「今日こそ歯みがきするぞ!」と意気込んでは失敗している飼い主さん、ぜひ読んでください。家庭犬しつけインストラクターの矢崎潤先生が成功の秘訣を教えます!
そもそも、どうして歯みがきができないのでしょうか?
「ある日いきなり歯みがきしようとするからです。歯みがきの練習は、最低でも2ヶ月、欲を言えば3ヶ月はかけたいですね。最初にマスターしておけば、その後10年以上が楽になる。でなければ若いうちから歯周病になり、いずれ全身麻酔で抜歯手術をすることにもなりかねません。ワンちゃんの負担や費用を考えたら、歯みがきを習慣にしておくほうがお互いのためですよね」 と矢崎先生。
公益社団法人JAHA(日本動物病院協会)認定
家庭犬しつけインストラクター 矢崎 潤 先生「ほめるしつけ」がポリシーのインストラクター。犬の行動学と学習理論に基づくトレーニングスタイルで、多くの飼い主さんと愛犬を幸せにしている。しつけ教室をはじめ、動物の保護活動、自治体の研修会、書籍の監修など、多方面で活躍している。JAHAインストラクター養成講座委員会アドバイザー/公益社団法人日本愛玩動物協会講師/日本獣医生命科学大学非常勤講師
▶JAHA認定しつけインストラクター
トレーニングの前に遊んだほうがいいってホント?
いきなり歯みがきをするのはNGとのこと。ではいつ練習すればいいのでしょうか。
「ワンちゃんが疲れているとき、落ち着いているときです。元気なときは、じっとしていませんから。散歩に行ったりオモチャで遊んだりして、まずは体力を発散させましょう。これは歯みがきに限らず、ブラッシングや爪切りなどのお手入れ全般にいえることです」
「歯みがきやブラッシングは毎日の習慣なので、無理強いは禁物。受け入れやすい状態を作るのがコツです」と矢崎先生
では、犬が疲れて寝ているときに練習してもOKですか?
「絶対にダメです!不意打ちや寝込みを襲うのはやめてください(笑)。ワンちゃんが嫌がらなければ、膝に乗せてリラックスする練習はしてもいいでしょう。あとは、飼い主さんが『さぁ歯みがきだ』と意気込んで、変なオーラを出すのもNG。ワンちゃんが心地よく疲れているときに練習しましょう」
お散歩や遊ぶなどして「体力を発散させた後」が歯みがきのチャンス!
正面が理想だが、ムリせずお互いが楽なポジションを探そう
「歯みがきの姿勢に正解はありません。歯みがきは毎日の習慣なので、飼い主さんとワンちゃんが楽で、共にリラックスできるポジションを見つけてください。練習はやさしく声をかけ、ごほうびを与えながら行いましょう」
矢崎先生が提案する練習の体勢を紹介しましょう。下へいくほど難易度が上がります。
■歯みがきポーズ(その1)
後ろからアプローチ
抱っこが難しい場合、まずは後ろからアプローチを。飼い主のひざの間に誘導してオスワリさせます。先に愛犬をオスワリさせてから、飼い主がしゃがんでもOK。首~前胸のあたりを手で支えながら、オスワリのポーズで落ち着いていられるように練習しましょう。
ごほうびを与えながら、愛犬がこのポーズで落ち着いてられるように練習を。
■歯みがきポーズ(その2)
横向きで抱っこ
向き合う体勢は、慣れていないと犬が興奮したり緊張したりします。横向きの体勢で抱っこの練習をしましょう。
中・大型犬も同様に。胸を支えながら背中のあたりをなでましょう。
膝の上に乗せるときは、台を置くなどして太ももが水平になるように。斜めになっていると犬が落ち着きにくくなります。
■歯みがきポーズ(その3)
仰向けで抱っこ
仰向けの体勢は奥歯をみがきやすいポーズです。緊張する犬もいるので、おなかやそけい部をなでてリラックスさせながら。
犬の向きを逆転して、足が飼い主側に向く姿勢で練習してもOKです。
愛犬のしっぽが下がって、安心しきった状態になるのを目指して!
