教えて中村先生!どうすれば口の中を触らせてくれるの?
歯ブラシで本格ケアができるようになることをめざす、オーラルケア講座シリーズ。第2回は、どうすれば愛犬が口の中を触らせてくれるようになるのか、また歯ブラシケアへの準備編として、歯みがきシートやスポンジブラシを使った「こすりみがき」にチャレンジします。
教えていただくのは、前回に続いて、ペットのデンタル教室の講師として活躍する中村先生。今回も3組・4頭の飼い主さんと愛犬たちにご参加いただきました。
【講師:中村恒彰先生 プロフィール 】
中村恒彰 先生
獣医師の資格をもち、ライオン商事でペットの口腔内トラブル解消を目的としたデンタルケア製品や、歯みがき指導プログラムの開発に携わる、ペットのデンタルケア・オーラルケアのプロフェッショナル。
口のまわりを触られても大丈夫にする
マズルはとても敏感な場所なので、たいていのワンちゃんは口のまわりを触られるのを嫌がります。普段、ブラッシングやスキンシップのついでに、指先や手のひらで触れてみてください。
おとなしく触らせてくれたらごほうびを与え、口のまわりを触られるといいことがあると思わせましょう。
▲お口に触られるのが苦手なアリーちゃん。前足で懸命にブロック!
▲お利口に触らせてくれたら、すかさずごほうび。いいことあるね!
▲食いしん坊の方が上達が早いですよ と中村先生。アリーちゃん!続けようね
口の中を触ってみる
口のまわりが大丈夫になったら、今度は、口の中に指を入れて、歯や歯肉に触ってみます。最初は、指に愛犬の好物の肉汁などをつけて行うといいでしょう。切歯(前歯)や犬歯など、触りやすい場所から始め、短時間で切り上げてください。
しつこく続けていると、次から触らせてくれなくなります。
▲無理やりは厳禁! 短時間×回数 で、徐々に慣らせて。すぐに慣れるコもいれば、何日(何週間)もかかる場合もありますので、根気よく。
指で歯の並びや形状を確かめる
慣れてきたら、指を奥のほうまで入れて、指で歯の並びや形状を確かめます。
このように指で愛犬の歯がどうなっているのかを確認しておくと、後々、歯みがきをするとき、よく見えない奥のほうも、愛犬の歯列をイメージしながらみがくことができます。
▲犬の歯列は奥のほうで膨らんだ洋ナシ型をしています。普段から指で触って、形状を覚えておきましょう。
歯みがきシートを使ってみよう
口の中を触らせてくれるようになったら、歯みがきシートを使って、こすりみがきをしてみましょう。ガーゼやシートを使ったデンタルケアは、飼い主さんの指の感触が感じられるので、愛犬も比較的受け入れやすいんです。
歯みがきシートは、ワンちゃんがくわえて引っ張っても抜けないように、しっかり指に巻きつけるのがコツ。最初は軽く歯にタッチする程度で、あまりゴシゴシこすらないこと。 前歯から始めて、奥歯へと進めていきます。慣れてしっかりみがけるようになると、シートに歯垢がついてきます。
【歯みがきシートの装着方法】
①シートをタテに2つに折って、間に指を挟みます。
②シートを下から上へと指に巻きつけていきます。
③きつく巻いておかないと、ワンちゃんがくわえて持っていきかねません。
▲お口に触られることに慣れているチェリーちゃん。歯石のつきやすい第4前臼歯の先端の凹みも、指先を使ってしっかりみがいていきます
▲デンタルケア初心者のアリーちゃんは、前歯にそっと触れるところからスタート
▲パイ君も。このようにシートの巻きがゆるんできたら、巻き直しを。指に密着していることで、愛犬もシートに違和感を感じずに指みがきをさせてくれます
▲しっかりみがけると、シートに歯垢がついてきます
スポンジブラシで、ブラシみがきの練習
歯みがきシートでの「こすりみがき」ができるようになったら、いよいよ歯ブラシによる歯みがきへとステップアップしたいところです。
ところが、ワンちゃんは口の中に硬いものが入るのを嫌がります。飼い主さんの指の感触が残るシートから、いきなり硬い歯ブラシへの移行は少しハードルが高いかもしれません。
そこで、移行期の練習として、スポンジブラシを使ってみるのも一つの方法です。スポンジ部分を水でぬらしたり、歯みがきジェル(ペット専用)をつけて、すべりをよくしてトライしてみてください。
▲片方が通常の歯ブラシ、もう片方がスポンジブラシになっているツインヘッドの歯ブラシ。犬が好きなテイストの歯みがきジェルを付けて・・・
▲できれば二人がペアになって行うと、みがきやすい
歯ブラシによる本格ケアを始める前の練習用として、重宝なアイテムです。▲歯ぐきにやさしい「波型スポンジ」が歯にフィットして、隙間の汚れをきれいに磨けます。歯ブラシに抵抗があるワンちゃんもこれならOK!
後編は、「“こすりみがき”がうまくできなくて・・・」、
そんな相談に中村先生がお答えします >
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〈受講生の皆さん〉
石合さんと
チェリーちゃん(左:柴犬・♀・10歳)、ベガちゃん(柴犬・♀・5歳)
「口は触らせてくれますが、歯ブラシは苦手。とくにチェリーは歯石が気になっています」
斉藤さんと
パイ君(フレンチブルドッグ・♂・6歳)
「一度、歯ブラシを使ったら、引っ張りっこ遊びになって、先っぽを飲み込んでしまったので、今は、ティッシュでふいています」
増井さんと
アリーちゃん(トイプードル・♀・7歳)
「3歳のときに歯石を除去しました。シートも歯ブラシも嫌がるので、ほとんどお手入れはできていません」
[PR] ライオン商事株式会社
歯ブラシによる本格ケアを始める前の練習用として、重宝なアイテムです。▲歯みがきシートは、しま模様の表面の凸凹部分が汚れ(歯垢)をきれいに拭き取れます。指にキッチリと巻きつけて使うのがコツです