愛犬・愛猫を迷子にさせないこと。これは飼い主の重大な責任ですが、いくら注意をしていても、100%防ぐことはできません。もし、うちの子が迷子になってしまったら? ショックのあまり、思考停止に陥ってしまわないよう、対処の仕方を知っておきましょう。
うちの犬猫は、誘拐されそうな可愛らしいタイプではないですが(苦笑)、近所の友達のキャバリアのケースでは、1ブロックしか離れていないおうちでこっそり1週間飼われていました。最初悪気はなくても、情がうつってしまい、スーパーや電柱のポスターを見ていても、なかなか電話をしてくれなかったもよう。結局そのときは幸いご主人が電話をくれましたが、奥さんは最後まで出てこなかったそうです。
人間の子どもだったら、誘拐事件になりますが、犬猫では刑事事件にはなりません。迷子にさせないこと、これは本当に飼い主の重大な責任であり、愛犬・愛猫を守る最低限の約束です。
もしも失踪、脱走をさせてしまったときは
でも、そうは言っても、人間、ミスは犯します(人間ですもの)。その友達のキャバリアは、長雨続きで、散歩になかなか行けない日が続き、やっと散歩に行くぞ!と出かけようとしたのですが、まだリードをつないでないときに、たまたま別の家族が帰宅し、ドアを開けたものだから、犬はリードがついていると勘違いして飛び出して行ってしまいました。
普段はそんなことする子じゃない、おとなしくていい子なんですけど、犬もミスを起こすことだってあります(感情のある動物ですもの)。だから、まずは普段から呼び戻しのトレーニングをしておくこと。これが基本の大事なことです。
しかし、犬や猫に「絶対」「100%」はありません。絶対、失踪させることはない、などと言い切ることはできません。「雷や花火に驚いてパニックになって走っていった」「交通事故に遭い、つぶれたドアの隙間から逃げた」「川が氾濫しそうになり、鎖から放ったあと所在がわからない」など、何が起きるかわからないのです。
迷子にしたことを責めるばかりではなく、それではどうしたら見つけることができるのか。犬猫が脱走、いなくなってしまったときはどうすればいいか、ざっくり説明します。
●地元および隣接するエリアの交番、警察署、愛護センター、地方なら役場に連絡。
・愛犬・愛猫の身体的特徴(大きさ、犬種名、色、垂れ耳か立ち耳か、しっぽが長いか短いか巻いているか)
・性格(フレンドリーか、攻撃性があるかなど)
・迷子札・チップを装着しているか
・飼い主の氏名、携帯の番号、ついでに動物の名前などを伝えます。
役人の方は、よほどの犬好きなど特別な人でないかぎり、犬種名は意外とわかってもらえません。なので、色や大きさ、ボリューム(柴犬より大きいとか小さいとか、みんなが知っている犬と比較するとよいかもしれません)、耳やしっぽの形など具体的なことを伝えるのが経験上、大事だと思います。
クーパーの迷子札。いちばんなくさないとたどり着いたのは、本物の猟犬向けのもの。クーパーは山で藪の中もガシガシ入るので、これじゃないとだめ。週末だけ猟犬、日頃はソファーで寝転がっている犬友達から教えてもらった。
クーパーの場合は「盲導犬と同じくらいの大きさの大型犬の猟犬。毛は短いポインターです。顔は焦げ茶で、体は白地に焦げ茶の小さい斑点。垂れ耳、しっぽは半分くらいの長さです」。ううう、思い出しても泣けてきそうなあの事件(猛省)。でもまずは身体的特徴をシンプルに言った方がいいと思います。
旅先での失踪でしたが、そういうところではわざと犬を遺棄する人もいるだろうし、猟犬を捨てていく人も多いから「猟犬」というだけで、役場の人に「え、噛みませんかっ?!」と、電話口でいきなり嫌がる声をされました。それは住民を噛むなどの事件につながらないかと、心配したのかもしれません。仕方ないです。
「人間には攻撃性はありません。フレンドリーです。でも、小心者だし、いまはパニックになっているかもしれないので、知らない人に呼ばれてもすぐ近づくかはやってみたことがないのでわかりません。でも近寄ってきたら、首輪に触ってつないでいただければと思います。名前はクーパー、オスです」とお願いしました。
メルも同じ迷子札を愛用。ただしシャンプーのときもはずせないのが唯一の欠点といえましょう。
