雷、花火、旅行。夏は愛犬・愛猫の迷子が増える季節。日頃から前もって準備しておくことは? by白石かえ

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迷子札_アイキャッチ620×315

「地震、雷、火事、親父」。古来より世の中で恐ろしいとされているものを表したことわざです。まあ、親父はともかくとしてとくに犬猫が失踪し、迷子になるアクシデントとして、地震、雷、火事はやはり想定せねばならず、くわえて花火、旅行も十分注意してほしいイベントです。

花火_修正夏は花火大会が増える。会場に連れていかなくて、自宅にいても、この音に反応し、パニックになる犬もいるので気をつけて。雷の大きな音が苦手な子も同じく注意。家族が家に一緒にいる、雨戸を閉めるなどの対策を。

 

個体識別できるものを24時間つけておきたい

地震や雷雨など天災はいつ起きるかわかりません。なのでやはり対策としては、個体識別できるものを、肌身離さず装着することが大事と考えます。すなわち首輪に迷子札や鑑札、そして体内にマイクロチップです。

室内飼養の犬猫は、毛がからむ、毛玉になるなどの理由から、散歩のときだけ首輪をして、室内では首輪をはずしている家庭も多いでしょう。でも自然災害はいつ何時襲ってくるかわかりません。家族が不在で犬猫だけが留守番をしている時間に、家屋が倒壊したり流されたり、火事に巻き込まれるなどの緊急事態になる可能性もゼロではありません。ですから、迷子札のついた首輪は24時間ずっとつけていてほしいなぁと個人的には思います。

ルーチェ鑑札_572

犬の鑑札は、法令で必ずいつも付けておくよう定められています。でも、正直言ってこのルールは形骸化しているようにも思えます。その理由のひとつは、鑑札をぶらさげていると、いつのまにかなくしてしまうから、とか、小型犬には大きすぎるから、などという実情があるせいではないでしょうか。犬の一生に一度しかもらえない鑑札をなくしてしまう方がこわくて、装着をためらってしまいます(役場に行き、お金を払えば再交付してもらえますが)。

それゆえなかなか装着率が上がらないのではないでしょうか。でもいまは、各地方自治体が、鑑札や狂犬病注射済票のデザインや大きさなどを独自で工夫し、努力されています。あとはあの丸い接続部の金属の金具が工夫され、落とさないような金具ができるといいなぁと思うのですが…。

いろんな首輪とハーネス

もうひとつ装着率が上がらない理由で考えられるのは、おしゃれな昨今の犬たちは、首輪やハーネスを何本も持っていて使い分けており、いちいち鑑札を付け替えるのはちょっと無理というのも本音でしょう。

厚生労働省のHPに「もしも飼い犬が迷子になっても、装着している鑑札に記載された登録番号から、確実に飼い主の元に戻すことができるます」とあり、それは本当にごもっともなのですが…。装着率のことを考えると、個体識別のためには、鑑札よりも、体内に挿入するマイクロチップの方が確実で現実的なのではないかという気もします。

 

マイクロチップもどんどん小型化。医療技術は日進月歩

しかし、マイクロチップに抵抗のある飼い主さんが少なくないのもまた事実です。幾人かの愛犬家・愛猫家に聞いてみたのですが、伴侶動物を大事に想う気持ちが強いからこそよけいそう感じてしまう傾向もあるような気がしました。

でもいまはマイクロチップが日本に導入され始めた頃の10数年前より、ずいぶん改良されています。1/3サイズになった超小型のチップも国産で開発されていますし、チクッとするのも注射とそう変わらない程度になっているそうです。また、以前はよくチップが体内で移動してしまい、どこにあるか発見できなくなる、などと心配されていましたが、近年の新しい技術ではチップの表面に効果的なコーティングがなされ、移動しないようになっているとのこと。

