犬のおもちゃは、ひとり遊び用と一緒に遊ぶ用に使い分けを!|行動学の専門獣医師が解説

「飼い主さんと一緒に遊ぶおもちゃ」を選ぶポイント

対して、<Bグループ>の飼い主さんが一緒に遊んであげるおもちゃは、
●耐久性がなくて、破壊されやすいもの
●布とかラテックス製で、犬が大好きで執着しやすいもの

ということになります。Bグループのおもちゃは、家の中に放置するのではなく、かごに入れて犬の手の届かない、見えない所に置きます。かごを下に置くと犬が勝手に持ち出して遊んでしまうし、おもちゃを飼い主さんの前に落として「投げて」と催促するような遊びのスタートにも。

また、見える所に置くと、犬がそこを目がけて吠えたりしてムダ吠えのきっかけになることもあります。ですから、まったく見えない、アクセスできない場所に置くことが重要です。

扉付きの棚の中など、犬から見えない・犬が取り出せない場所に保管
 

●Bグループおすすめのおもちゃ


Fohil ロープ型オモチャ


サンジョルディ たまごちゃん

「飼い主さんと一緒に遊ぶおもちゃ」は楽しいしつけのツール

Bグループのおもちゃは、飼い主さんの都合で「遊ぼう」と持ち出して使います。犬の立場からすると楽しい遊びですが、しつけ、教育、トレーニングを入れるためにコマンドを教える時間でもあります。

「引っ張りっこ」や「持って来い」など、飼い主さんから遊びを仕向け、飼い主さんがやめれば終わる。そうすることでメリハリを教えるとともに、楽しいことは飼い主さんから始まるというプラス面も刷り込めます。遊び始めるときに、犬の名前を呼んで「おいで」と言うと、それを聞くと楽しいことが始まるぞと犬に思わせることができ、名前を呼ばれることへの好感度も高くなります。

オモチャを咥えて走ってくる白いポメラニアン

 

こんなケースは、おもちゃの使い方を間違っている!

●手をかんでくる
パピークラスの飼い主さんから、「遊んでいるときに手をかんでくるので、叱っていいですか」と、よく聞かれます。でも、楽しい時間に、叱らなきゃいけない状況を作ること自体が間違っています。

例えば、引っ張りっこをしていてかんでくるなら、ロープが短かすぎるということ。叱るよりも、おもちゃのサイズや使い方を工夫して。楽しい時間なので、「ダメ」という状況を作らないように遊ぶことが大事なんです。

柴犬とオモチャをひっぱりっこ

●与えたおもちゃを瞬殺する
「ぬいぐるみ系のおもちゃが大好きで、よく与えますが、瞬殺です」という声もよく聞きます。本来、柔らかい布やラテックス製のおもちゃは、Bグループ。飼い主さんの監視下で遊ばせるもので、犬がずっと持ってひとり遊びするためのものではありません。

壊れたおもちゃの破片など、誤飲しないよう注意

「取っておいで」「ちょうだい」「いい子」…と飼い主さんのコマンドのもとで動かしながら遊ばせれば、破壊している時間はないはずです。破壊してしまうのは、飼い主さんが与えっぱなしにしているから。そうならないためには、犬がコマンドに従っておもちゃをくわえて持ってくるほうが楽しいことを、トレーニングで教え込んでいく必要があります。

遊びの時間も、最終的にはしつけ、教育、トレーニングの時間になるということ。でも犬の目線で見れば、飼い主さんとコミュニケーションできて楽しいのです。遊びには、そんな複合した要素が含まれています。

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石井 香絵

獣医師、ペットの行動コンサルテーション Heart Healing for Pets 代表、AVSAB(アメリカ獣医行動学会)会員 麻布大学獣医学部を卒業し動物病院で一般診療を行った後、動物行動学、行動治療を学ぶために渡米。ニューヨーク州にあるコーネル大学獣医学部の行動治療専門のクリニックに2年間所属し帰国。現在はワンちゃん、ネコちゃんの問題行動の治療を専門とし臨床に携わる傍ら、セミナー・講演活動など幅広く活躍。2013年からは、アニマル・クリスタルヒーリングのファシリテーターの養成を始める。愛…

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