■歯みがきポーズ(その4)
向き合って座る
愛犬の歯をきちんとみがくためには、向き合う体勢が理想形です。
「後ろからアプローチ」と「横向きで抱っこ」にしっかり慣れてからステップアップしましょう。
最終的にごほうびがなくても、落ち着いた状態がキープできるように。
小型犬の場合、ソファや椅子の上に座らせ目線の高さをそろえると、歯みがきをしやすいのでオススメです。
<動画で確認してみよう!> 2分20秒 ※音が出るのでご注意ください。
つぎに「口や歯に触る」トレーニングをしましょう!
歯みがき成功のカギ、口や歯に触れるようになるコツとは?
「口まわりや歯を触れるようになることが、歯みがきの第一歩です。また、触られることに良い印象を持たせるのもポイント。歯みがきのトレーニングは、抱き方と触り方の練習が8割だと思います。最初は1回触ったら1個ごほうびを。飼い主さんがごほうびを持つと興奮するワンちゃんもいるので、少し離れたところに置くといいですね」 と矢崎先生。
練習は1日2〜3回が目安。犬が嫌がらないように、時間は1回 数分程度にとどめましょう。
STEP① 顔や口を触る
顔や口を指で触ってみましょう。最初は複数の指で触り、徐々に人差し指1本で触れるようにしていきます。
あごの下を支えてあげると、顔が動かず安定します。
もし顔や口を嫌がる場合は、触っても嫌がらない背中や胸などから始めましょう。犬がリラックスできるようになったら、顔に近い耳の後ろなどをなでます。その延長で頰や口元を少しだけ触ります。
★ここがポイント!
1回触ったらホメ言葉をかけながら、ごほうびをあげることを忘れずに!触られることが気持ちよくなってくれば、ごほうびをだんだん減らしていくことができます。
ホメ言葉は「いい子だね~」「おりこうさん」「good」など、言いやすくて犬に伝わりやすい短い言葉なら何でもOK。1つに決めて、普段からその言葉を繰り返し使いましょう。
STEP② 唇をやさしく押し上げる
唇をやさしく押し上げる練習をしておくと、歯みがきの段階で細部や臼歯(奥歯)を正確にみがけるようになります。
小型犬は口の中に指を入れるのが難しいが、この練習を十分しておくことで、飼い主も奥に到達する感覚をつかめるようになります。中・大型犬や口まわりに余裕がある犬種は、口角に指を引っかけて伸ばす練習をしてもよいでしょう。
STEP③ 歯を触る
まず犬歯や前歯を指で触ってみましょう。みがこうと思わず、口の中を触ることを意識して行います。慣れたら臼歯(奥歯)も同様に。しっかり慣らすために、このステップの練習は1〜2週間かけること。
まずは犬歯・前歯を触る練習を。慣れたら臼歯(奥歯)も!
1回触ったら、ホメ言葉&ごほうび。これを1セットとして、数回繰り返します。
<動画で確認してみよう!> 1分21秒 ※音が出るのでご注意ください。
さて、皆さん、愛犬は口や歯に触らせてくれましたか?
ここが歯みがき成功のカギを握る重要なステップです。これができるようになれば後はラクなので、2~3ヵ月かかっても当たり前ぐらいの気持ちで、気長に練習に取り組みましょう。
次回はいよいよ シートや歯ブラシを使った本格ケアに挑戦します。ぜひお楽しみに!
<協力してくださった飼い主さん&愛犬>
松本さん バニラちゃん(メス・8歳) ジェマちゃん(メス・3歳) |
山下さん きゅうちゃん(メス・3歳) ハチくん(オス・6歳) |
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第3回:「これならできる!歯みがき『お悩み』解決レスキュー」はコチラ≫
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