迷子札_1

チップの読み取り機も多種多様に。保健所や愛護センターなど頭数が多い場合や攻撃性がある動物によいのは、据え置き型のもの(とても感度がいいそうです)。そのほか、スティック状の棒を体に添わせてチップを探すタイプや、のれん式、人も一緒に通れる大型ゲートタイプも登場しています。今回調べてみて、技術は日進月歩で進んでいるなぁと感じました。

またMRIやCT検査による影響も懸念されていますが、ICメモリーに影響はないそうです。ただしMRIやCTのマシンに影響を及ぼすという説もあるので、将来、MRIやCTでの精密検査を受けるときには、マイクロチップを体内に入れていることを獣医さんに申告することをオススメします。チップが埋め込まれている周囲の画像が乱れる可能性もあるようなので、万が一チップのそばに病気が隠れているときは、チップを取り出す必要性があるかもしれませんが、その確率を心配するよりも、迷子になる確率の方が高いと思います。

迷子札_2マイクロチップが、MRIやCTのマシンに影響を与える可能性があるという説もあるため、装着している場合は検査を受ける際に獣医師に申告を。

ほかに考えられるデメリットがあるとすれば、体内に異物を入れるわけですからそれに対するアレルギー反応を起こす可能性と、強い衝撃を受けたときに皮下で割れる可能性もあることは考えられます。ただ、開業医の知人に聞きましたが、そんなことは滅多に起こらないそうです。

なので、マイクロチップのメリットとデメリットを比較したとき、とくに地震の多い日本では、マイクロチップを入れておくのはメリットの方が多いのではないかと考えます。

もうひとつ、私たち飼い主の心配事だった「マイクロチップのリーダー(読み取り機)の設置がなければ、チップを入れていても意味がない」という点ですが、これは今では解消されていました。少なくとも、全国の愛護センターにはリーダーが設置されているそうです。チップのメーカーが違っていても、国際基準の15桁のIDコードは読めます。チップを挿入後、ちゃんと飼い主自身がAIPO(動物ID普及推進会議。日本獣医師会や全国動物愛護推進協議会らが構成)に登録していれば、迷子になったとき身元がわかります。

ひまわり_登録はがき修正
スタッフの愛犬の「登録完了ハガキ」。「登録申込書」を郵送後、日本獣医師会より届く。

またリーダーはずいぶん安価になり、いま2万円程度からあるそう。そのため各動物病院でも用意してくれているところが増えています。動物病院からはAIPOにすぐ問合せができます。心強いです。

普通、迷子の犬を拾った人は、警察署や交番に届けることが多いので、まあ日本全国の交番での設置は予算どりが難しいにしても、せめて各交番を管轄する警察署にリーダーがあれば、管轄内の近所で探している飼い主さんに早く戻してあげることができます。各警察署にリーダーを設置してくれることを期待したいです。

ただマイクロチップのことで注意しなければならないことがあります。ペットショップで入れられたチップが、国際基準の世界のどこでも通じる個体識別番号ではなく、そのペットショップ系列専用のチップのことがあり、迷子になったときに役に立たないケースが発生しています。そのマイクロチップが日本獣医師会の管理するAIPO(動物ID普及推進会議)に登録するものなのかどうかを確認しましょう。

 

迷子札というアナログな手段も早期解決に欠かせない

このようにマイクロチップの普及は国内でも広がりを見せていますが、チップにくわえて、迷子札もつけておくことを個人的には強くオススメしたいです。鑑札やマイクロチップだと保健所や愛護センター、動物病院などの営業時間内でないと、飼い主の連絡先の問合せができないですが(なので夕方以降や土日は連絡がとれないことが多い)、迷子札なら保護した一般の人が、そのまますぐに飼い主に連絡をとることができます。

メル首輪アップ_572×383以前は革の首輪に刻印がされているものを使っていましたが、経年劣化で文字がかすれて見えにくくなりました。どの迷子札でも年に数回、文字がちゃんと読み取れるかチェックしましょう。

