愛犬とのお出かけが楽しくなる春!愛犬と一緒に外出する目的として、ドッグショーに遊びに行くというのも選択肢に入れてみませんか?
犬種本来の姿を見ることもでき、きっと、たくさんの発見があるはず。
ちなみに我が家の遊太とルーサはドッグショーに参加したことで、精神的にもずいぶん成長しましたよ!
これはルーサの雄姿(左)! ドッグ・ショーは多少の雨でも開催されるので、屋外の場合リングがドロドロのことも^^; 汚れないようにハンドラーさんはとても気を遣う。
今年は国内最大規模で一年に一度のお祭のようなメインとなるドッグショー、「FCIインターナショナルドッグショー2015」が東京ビッグサイトで4月に開催されました。
二つの大きなイベント(ジャパンペットフェア、インターペット)が同じ施設で同時開催となったので、実にたくさんの人とイヌたちでにぎわっていました!
なぜ、ドッグ・ショーがあるの?
一言でいえば、人間が目的を持ってつくりあげてきたそれぞれの“純血種”のレベルと肉体的・精神的健全性を「守るため」です。これは主催者である国内最大の畜犬団体JKC(ジャパンケネルクラブ)はじめ、他犬種団体が開催するドッグショーも同じです。
それぞれの犬種には、それぞれの原産国で決められたスタンダード(犬種標準)があり、そこには犬種として認められる範囲や特徴などが書かれています。
このスタンダードを理解するにはちょっと時間がかかりますが、例えばラブラドールなら、ラブラドールの原産国(イギリス)が決めたスタンダードが1つあり、世界中でそれを目標にしてブリーディング(繁殖)することになります。
世界には約800種類(非公認含めて)の犬種がいるといわれていて、そのうち世界83ヵ国が加盟している団体、FCI(国際畜犬連盟、本拠地:ベルギー)には現在343犬種が公認されています(JKCもFCIに加盟)。ちなみにJKCには現在、194犬種が登録されています。
審査の仕組みは?
リングでの審査はまずは各犬種(ブリード)ごとに年齢区分のクラスとチャンピオンクラス(チャンピオンの資格を持つ犬のクラス)に分かれて審査します。流れとしてはトーナメント式で、ブリード審査→グループ審査→KING/QUEEN審査→ベストインショー審査の順となります。
例えば、最も激戦といわれる9グループ(愛玩犬)にはプードルはじめチワワ、パピヨン、シー・ズーなど25犬種が所属しています。例えば、チワワ(スムース、ロング別)の中から1席を獲得したチワワがBOB(ベストオブブリード)となり、グループ戦に進みます。
実は、グループ戦で3席までに入る、キング/クイーンになる、ベストインショーを取るといったことは名誉でもありますが、ブリーダーにとってBOBをゲットすることが一番うれしいことになります。
リング脇ではA・コッカーのお手入れ中。普段はなかなか見ることができない、美しくお手入れされた犬をたくさん見られるのもドッグショーの魅力。
<犬種のグループ>
ジャッジ(審査員)はイヌの何を見てるの?
リングの上で審査員は、担当する犬種を、頭の中に入っている犬種のスタンダードと照らし合わせながら1頭1頭“視審”と“触審”で審査していきます。そのため、審査員個人や国によって判断は分かれます。
触って確かめ、立姿や歩様を視て確かめているのは、
・タイプ(犬種ごとの特徴)
・サウンドネス(精神的・肉体的健全性)
・クオリティ(犬質の洗練度、充実度)
・バランス(全体の調和)
・コンディション(その日の状態)
・ショーマンシップ(キャラクター)
の基本の6つ。
どんな人が出陳してるの? 一般の人でも出せる?
基本的にはドッグショーはその犬種の次世代をになう個体を選ぶ、つまり「ブリーディング・ストック」を選び出す場なので、ブリーダーが直接出している、またはプロハンドラーに預けて出している、オーナーさんにお願いして出している、オーナー自身が希望して出している、といった感じです。
ドッグショーでの「ハンドラー」には、3つの種類があります。
1.オーナー・ハンドラー
出陳するイヌのオーナーが、自らハンドリングすること。ドッグスポーツとしても楽しめるので、愛犬とのコミュニケーションもよくなります。
2.ブリーダー・ハンドラー
ブリーダー自身で繁殖したイヌを自らが出陳しハンドリングもすること。オーナーでもありますね。
3.プロフェッショナル・ハンドラー
ショーでハンドリングすることを職業としている人。オーナーからイヌを短期・長期に預かり成績次第で報酬を受け取ります。飼い主としてのオーナーは、それ相当の覚悟が必要になります^^;(寂しいよ~、とか、料金的なこととか)
チャンピオンになるとどうなるの?
まず、通常のJKCチャンピオンを取得するには、4枚のCC(チャレンジ・サーティフィケイト)カード(うち、1枚はM(メジャー)CCであることが条件)を異なる2名以上のジャッジから取得することが必須です。
※ドッグショーの種類によって取得できるカード(CC/MCC)が異なります。
CC、MCCカードは、チャンピオン登録の際に提出してしまうので手元にはありませんが、コレがチャンピオンの認定書です。
それと、JKCが認定する家庭犬訓練試験(CD)の初等科レベル(Ⅰ)を取得することも必須です。総得点の70%以上で合格、得点に応じて上から「優」「特良」「良」の3段階で評価されます。
CDⅠの認定証。左がルーサで評価はVERY GOOD(特良)、右が遊太でEXCELLENT(優)
チャンピオンの本来の意味は、「ブリーディング・ストック」として適切だ、ということになります。つまり、ブリーディングにつなげられるということです。
JKCチャンピオンを取得し、さらに上のチャンピオン、「FCIインターナショナルビューティーチャンピオン」がありますが、これは大変^^; 狙うには、異なる3カ国の異なる4名のジャッジから「CACIB仮証」を受け取り、JKCを通してベルギーの本部に申請し、約半年以上待ってやっと本証が届きます。
左がCACIB仮証、右が本証
実際には、一昔前(特にバブル期前後はハスキーやゴールデンが全盛なんてときも…)と比べるとドッグ・ショーへの関心は薄れ、観戦者も参加者も減っているのが現状です。
しかし、人のパートナーとして、先人が築いてきた“文化”は、人の責任として守っていかなければならないことでもあるんです。
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◆参考資料
JKC「Gazette」
「くわしい犬学」誠文堂新光社
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