境省では実際にイギリスやドイツ、フランスなど海外現地へ出向き、各国の法令・条令・ガイドラインの資料を集めてきました。

しかし、一方で、日本犬の8週齢除外に関しては、エビデンスが求められることなく法改正されていることに、”政治的な矛盾”を指摘する声が挙がっているのも事実です。加えて、これまでの法改正の流れを見ると、数値規制にしても望ましいものに届くのか不安を感じるとの声もあります。

道を向こうから走ってくるコーギー犬とヨーキー
譲渡不適格と判断されて処分された個体は、殺処分数としては公表されない

また、保護活動をするも、残念ながら施設が崩壊するケースもある他、不適切な飼育者に対して行政の指導がうまく行きわたらないケースも見られます。

Mr.Macアカデミーでパネリストとして語る浅田美代子さん
「ひどい飼育状態でも、第一種動物取扱業の免許が更新されているケースもあります」と自ら目にした例を語る浅田さん

動物の流通に関しても、依然、不透明なところがあることは否めません。

Mr.Macアカデミーでパネリストとして語る渡辺眞子さん
「殺処分数が減っている反面、もしかしたら流通の途中で死んでいく動物は増えているのかもしれません。それはカウントされずに闇の中に消えていく命です…」(渡辺さん)

そして、殺処分数が減っているのはいいとしても、”ゼロ”という数字ばかりこだわり過ぎ、大事なことが置き忘れられているのでは?という声が上がるようにもなっています。

広い芝生の上でちょこんと座る子犬の後ろ姿
「殺処分”ゼロ”」が目標となり、”ゼロ”という数字だけが独り歩きをしている現状がある

日本の動物愛護・動物福祉は今後どう向き合うべきか?

そうした現状の中、浅田美代子さんは、「業者を守るのではなく、命を守るための法をつくって欲しいです。何が適正で、何が違うのか、その判断基準となるよう、数値規制はしっかりつくらないとなりません。数値規制がきちんと法律に盛り込まれないと、取締りも難しいのではないでしょうか。大きな民意は事を動かせる、そのためにみなさんの声は大事です」と主張します。

西山先生からは、「世界的基準が日本の状況にもあてはまるかは別として、基準をつくるには現場の声を届けることが一番の近道でしょう。ですから、保護活動をする人たちは、世話にかかる時間や、これだけのスペースは必要など公表していきましょうよ。そして、日本でもアシロマー統計を始めませんか?」と呼びかけがありました。

ぐっすり眠る2匹の子猫

さらに、「インスペクター※1は台湾にもおり、先進国でいないのは日本くらいでしょう。取り締まることは啓蒙活動にもつながります。今後は、日本にもインスペクターが必要なのではないでしょうか」との提案もありました。

一人一人が身近な問題として感じることが大事で、現状を知り、そこから自分は何ができるのかを考えて実行することが第一歩だと思います。そして、今後を考えるともっと若い人たちに、偏見をもたず、動物愛護に参加して欲しいです」とは渡辺眞子さんの言葉です。

※1  インスペクター:不適切な動物飼育をする人への指導や、違反者の取り締まりなどを専門に行う職種

第34回Mr.Macアカデミー講師4名
向かって左から、西山ゆう子先生、浅田美代子さん、渡辺眞子さん、MCを務めた女優の菊地由美さん

動物愛護や動物福祉と聞くと難しい言葉のように感じるかもしれませんが、その実、動物たちはもちろん、動物を愛する人たちみんなに深く関わる言葉でもあります。

人と動物とのよりよい未来を望むのであれば、私たち一人一人の意識が大きな力となるはず。みなさんにとって、未来の動物との暮らしとは? そのためにできそうなことは? 友だちや周囲の人に現状や今の流れを話すだけでも立派な力です。そうしたものこそ、今、もっとも求められているのではないでしょうか。

※犬猫の画像はイメージです

参照)

■動物愛護管理法の主な改正点(2019年)

●生後56日に満たない子犬や子猫の販売・引き渡し・展示を禁止。ただし、天然記念物指定を受けている日本犬は生後49日とする特例付き。

●動物を殺傷した場合は懲役5年以下、または500万円以下の罰金。虐待や遺棄は懲役1年以下、または100万円以下の罰金。虐待には、ケガをするおそれのある暴行をくわえる(させる)、飼育密度が著しく適正を欠く状況での衰弱、などが含まれる。

●犬や猫を取得した日(生後90日以内の犬猫は90日後)から30日(それまでに譲渡する場合は譲渡日)までの間に、販売業者においてはマイクロチップ装着を義務とする。一般飼い主の場合は努力義務。

●マイクロチップに関して、以下は義務となる。装着した人による登録/住所など変更があった時の届出/すでに装着した犬猫を取得した人による変更登録。

●犬にマイクロチップを装着し、その登録があれば、狂犬病予防法による登録・鑑札は不要。

●動物を販売する時、その動物の状態を見せ、飼育方法などを説明する(対面販売)場所は「事業所」と限定される。つまり、代理の者が遠方に出向いて説明するようなことは不可。

●動物愛護センターや保健所などに、飼い主のわからない犬猫を引き取って欲しいと要望があった時、相当する理由がないと判断できる場合は拒否できる。

※改正法は公布日から1年以内に施行されるが、犬猫の56日規制は2年以内、マイクロチップ関連は3年以内に施行。

 

<セミナーのご案内>
Mr.Macアカデミー第35回
「犬と暮らすということ 第3弾」

日時:2019年9月19日(木)18:30~20:30
場所:渋谷区文化総合センター大和田 学習室1
参加費:2,500円詳細・チケット購入はコチラから

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