そのため、早期解決しやすいです。愛犬や愛猫が失踪中は、本当に飼い主としては生きた心地がしません。私は、うちの猫も犬も、数時間迷子にさせてしまった経験があります。猫は、宅配便が来たときに、スルリと玄関を出て行ってしまいました。犬は、旅行先で、ドッグランの柵を跳び越えて、おそらくシカを追いかけて行ってしまいました。

迷子になっている間は、時間が長く長く感じます。見つからない時間が長引くにつれ、だんだん、もう生きて会えないかもしれない、などというネガティブな気持ちに包まれてきます。この間にも交通事故で轢かれちゃうかもしれないとか、どんどん遠くへ行ってしまいここの自治体の管轄を越境し、ますます所在がわからなくなるかも、とかいろいろ最悪のパターンを想像してしまいました。焦り、悲しく、自分の否を責める時間が過ぎていきます。

迷子札_3

でも!生きて再会できたときは、歓喜する気持ちを飛び越えて、幽霊でも見るような信じられない気持ちになりました。とにかく、どこかケガしてないか、血がでていないか、骨が折れていないか、ダニがついていないか、など全身を触って確認しました。名前を呼んでみて、うちの犬(猫)か反応を確かめました。生きてる!大丈夫だ!うちの犬(猫)だ!号泣です。

また猫の場合は、外の道路を歩いていても、迷子猫なのか、お出かけ猫なのか、地域猫なのか、野良猫なのか、区別がつかず、保護もしてもらえないケースが多いです。でも迷子札に電話番号が書いてあれば、室内飼育をしている猫が脱走しているんだと想像がつき、電話をかけてもらえると思います(私なら電話しちゃいます)。

そしてチップもやはり必要ですね。猫はよほどフレンドリーな猫じゃないかぎり、他人に首輪についている迷子札を見せてくれない可能性がありますから。でもそのまま放浪し、野良猫だと勘違いされて捕獲されても、殺処分される前にチップが飼い主がいることを証明してくれます。ああ、やはりチップは大事です。

セーフティ首輪猫の場合は首輪を引っかけてしまう事故が多いため、すぐに外れるセーフティ首輪が多い。万が一首輪が外れてしまっても、チップが入っていればお家に戻れる可能性は格段にあがる。

きっともう無理と諦めるのは厳禁、全力で探すことが大切です。

 

<関連コンテンツ>
もしも失踪、脱走をさせてしまったときは。 愛犬クーパーの失踪事件から学ぶ
迷子札2_関連コンテンツ2
もし迷子になってしまったらどうすればいいのか、ポイントをご紹介。
詳しくはコチラ

 

 

白石花絵(しらいし・かえ)

Writer
フリーライター 
白石かえ(しらいし・かえ)

雑文家。東京生まれ。10歳のとき広島に家族で引っ越し、そのときから犬猫との暮らしがスタート。小学生のときの愛読書は『世界の犬図鑑』や『白い戦士ヤマト』。広告のコピーライターとして経験を積んだ後、動物好きが高じてWWF Japan(財)世界自然保護基金の広報室に勤務、日本全国の環境問題の現場を取材する。
その後フリーライターに。犬専門誌や一般誌、新聞、webなどで犬の記事、コラムなどを執筆。犬を「イヌ」として正しく理解する人が増え、日本でもそのための環境や法整備がなされ、犬と人がハッピーに共生できる社会になることを願っている。現在、ジャーマン・ショートヘアード・ポインターのクーパー(オス)、ボクサーのメル(メス)、黒猫のまめちゃん(オス)、熱帯魚(コリドラスなど)、そしてニンゲン2と暮らしている。趣味は、クーパーと野山へ行くこと。東京都渋谷区在住。

▶執筆サイト: dogplus.me 犬種図鑑
▶ブログ: バドバドサーカス

▶主な著書
『東京犬散歩ガイド』
『東京犬散歩ガイド武蔵野編』
『ジャパンケネルクラブ最新犬種図鑑』(構成・文)

うちの犬 あるいは、あなたが犬との新生活で幸せになるか不幸になるかが分かる本

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