※この画像はイメージです。
犬の気持ちがわかっていない、行動の意味を読み違えている、そもそもしつけのしかたが間違っている・・・。愛犬の困った行動の多くは、実は飼い主さんの誤解や知識不足から生じています。今回は、愛犬の問題行動とその改善策について、ケーススタディから学びましょう。
〔ケース③〕
2頭目を迎えてから、聴覚障害のある先住犬が母に攻撃的な態度を示すように
両親と私(娘)で、耳の聞こえないフレンチ・ブルドッグのクーパー(仮名)と、ゴールデン・レトリーバーのラナ(仮名)を飼っています。ラナを迎えてから、クーパーが食事の後に母に唸ったり、手を咬んだりするようになりました。ラナが母に甘えると、ラナに唸ることもあり、それを母が叱ると母にも攻撃的な態度を示します。同じ状況でも私と父にはしません。
愛犬のプロフィール(仮名):クーパー(去勢済オス・2歳) ラナ(メス・7カ月)
問題点はここにあった!
●基本的なしつけがされておらず、社会性に乏しい
クーパー君は耳が聞こえないということで、基本的なしつけがほとんどされておらず、社会性が乏しく、他者や他の犬に対して攻撃的な態度を示していました。
●お母様と、娘さん・お父様とでは犬への接し方が違っていた
お母様は耳の聞こえないクーパー君を甘やかしていましたが、娘さんとお父様は、クーパー君が悪いことをしたら、強引におなかを見せる姿勢をとらせるなど、威圧的なしつけをしていました。2人に攻撃行動を示さないのは、2人が恐い存在になっていたからで、その腹いせがお母様に集中していたんです。
●たたくそぶりをしていたのが、唸る原因に
クーパー君に服従姿勢をとらせることのできないお母様は、叱るときに、しばしば手を上げてたたくそぶりをしていました。お母様が立ち上がってアイコンタクトをしたり、トレーニングをしようとするとクーパー君が唸るのは、そのためでした。
こうして改善!
1.基本的なトレーニングをスタート
耳が聞こえないぶん視覚が敏感で、ハンドシグナルを用いた合図はとても有効でした。何でもクーパー君の言いなりだったのを、要求が出た際には「おすわり」など簡単なコマンドを与え、応じたときのみ受け入れるようにしました。
2.威圧的なしつけはすべて取り下げる
犬のしつけは、お子さんでも年配の方でも、家族全員が統一して行える方法であることが大切。かつ犬に対して威圧的でない方法がベストです。仰向け姿勢をとらせたり、たたくそぶりをするといったやり方はすべて取りやめに。
3.食後の接し方を変更
食後にお母様への攻撃行動が出やすかったので、食後に5~10分程度のトレーニングを行い、感情をコントロールできるように。クーパー君が穏やかにお母様やラナちゃんと接することができたときはほめてもらいました。
4.ラナちゃんのトレーニングも同時に行う
問題のあるコに目が向きがちですが、どちらの犬にもトレーニングは必要です。
コメント
このケースでは、ラナちゃんを迎えたことで問題行動が出てきました。多頭飼育は1頭目の愛犬にきちんとした社会化としつけができている場合は、その犬が新入りをしつけてくれるのでラクですが、そうでない場合、2頭目を迎えるのは大きなリスクを伴うことを知っておいてください。
☆次回は「多頭飼育」のタイミングの大切さと注意点について。お楽しみに!
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