動物が聞き取れる音の範囲のことを可聴域といいますが、犬の可聴域は個体差はあるものの、おおむね65~60000Hzと人間の20Hz~20,000Hz比べ広くなっています。ですから、人の耳では聞くことのできないいわゆる超音波や人間では年をとると聞き取れなくなるモスキート音(高周波)も問題なく聞き取ることが可能というわけです。
古くからある犬のトレーニンググッズの一つである「犬笛」もこの高周波を利用した道具です。高周波を聞き取る能力は獲物である小動物の鳴き声や動くときにたてる物音を聞き取るために発達したようです。
犬は人に聞こえない小さい音もしっかりと聞こえている
犬は音の強さにも敏感で、一説によると同じ音の強さでも人の4倍もの距離で聞き取ることが可能だそうです。これだけ耳の良い動物ですから、日常生活で人には聞こえない音が犬にはしっかり聞こえていることがあります。例えば、聞き耳を立てたあと急に外に向かって吠えだした事はありませんか?これは、単に人間の耳には聞こえていないだけで、犬には何か怪しい警戒の対象となる物音が聞こえているからなのです。
耳が良い動物だからこそ気をつけたいこと
窓を開ける事が増える初夏や秋口は外部の音が屋内に入ってきやすくなるため、行政への吠えに関する苦情が冬場に比べ増えるそうです。また犬は縄張りを持つ生き物ですから、縄張り近くの音には特に敏感で、それを侵そうとする外敵(たとえ人にその意志がなくても犬の縄張りに近づけば犬にとっては警戒の対象になります)に対して激しく吠えるといった行為に繋がりやすくなります。人が聞き取れない小さい音に対して反応するわけですから、ご自宅での吠えに関する問題では犬の休息スペース(ハウスやベッドなど安心して休める位置)がとても重要になります。
人の出入りが多い玄関の近くや、車、人通りなどの往来の激しい通り(道路の横やマンションの廊下など)に面したスペースは様々な音がするので、犬にとっては落ち着かない空間となってしまいます。なるべく家の中心に近く、人の動線ではない場所を休息スペースとして与えてあげると良いでしょう。
首をかしげるような仕草は実は音源を探ろうとしている動作です。