イヌそれぞれの個性や表現方法で対応を
我が家の社交的で愛想のいい慎之助(10歳)ですが、そろそろ日々の体調の変化がとても気になります。高齢であるだけにさまざまなケアが必要にもなってきています。
高齢犬モデルとして、油木先生にTタッチをしてもらったところ、腹部に硬さがあるということで、リフト*をしてもらいました。すると、慎ちゃんお腹を見せはじめたんです。
「これは服従とか気持ちがよいということではなく、“今は止めてよ”というサインなんです。こういった“ストレスサイン”や“カーミングシグナル”といったイヌの気持ちの表現方法を知っておくと、イヌにとって不快なことをし続けることがなくなります。手でのリフトを嫌がるようなら、寝ている敷物を使うのもいいでしょう。
*リフト:布や手でやさしく持ち上げ、皮膚を上下させる。
また、寝たきりになってしまった場合は、ラップ(後ほど説明)をこうしてかけておくだけでも刺激になります。寝たきりであっても、ラップの使い方によっては歩けるようになる場合もあるんですよ」
なるほど、ちょっとのコツを知っていれば、飼い主さんでも簡単にケアしてあげることができますね。
普段の生活のなかで、年齢関係なくどんなコにもしてあげたいのが“口”と“耳”へのタッチだといいます。
「口」は唇と口の中にタッチ(マウスタッチ)します。口は、タッチをしてあげることで、恐怖を感じるコや神経質なコ、慢性的に吠えるコなどには効果があるといいます。
「よく吠えるコは、吠えることが惰性になっていることもあり、ストレスになっています。口にタッチ刺激を与えるだけで、イヌは“また吠えちゃったな”と気が付きます。口を刺激することで、学習の中心でもある大脳辺縁系が活性化されるので、どんなコにもしてあげるといいですね」。
できるだけ写真のようにイヌの後方からゆっくりと行なう。唇や歯茎にもタッチ。
「耳」のタッチは緊張をほぐす、落ち着かせる、なだめるといった効果があるので、緊急時にも対応できます。耳は人でもそうですが、全身に影響する多くの“ツボ”が集中しているため、動物でも耳の根元を回したり、耳たぶをスライドしながらTタッチしていくことで、多くの状況、場面に適応できるのです。
「耳はイヌにとっても気持ちのいいところですよね。スパニエルなどの耳の長い犬種やアトピーのあるコは外耳炎など耳にトラブルを抱えやすいので、耳のTタッチは毎日のケアに取り入れるといいでしょう」
耳たぶを親指で円を描きながら、耳たぶがない毛先まで行なおう。
耳の根元もクルクルとやさしく回す。最初回したときはコリコリしていました。
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テリントンTタッチプラクティショナー2
Tタッチ・ラビット・アソシエイト認定
油木真砂子 先生
また、「優良家庭犬普及協会認定GCTサブジャッジ」としても活躍中。