シャム柄、とタイトルでは謳いましたが、鼻先や足先だけに色がある毛柄は「ポインテッド」といい、シャム猫以外にも存在します。このポインテッド、本当に面白い毛柄で、温度によって発色したりしなかったりするのです。
低温だと濃く、高温だと薄くなる毛色!?
ポインテッドの毛は、低い温度だと発色し、高い温度だと白くなるという性質をもっています。鼻先や足先、しっぽだけに色がついているのは、そこが体温の低い場所だから。鼻先に向かってだんだん温度が低くなるので、色もグラデーションになっているのですね。
では寒い場所に暮らしていたら色が濃くなるの?という疑問がわきますよね。はい、その通りなんです。実際に実験で寒い環境で育てたところ、毛色が濃くなったそう。それだけでなく、手術のために一部毛を剃ったりするとそこだけ冷えるので、その部分の色が濃くなったりします。
また、老猫になると体温が下がるので、同様に色が少し濃くなります。同じ猫でも夏場は淡く、冬場は濃くなることもあります。不思議ですね。
ポインテッドを作るのはcsの遺伝子。これは劣性遺伝で、両親から1つずつ受け継いでcscsになったときにポインテッドになります。ちなみにccだとメラニンがまったく作られず、アルビノの猫になります*。cscsは、低温のときだけ、なんとかメラニンを作ることができます。
生まれたての子猫は温かいので真っ白!
ポインテッドは、温かい環境で育てば毛色が薄くなります。生まれたばかりの子猫は、母猫の胎内で温められていたので、白っぽい色をしています。子猫だけを見ると、将来ポインテッドの毛柄になるとは想像できませんよね。
瞳はかならず青くなるのが特徴
ポインテッドの毛を作る遺伝子は、瞳にも作用します。眼球は体内にあるため、体温の高い部分です。ですから毛と同じように色素が作られず、青い瞳になります。白人さんが青い瞳をもつのと同じです。
ポインテッドの毛色は濃いめから薄めまでさまざまですが、どんなに濃い色の猫でも青い瞳をもつのが特徴です。
野良猫にも存在するポインテッド
このポインテッドの遺伝子はタイを中心とするインドネシア半島一帯に多く存在します。この地域の猫の25%がこの遺伝子をもっているといわれます。そこから東、中国にはこの遺伝子はほぼゼロで、さらに東の日本になるとまた25%まで増えるそう。
日本には1960年頃にシャム猫ブームがありましたが、当時は放し飼いも多かったため、飼い猫のシャムが野良猫と交配するなどしてこの遺伝子が増えたのでしょう。現在でもときおりポインテッドの野良猫が見られます。
シャム柄は活発でおしゃべり?
シャムの性格でよくいわれているのは、活発で遊び好き・よく鳴く、鳴き声が大きい・飼い主によく甘えるといったことです。
また、困った行動として、なぜかウールサッキング(布などを食べてしまうこと)が多い、室内でのスプレー(マーキングのオシッコ)をすることが多いなどが知られています。
しかし、同じポインテッドであるヒマラヤンは、シャムとペルシャの掛け合わせで生まれた品種ですが、性格はペルシャ寄りのようで穏やかで温和、めったに鳴かないといわれているので、一概に「ポインテッドはこの性格」とはいえないようです。
ポインテッド柄図鑑
●茶トラのポインテッド
専門用語ではレッド(茶トラ)の毛色らしいのですが、どう見ても黄色のような……。なんだかイタズラで色を塗られちゃったような毛色です。
●縞模様のポインテッド
ポインテッドの遺伝子と縞模様の遺伝子を両方もっていると、色のある部分が縞模様になります。
●ポインテッドのハチワレ
ポインテッドの猫にSの遺伝子が入ると、白黒猫と同じようにハチワレにもなります*。ポインテッドの毛の部分はやはり顔の中心に向かって濃くなっています。
●タヌキ顔
白い部分がうまいこと入って、目のまわりだけが黒く、まるでタヌキのようなお顔に…。
●タマタマは濃い
普通のポインテッドなのですが、私的に、タマタマの色が濃いのがツボに入りました(笑)