災害時、うちのコを連れて避難することができますか? 大人しくクレートに入ってくれるだろうか。避難所で知らない人や犬猫たちに囲まれて、落ち着いて過ごせるだろうか。心配は尽きないですよね。そこで、日頃から備えておきたいトレーニングや、ペットの不安を和らげる心のケアについて考えてみましょう。
災害をきっかけに思いがけない変化が
チワワのケースですが、東日本大震災の後から性格が変わってしまい、吠えやご家族への依存が増え、震災直後しばらくは家の中でもつねに後追いをするようになったと、カウンセリングを受けに来られたことがありました。猫ちゃんでは、帰宅すると姿がなく、探し回ったところ布団の隅っこにもぐり込んで隠れていたというコも。パニックになって暴れたせいか、爪が剥がれてしまっていたそうです。
災害は、ペットにとっても想定外の出来事で、許容できるキャパシティを超えて、今までなかった問題や性格が出てきてしまうことがあります。災害をきっかけに、飼い主さんへの依存性が高まりお留守番ができなくなったり、音に敏感になって雷恐怖症になることも。
では、普段からどんな準備ができるのでしょうか?
災害のためのトレーニング
■クレートトレーニングと基礎コマンドは必須
災害に備えたトレーニングとして、愛犬に「クレート(ハウス)」と言えば、すぐに入るように慣らしておくこと。「フセ・オスワリ・マテ・コイ」の基礎コマンドも習得できていないと、避難現場で意思疎通ができません。
社会性も重要です。愛犬が「他人が嫌い」「他の犬が嫌い」「クレートに慣れていない」では、避難所はそのコにとって最悪の環境になってしまいます。ボランティアさんのお世話になることもあれば、ペット嫌いの人もいます。咬まないコ、フレンドリーなコ、我慢できるコは幸せです。
また、トイレはどこでもできるようにしておかないと、避難生活が難しくなります。
■トレーニングによって培われるストレス耐性
トレーニングには、飼い主さんとのコミュニケーションを築くだけでなく、愛犬の気持ちの強さを養う効果もあります。ですから、「うちのコはとくに問題行動もないし、トレーニングは必要ないわ」と思わないでください。例えば飼い主さんが愛犬に「マテ」と指示していなくなり、20分後に戻ってきても、待機していられるぐらいの集中力と忍耐力をつけていれば、愛犬の自立心も養われ災害時のストレス耐性も高まります。
■猫も外の刺激に慣らす練習を
猫は犬ほど社会性がなく、より大変です。避難所では、犬と猫の区画を分けるほどのスペースはまずありません。様々な刺激に慣らしておくために、猫もハーネスをつけて外を歩かせるぐらいの練習はしておいたほうがいいかもしれません。
災害後の生活
■避難所以外で過ごす選択肢も
ペットと一緒に避難しても、避難生活は別々というケースが普通です。そのため、以前はペットと一緒の避難が推奨されていましたが、最近は、もし家が安全な状態であれば、ペット(とくに一緒の避難が難しい猫)は家に置いて、飼い主さんが世話に通ったり、飼い主さんも一緒に家で過ごすという選択肢が検討されるようになっています。
避難生活が長期化した場合は、実家やペット友達に預けることも。ペット愛好家のオフ会などで仲良くなった人とラインをつなげておけば、SOSを出しやすくなります。飼い主さんもペットも、全然知らない人より気心の知れた人のほうが安心でしょう。
■ペットの恐怖心を和らげるには
震災経験後に、ペットに恐怖心が芽生えてしまうことがあります。余震時に怯えているようなら、遊んであげたりおやつをあげたりして、「地震=怖いもの」という関連づけを取り払ってあげます。
ただし、安心させようと「大丈夫だよ」と声を掛けても、飼い主さん側に不安な気持ちがあると、それがペットに伝わり余計に不安を煽ってしまいます。普段から、飼い主さんのどんな行動やどんな掛け声なら、そのコが落ち着けつけるのかを知っておくことが大切です。
バッチフラワーレメディ レスキュー 10ml
防災グッズの中に、レスキューレメディを入れておくのもおすすめ。避難前に与えて気持ちを落ち着かせたり、避難場所で吠えたりしたときにも利用できます。ペットがパニックになって口に入れられないときは、耳の後ろや肉球につければ皮下吸収してくれます。
その他、不安を和らげるアロマオイル(ラベンダーなど)やハーブティーなども。ただし、アロマやハーブは人と犬はシェアできますが、猫には有害なものが多いのでNGです。
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