外でしか排泄しない、食糞、マーキング、高齢で粗相が増えた・・・そんな愛犬の排泄にまつわるお困り事にアドバイス!

家で排泄をしてくれない、ウンチを食べてしまう、大切な家具にマーキング、年のせいか粗相が増えたなど、愛犬の排泄にまつわる悩みは尽きないようです。今回は、そんな飼い主さんのお困り事の解決方法をアドバイスします。

 

Q.屋外でしか排泄をしなくなりました。トイレを撤去してもいいですか?

A.将来を考えると、室内でもトイレができるのがベスト
お散歩ができるようになると、外でしか排泄をしなくなってしまうケースがありますが、室内でもできるようにしておくのがベストです。
というのは、将来、年をとれば長時間おしっこをがまんできなくなったり、自力で歩けなくなって介護が必要になることも。嵐の日も大雪の日も、排泄のために散歩に行かなければならないとしたら悲惨です。犬にとっても飼い主さんにとっても、室内でできるにこしたことはありません。

本来、犬は外で排泄したほうが気持ちがよく、室外での排泄を覚えてしまうと「室内は汚したくない」という意識が働きます。犬種的には柴犬などにその傾向が強いのですが、そうなりそうなコは「室内のトイレを取り払わない」「室内でトイレをしたら必ず褒める」ということを徹底してください。室内でのトイレを褒められなくなると、やめてしまうきっかけになります。

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Q.室内でも排泄できるようにしたいのですが、しつけ方がわかりません。

A.ベランダに「半屋外」を作ってトレーニングを
屋外でしか排泄しなくなってしまったコのトイレトレーニングは、ベランダを利用して行います。

(1)ベランダにビニールシートを敷き、土と草や植木を持ってきます。ベランダに外っぽい環境を作ってあげると、室内よりもトイレがしやすくなります。もちろん、排泄できたら褒めてあげてください。

(2)慣れてきたら、ペットシーツや新聞など、これからトイレマークになるものを置きます。同時に、今までトイレマークだった土や草を減らしていきます。

(3)できるようになったら、今度は室内に移動し、サークル内にトイレの目印になるもの(ベランダで使っていた植木や草)を持って来ます。男の子の場合は簡単で、排泄の際に足を上げたがるので、植木などにペットシーツを巻いて、おしっこをかける標的をいくつか用意してあげます。

(4)ペットシーツ=トイレという認識ができたら、フラットな面にペットシーツを置いて慣らしていきます。ただし、男の子の場合はほとんどが足をあげて排尿するため、L字型のトイレを用意してあげます(垂直面にも常にペットシーツがある状態にします)。

※ベランダでは、近隣の方に迷惑にならないよう、排泄物の処理や消臭等の配慮、また、避難経路の妨げにならないよう注意が必要です。

逆に、室内でしかしない排泄をしないコについては、物理的に屋外でせざるを得ない環境を一度作ってしまうと、次から自然とできるようになることが多いので、あまり問題になることはありません。

 

Q.6ヵ月齢のコです。食糞をやめさせたいのですが…。

A.毎日くり返すようなら、対応策は3つ
食糞については、1歳まではあまりナーバスになる必要はないと思います。あとは頻度の問題で、毎日ではなくお留守番が長くなるとしてしまうようなケースは、1歳を過ぎると直ることがよくあります。ただ、毎日モリモリ食べているようなら、食事を変えたほうがいいかもしれません。食物繊維の多いものをおすすめします。また、猫と同居していて猫のごはんを食べているコは、猫や自分の糞を食べてしまうことがよくあります。たぶん猫のフードの香りがいいのだと思います。

食糞防止用にトウガラシ成分の入ったエサのふりかけもありますが、使用をやめたとたん、くり返すので完治には至らず、また長期的に与えると体への負担も心配です。

また、排泄をしたらすぐに呼び寄せ、日頃あげないおいしいおやつをあげるのも効果的です。排泄後、食糞をせずに飼い主のもとへ行くと、おいしいものがもらえるということを学習させ、食糞を改善していきます。

ですので、対応策としては、(1)食事を変える。(2)こまめに糞をとる。(3)排泄後に、いつもあげないおいしいおやつをあげる。この3つです。

 

Q.最近、粗相が増えました。高齢だからしかたないのでしょうか?

A.病気の場合もあるので、まず原因を探ることから
年をとって、今までできていたことができなくなってしまった場合は、まずその原因を探ってください。たとえばトイレが遠くて、アクセスが大変で間に合わないというケースなら、トイレ環境を改善してあげれば解決します。

ただ、シニアになって急に何か違う行動をとった場合、まず疑うべきは病気です。膀胱炎や結石など泌尿器の病気、あるいは糖尿病などのホルモンの病気も多尿症状が出るため、トイレの失敗が起こりやすいです。
また急に食糞を始めた場合は、すい臓疾患で脂肪便になっている可能性もあります。6~7歳を過ぎたら、定期的に健康診断を受けることをおすすめします。

 

Q.壁や家具にマーキングをして、困っています。

A.マーキングは叱らないと直りません
トイレ・トラブルとマーキングは別物です。マーキングは排尿と違って、少量のおしっこをチャチャッとかけて回る行為。オスのほうが多いですが、メスもします。大事なのは、排尿なのかマーキングなのかを区別し、マーキングの場合はその場で叱ること。トイレ・トレーニングのときに粗相を叱るのは厳禁ですが、マーキングは叱らないと直りません。

もっとも、叱るばかりだと犬は困惑するので、何が正しいかも同時に教えてあげることが大切です。マーキングをしてもいい場所(オスなら、足を上げてできるL字型トイレを用意するなど)を決め、正しい場所でマーキングができた場合は、しっかり褒めてあげます。さらに遊んであげたりごほうびをあげたり、犬の好きなことをしてあげましょう。

マーキングの問題があるコは、外でのマーキングも制限したほうがいいです。いろんなところでさせるのではなく、リードで制御して限られた場所のみでさせてください。また、子犬であれば、早め(6ヵ月齢ぐらいまで)に去勢することをおすすめします。大人になってからだと、マーキングが習慣化してしまい、去勢しても直らないことがあります。

 

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石井 香絵

獣医師、ペットの行動コンサルテーション Heart Healing for Pets 代表、AVSAB(アメリカ獣医行動学会)会員 麻布大学獣医学部を卒業し動物病院で一般診療を行った後、動物行動学、行動治療を学ぶために渡米。ニューヨーク州にあるコーネル大学獣医学部の行動治療専門のクリニックに2年間所属し帰国。現在はワンちゃん、ネコちゃんの問題行動の治療を専門とし臨床に携わる傍ら、セミナー・講演活動など幅広く活躍。2013年からは、アニマル・クリスタルヒーリングのファシリテーターの養成を始める。愛…

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