昨年の冬から今年にかけて、ご自宅を猫様仕様に改装した実例をご紹介したいと思います。
クライアントは杉並区で猫20匹と楽しく暮らす女性です。仕事の傍ら、個人的に猫の保護活動(TNR)もしている猫大好きな方です。
前回の住宅実例〈第2弾〉で紹介した猫使用マンションの見学会に参加、大好きな猫たちに私の家もこんな素敵な仕掛けを作りたい!と感激して頂き、依頼がきました。
まずはご自宅を訪問し、猫たちの様子などを見せてもらい、どんなことを希望しているかをお聞きしました。
クライアントの要望として上げられたのは、
1、野良猫を保護しているので、相性の悪い猫同士が喧嘩しないよう部屋を仕切りたい。
以前、工務店に透明なアコーディオンカーテンで仕切ってもらったが、猫がアコーディオンカーテンの下側から出入りしてしまい、結局ダンボールなどを置いて防いでいる。さらに風や冷暖房が通らず、各部屋ごとにつけるため効率が悪い。
2、たくさんの猫たちがいるので、床だけでは猫のテリトリーが狭く、ストレスがたまってトイレ以外でオシッコをするなど、問題行動がある。空間を使って猫のテリトリーを増やして、猫それぞれに落ち着いた空間を提供したい。
3、見学したお宅のように、ガラスのキャットウォークをつけて、猫のお腹や肉球を楽しみたい。
4、吹抜けがあるのでここを利用し、猫を高窓まで行かせて、高い所から外を見せてあげたい。
5、窓には脱走防止用の格子や網戸をつけたい。
6、何より猫たちが楽しめるお部屋にして欲しいし、楽しんでいる猫を見ることで、自分たちやお客様も幸せを感じたい。
以上の要望をもとに図面を描き、打合せを重ね、お酒も酌み交わして3期に分けて作り上げました。
■要望1について(部屋の仕切り)
■要望2,3について(空間利用、キャットウォーク)
■要望4,5について(吹抜け利用、脱走防止対策)
吹抜け上部に猫が行けるようにするのは、問題を確認してから!
基本的に掃除ができない吹抜け上部などに、猫が行けるようなステップはつけないのですが、クライアントの強い要望で、掃除ができなくても構わないから作ってほしいという決心があれば、きちんと確認してから制作し、設置します。
また、猫を病院に連れて行かなければならないなど、猫の捕獲が必要なときも、高いところに行ってしまうと諦めなければならなくなります。
改装写真~猫のいない風景~
クライアントから送られてきた猫のいる風景
猫たちがそれぞれ楽しんでいる様子が分かって、設計した者としては大変嬉しい報告です。これからも猫たちやクライアントのために一所懸命頑張ろうと思えるのでした。
アゴと肉球
昨年新しく私の家に来た3匹の子猫ですが、実は今回ご紹介したクライアントとお友達が保護した猫なのです。保護された時はとても汚い猫だったそうですが、クライアントやお友達のお世話のおかげでこんなに可愛くなりました(下記の愛猫ギャラリーをご覧ください!)。 今回の改装が縁で、保護した子猫が我が家に来ることになったのです。 我が家に子猫が来たことで、いまでは大変賑やかな楽しい時間を過ごしています。先住猫の海ちゃんとも全員仲良しで、留守番が多い我が家でも退屈せず、楽しそうに遊んでいます。 クライアントとは猫が縁で、親戚同然のお付き合いをさせて頂いています。猫の保護活動(TNR)はまだまだ世間に知られてませんが、不幸な猫たちを減らすために頑張っている方達には、頭が下がりますし、応援したいと思います。 ◆愛猫ギャラリー 【今日の海と3匹の兄妹】 <関連コンテンツ>私の家の猫ら
私が設計・監修し、ダンボールデザイン会社と共同開発した「ニャンダフル・シェルフ」(キャットウォーク)試作品で遊ぶ愛猫ら。
▶ニャンダフル・シェルフ公式サイト