また、気がついたことは、「首輪のほかに、チェーン式の迷子札とマイクロチップも入れています」と言うと、ちょっと先方の態度が変わりました。「ああ、迷子札もあるし、マイクロチップも入れているんですね」と。態度が優しくなったというか親身になってくれたというか、信頼してくれたというか。大型犬が逃げたことに対して、攻撃性があったらどうするんだ、野犬になったらどうするんだ、という懸念があったみたいでしたが、迷子札とチップがあるというのなら、個体識別しやすいし、真面目な飼い主だと認めてくれたような感触を受けました。
そういう意味でも迷子札とチップを装着することは価値があったと思いました。ぜひみなさん、迷子札とチップ、装着してください。そういう効力もあるのです。結局、クーパーはそのあと、住宅のまったくない湖畔周辺道路の白線内を轢かれないようにちゃんとテッテッテと小走りしているところを私が発見しました。よかったーーーーーーーっ。それが前述した再会の場面です。
●見つかったあとの対応も忘れずに
とにかくクーパーを車に乗せて、泣きながらもまずは車を安全な場所に移動し(これは交通事故と同じ処理ですね。二次被害を防がないといけません)、その後、ひととおり犬の身体チェックし、涙も半分収まったところで、先ほど迷子捜索願いをお願いした、各役所、愛護センター、警察署にもう一度それぞれに電話しました。
「見つかりました!!なので先ほどの頭の茶色いポインターの件はもう大丈夫です!お騒がせして申し訳ありませんでしたっ」と。すると、みなさん、私の涙声を聞いて「本当によかったですね、わかりました」と親切にお答えいただきました。迷子が見つかった連絡をしないと、真面目な役人の方々はずっと気にかけてくださるかもしれないですから、ちゃんとお礼かたがた報告した方がいいと思います。
猫が家から脱走したときは、数時間後にチラシをつくり、夜10時くらいに近所の電柱に貼って回りました。でも結局その夜中の3時くらいに「みゃーーーーー」と寝室の窓の外から(窓を開けてくれーーっ、おうちに入れてくれーーっ)と帰ってきました(涙)。
黒猫まめちゃんは旅行好き。でも犬より呼び戻しが怪しい。首輪とチョッキ形ハーネスの両方に迷子札をつけています
そのため、チラシには自分の携帯番号が大きく明記してあったので(個人情報、ダダ漏れですね。笑)、感激の再会もそこそこに、急いで明け方5時くらいにご町内のチラシを回収に行きました。
ちなみにそれでも、2件ほどイタズラ電話のようなのが翌日かかってきました。ひとり暮らしの女性の場合は、連絡先は知人男性の番号にすると、より安全かもしれません。
とにかく迷子には気をつけて
動物と暮らしていれば(人間の園児や小学生低学年も似たようなものですが)、やはり迷子や誘拐は本当にコワイものです。迷子にさせないのに越したことはないのですが、とにかく誰もが迷子にさせてしまう可能性はあります。
「うちの子は大丈夫」という気持ちはやめて、鑑札、迷子札、マイクロチップと、ひとつでも多くの対応策を装備してください。そして必ず、見つけてあげましょう!
ある保護団体の方が言っていました。「この子はトリミングもされていて、そこそこきれいで、きっとちゃんと飼われていたはず。それなのに、飼い主さんが名乗りでてこない」。つまり捨てるつもりはなく、でも探し方がわからず、また連絡先不明のために、殺処分されてしまうことだってあるかもしれません。保護団体の方も、できれば元のおうちに返してあげたい、と切に願っていました。
自分の犬猫を野犬にしない、ノネコにしない。そのために個体識別番号を入れたマイクロチップは有効だし、携帯の電話番号を入れた迷子札は欠かせない
もしも迷子にしてしまったら、恥ずかしい、面倒くさい、きっともう無理だ、などと思わず、全力で探してください。愛犬も愛猫も、飼い主さんと再会したいと、思っているはずです。私からも心からお願いします。
とくに、この雷、ゲリラ豪雨、台風の多い季節。そして花火大会。そして夏休みの旅行先。みなさん、必ず迷子札をつけて、チップも入れておいてくださいね。
この記事をきっかけに、うちの黒猫のまめちゃんの迷子札の文字が濡れてヨレヨレになっていたので、新しい首輪を新調しました。でも、もう囓られた。ぶら下がりが長いのが気に入らなかったらしい。短くしなくちゃ(猫ったらもうっ)
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