日本の家庭犬の平均寿命は、およそ14歳。個体差はありますが、7~8歳位からシニアドッグの域に入るといわれています。シニア期以降は代謝が落ちたり、筋肉や身体機能が衰えてきたりすることで、身体のトラブルも出やすくなります。そんなシニアドッグの健康維持には、飼い主さんでも気軽にできるツボ刺激がおすすめ!
今回は、かまくらげんき動物病院(神奈川県鎌倉市)の副院長である相澤まな先生に教えていただいた、シニアドッグに最適なツボ刺激法をご紹介します。
健康促進は毎日のスキンシップで
東洋医学は、病気になる前の「未病」のうちに養生することを目的としています。ツボ刺激とは、身体機能を健やかに保つための「気」の流れを良くするために、東洋医学で重視されるもの。
身体中を循環していている「気」の通り道を「経絡」と呼び、その上に配置されているのが「ツボ」です。飼い主さんは愛犬とのスキンシップの一環として、ツボを圧したり、撫でたり、マッサージしてあげると良いでしょう。
注意:ツボ刺激やマッサージは決して無理強いしないことが重要です。愛犬が気持ち良さそうにしていれば問題ありませんが、嫌がったらやめて、少しずつ慣らしましょう。
まずは準備から
ツボ刺激の前にまず、「始めるよ」の合図を愛犬に送ってあげましょう。飼い主さんの手のひらでやさしく、愛犬の頭から背中にかけてスーッとさすります。
背中には免疫力をアップする経絡が多数あるので、撫でるだけでも健康促進につながります!
1.「腎兪(じんゆ)」のツボ刺激
東洋医学で、生命エネルギーを貯蔵する「腎」を強化するツボ。ここを刺激することで、長生きにつながります。
最も後肢寄りの肋骨上部の、背骨の両脇にあるツボを、10~20回ほど左右から揉むように指圧しましょう。
2.「湧泉(ゆうせん)」のツボ刺激
元気が湧いてくるツボで、「腎」をサポートする経絡上にあります。
最も大きな肉球の付け根を、足先に向かって親指で押し上げるようにして刺激をしてください。
3.背中の「督脈(とくみゃく)」の経絡刺激
身体の主要な経絡である「督脈」を引っ張ることで、多数のツボを刺激できます。人間と違ってよく伸びる犬の皮膚を、両手で引っ張ります。
愛犬が嫌がらないようであれば、さらにそのまま左右にツイストしましょう。
身体のバランスを整えることができます。
4.首の「督脈(とくみゃく)」の経絡刺激
老化により筋肉が衰えたことで生じる肩凝りや首凝りを解消するには、首の督脈のマッサージが最適です。背中と同じように、首の皮膚を引っ張りながらマッサージしてあげましょう。
院長 石野孝先生(写真右)獣医師。1991年に中国にて中国伝統獣医学を学び、かまくら げんき動物病院を開業。最新の西洋医学と伝統的な東洋医学を融合させた、動物にやさしい治療を実践。(社)日本ペットマッサージ協会理事長、中国聊城大学教授などを務める。
副院長 相澤まな先生(写真左)
獣医師。獣医大学卒業後、勤務医を経て2008年9月よりかまくら げんき動物病院へ。(社)日本ペットマッサージ協会理事や中国南京農業大学人文学院教授などを務める。
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