獣医師に聞く、犬のアンチエイジング(老化防止)5つの秘訣!

飼い主を見上げる楽しそうな2頭のノーリッチテリア犬

愛犬のリンリンも13歳になりました(上写真の左)。数年前は後肢の靱帯断裂もしましたが、シニア犬が健康診断「わんドック」初体験!で問題ナシだったとおり、今朝も元気にボールを追いかけていました。ノーリッチ・テリアという生粋のテリア犬種ですから、たとえ老犬になっても身体に無理のない程度で、運動欲求は満たしてあげたいものです。いつまでも愛犬が健康でいられるように!ということで、今回は、アキホリスティック動物病院の菅野晶子先生に、アンチエイジングの5つの秘訣を教えていただきます。

<今回の取材でご協力いただいた先生>

アキホリスティック動物病院 院長
菅野晶子 先生
獣医師。アキ ホリスティック動物病院の院長。鍼灸師の国家資格も持ち、東洋医学と西洋医学の2つのアプローチから動物の病気の予防と治療に取り組んでいます。週に2回ほど、都内の赤坂動物病院でも、診察や鍼灸治療を担当。愛犬と愛猫とともに、AAA(Animal Assisted Activity)活動=動物介在活動も行っています。

▶アキ ホリスティック動物病院
東京都八王子市明神町2-18-2 エクレールソレイユ TEL:042-649-1925

<秘訣1>愛犬のタイプを知って生活の工夫を

とても基本的なことですが、まずは愛犬のタイプを知ることが重要だと、菅野先生。動物病院の健康診断で病気の有無を定期的に検査するのはもちろん大切ですが、それ以前に、飼い主さんが愛犬を毎日よく見れば気づけることも多いそうです。“うちのコ”のタイプがわかれば、あとは家庭での対処法を実践してみましょう!

「アタチのこと、よ~く見てね!」(by筆者愛犬リンリン)
 

たとえば、

窓を開けていると、外の音に敏感に反応して吠える
⇒興奮や緊張は心臓への負担を増やすので、音楽をかけたりテレビをつけたりして外の音が気にならないような環境を作る

「アタチは外の音には吠えないけどね」(byリンリン)
 

冷やした水を飲ませると便がゆるくなりやすい
⇒冷えやすい体質なので、夏でも常温の水を飲ませるようにする

最近うんちが出にくくて硬めかもしれない
⇒水分や肉や魚のゆで汁、食物繊維の豊富な野菜を食事に足すようにする
など。

ちなみにリンリンは、毎朝食後に自宅でうんちをしていましたが、ここ半年は散歩に出て腸が刺激されないと排便しないように。そこでさっそく、煮汁や季節の野菜をドライフードに混ぜるようにしたところ、快便になりました。

ほかにも愛犬のちょっとした変化に気づいたら、犬の専門家が対処法を伝授しているWebサイトを参考にしたり、かかりつけの動物病院で相談をしてみるのをおすすめします。

煮汁を飲むノーリッチテリア犬
「最近は煮汁のおかげで快便で~す」(byリンリン)
 

 

<秘訣2>季節とともに暮らす

菅野先生は、日々の生活で季節の食材を取り入れる重要性を説きます。
「夏に旬を迎える野菜や果物は、体を冷やしたりミネラルを豊富に補給できたり。逆に冬のものは体を温めたり。わたしたちの体の状態を健やかに保てるよう、自然界の工夫がなされているんです。ぜひ、愛犬のごはんにもトッピングしてあげてください」とのこと。

アンチエイジングのために生活を見直したいのは、いわゆる“中年太り”しやすくなり、体の代謝機能が落ち始める7歳頃からだそうです。もし愛犬にドライフードだけしか与えていないようならば、ぜひ季節の食材のトッピングを。

「旬の魚を茹でて与えるのもおすすめです。シニアドッグになると、自発的に水分を摂らなくなるコが少なくないので、ゆで汁も足して水分補給も心がけてくださいね」(菅野先生)。

「おかげで水分は十分よ♪」(by菅野先生の愛犬ウメちゃん)
 

 

<秘訣3>ジェモセラピーやオゾン療法でデトックス

年月を重ねるうちに、どうしても、体内の臓器に老廃物や有害物質などが蓄積されてしまいます。「化学合成されたサプリメントを摂取しすぎても、肝臓に薬品添加物が蓄積されてしまうので好ましくありません」と、菅野先生は語ります。そこで、シニアドッグや老犬にこそ、老廃物や毒素を排出させて=デトックスを促してあげたいものです。

シニア犬こそデトックスが大切
 

その方法のひとつで、最近、日本で注目を集めているのがジェモセラピーだとか。
「新芽療法とも呼ばれている、植物の効力を凝縮したハーバルサプリメントです。米国の獣医師であるDr.ステファン.R.ブレイク先生が動物用にも推奨。1971年にフランスで臨床結果が発表されてから、ヨーロッパの医学界では人間医療にも広く活用されているんですよ」とのこと。

ハーバルエッセンスは、飼い主さんが愛犬の飲み水やフードの上にスポイトで垂らすだけという与えやすさもメリットです。ジェモセラピーのエッセンスには、消化システムを癒す『フィグツリー』、良質な血液の循環『ヨーロピアンオリーブ』などがあります。

同じように、血液循環を改善して毒素を自力で排出する役割を果たす療法に、オゾン療法があります。こちらは飼い主さんが気軽に行うことはできず、オゾン療法を行っている動物病院で、症状や体調にマッチするオゾン量を的確に判断してもらって、肛門などから獣医さんに注入してもらいます。

オゾン療法は、簡単に言えば免疫力が高まると考えてください。加齢に伴って起こるさまざまな症状を軽くでき、アンチエイジングにつながります」と、菅野先生は教えてくださいました。

オゾン療法はまったく痛くありません。このワンちゃんは月に数回、オゾン療法に訪れているそうです。

 

<秘訣4>愛犬の体を伸ばす&マッサージ

愛犬の体のストレッチ&マッサージすると、血の巡りが良くなり、ツボ刺激にもなるのでおすすめです。「愛犬が自分で触れないところを刺激するのが、カギ!」とのこと。

犬の毛並みに沿ってマッサージ
「毛並みに沿って触るのがポイントです。」
「愛犬が触られて気持ち良さそうな場所と強さを探りながら、行ってくださいね」
仰向けの犬
「鼠径部など、リンパの流れが良くなるところを中心にほぐすのがコツです」
ポメラニアンの口周りをマッサージ
「口のまわりの咬筋をほぐすと、唾液の分泌が増すので歯周病対策のひとつにもなります」

「私は鍼灸治療も行っていますが、ツボが厳密にはどこにあるのか、飼い主さんにはなかなかわかりづらいかもしれません。なので、とにかく、気負わないで、愛犬の体のどこでもいいので触ってあげてください(笑)」と、菅野先生から、飼い主である私もリラックスできるような一言も。確かに、施術者が硬くなっていては、愛犬にもその緊張が伝わってしまいます。
愛犬との癒しのスキンシップタイムとして、毎日3分でも良いそうなので、私も行ってあげようと思います!

 

<秘訣5>土を踏みしめさせる

よく言われている「愛犬の散歩コースを毎日変えて、脳に刺激を」というアドバイスのほか、菅野先生は「可能な限り、土や草を4つの足で踏みしめさせてあげてほしい」と語ります。

散歩では土の上を歩くのがよい刺激に!
 

コンクリートからは、自然なにおいが感じられません。少しでも自然のにおいや感触を得られるよう、そのことで愛犬が心地よくうれしくなるよう、たとえ老犬になって公園までは抱っこで行ったとしても、数歩でもいいので土や草の上を歩かせてあげたいものです。

以上、菅野先生からのアンチエイジングの5つの秘訣、いかがでしたか?飼い主さんが気軽に始められることが多いので、ぜひ今日から実践してみてください!

臼井京音

ドッグライター、写真家、東京都中央区の動物との共生推進員 ドッグライター・写真家として、およそ20年にわたり日本各地や世界の犬事情を取材。毎日新聞の連載コラム(2009年終了)や、AllAbout「犬の健康」(2009年終了)、現在は『愛犬の友』、『AERA』、『BUHI』など、様々な媒体で執筆活動を行う。オーストラリアで犬の問題行動カウンセリングを学んだのち、2007~2017年まで、東京都中央区「犬の幼稚園 Urban Paws」」の園長・家庭犬のしつけインストラクターとしても、飼い主さんに…

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