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犬がため息をついたり「フン」と鼻を鳴らすのは?行動学の専門獣医師が解説


愛犬がフーッと大きなため息をつく。フンと鼻を鳴らしてアピールする。ピーピー高い声で切なく鳴く。犬が口を開かずに出す声、いろいろありますよね。犬にとってはこれも立派なコミュニケーション・ツール。今回はそんな犬の「鼻鳴らし」の意味をお伝えします。

 

「フーッ」というため息

●リラックス
「フーッ」というため息は、うちの犬もよくやります。リラックスしているときに大きくため息をついてから寝たり、丸まって寒そうにしているときにブランケットをかけてあげると、「ようやく温かくなった」とばかりに幸せそうにため息をついたりします。

毛布に包まれているチワワ

●あきらめ
あきらめのため息もあります。以前、アジリティを教えている学校に見学に行ったとき、そこの訓練士さんが、まだパピーのやんちゃ盛りのラブラドールを訓練していたのですが、全然言うことを聞かないので、頭をパンと叩いて罰を与えていました。最初はそれでもめげずに暴れていましたが、そのうち言うことを聞かないとずっと痛い目に遭うと気づいたようです。ある時点で、パタンと倒れて「フーッ」と大きなため息をつき、その後は一切抵抗をしない。完全にあきらめのため息でした。

●疲れている、体調が悪い
疲れているときや体調が悪いときにもみられます。そのときの犬の様子や表情、ため息をつく前に何が起きたのかなども含めて判断しないと、ため息の意味はわかりません。

 

飼い主の気を引く「フン」

ため息とは違いますが、「フン」と鼻を鳴らすことがあります。例えば、うちの子は、私が何か仕事に集中していて存在に気づかないでいると、「フン」と言って「ここにいるよ」とアピールしてきます。

犬は、吠えてはいけないと教えてあると、「かまって」とか「遊んで」とか、口を閉じた状態で息だけでコミュニケーションしてくることがよくあります。

 

病気かもしれない「フガフガ」「ガーガー」

短頭種の犬は骨格上、しょっちゅう鼻を鳴らしていますが、短頭種に多い軟口蓋過長症(上あごの奥にある軟口蓋が正常より長く垂れ下がって気道を塞いでしまい、呼吸障害が出る)になると、より激しく「フガフガ」や「ガーガー」という苦しそうな息づかいになります。鼻腔に腫瘍ができていたり、気管が細くなる気管支炎などでも、やはり呼吸がしづらくなってフガフガ言うことがあります。

 

高音の「ピーピー」

●不安
「ピーピー」という高音での鳴き声は、不安から来ることが多いです。年齢とともに不安、依存が強くなるので、うちの子も10歳を超えてからすごく増えました。

シニアのミニチュアダックスフンド

人間も同じですが、年齢が上がると、脳の中の不安を緩和したりリラックスする脳神経伝達物質が減るので、不安が強くなるのです。それまで平気だった花火や雷恐怖症になったり、分離不安を起こしたりして「ピーピー」が増えてきます。

●発情期
発情しているメスがいると、未去勢オスが鳴きます。メスとオスを飼っている友人宅では、メスがヒート中は1階と2階に離しているのですが、オスが離されるのを悲しがってずーっと鳴いている。ご飯も食べなくなる子もいます。ヒートがくるたびにオスにそんな苦しい思いをさせるなら、どちらかを避妊・去勢したほうがいいと思いますね。

●痛み
痛みでも鳴きます。手術後に麻酔が切れた子が、よく「ピーピー」と鳴いています。

●要求
「あれして」「これして」という要求から鳴くことも。例えば、付き添いがないと排泄できない子がいます。自由にトイレに行けるようになっているのに、トイレに行きたくなると「ピーピー」言って飼い主さんを呼ぶ。すると飼い主さんがそばに来て「シーシー」と言っておしっこをさせ、「いい子ね」とほめる。飼い主さんが習慣づけてしまったのでしょうが、これはちょっと大変だと思います(笑)。

 

「鼻鳴らし」には、対策が必要?

●「鼻鳴らし」もコミュニケーションの一環
アメリカでの研究ですが、飼い主と犬のペア何組かを対象にした調査で、飼い犬のいろんなシチュエーションでの音声、例えば遊んでいるときや悲しいときなどの声を録音しておいて、飼い主たちに聞かせるという実験を行いました。すると、ほとんどの飼い主が自分の犬の声が聞き分けられるし、その声が何を言っているのかも理解できたそうです。飼い犬と暮らしていて、その子が何を言っているのか意識して耳を傾けている飼い主なら、「ピー」という音声一つを聞いても、寂しさからなのか甘えているのかわかる。コミュニケーションが成立するということなんですね。

●「ピーピー」は叱らないで
飼い主さんに向かってワンワンいうのは要求吠えなので、やめさせなくてはいけませんが、「ピーピー」は基本、「叱らないで」と飼い主さんには言っています。分離不安などによるものなら対策が必要ですが、日常のコミュニケーション・ツールとして犬が飼い主さんにピーピー言うのに対して、いちいち「うるさい」と叱るべきではないと思います。

斜め上を見つめる茶色いミニチュアダックスフンド

●不安からくるピーピーには「バッチフラワーレメディ」がおすすめ
シニア犬が不安からピーピー言うのを緩和したいなら、バッチフラワーレメディ(植物療法の一種)を利用するのも一つの方法です。うちの子もずっとレメディを飲ませています。不安に関わる問題でよく使われるのは「ミムラス」「アスペン」。ミムラスは、例えば飼い主がいなくなるから不安になるというような、原因がわかる不安。対してアスペンは、雷や花火の音など、犬にとってなぜ恐いのか原因がわからない不安に効果があります。

「ウォルナット」もシニア犬によく使われます。心ではできると思っても肉体がついてこないことがありますが、そうした心と体の分離を減らして、自分の変化に順応できるようにしてくれます。例えば、人だと上司にがみがみ言われていつもへこんでしまう人が、ウォルナットを飲むと言われたことが気にならなくなる。犬だと、外の音に反応して吠える子が、音が気にならなくなる。そういった効果があります。

伏せをした寂しそうな顔のチワワ

また、犬も年をとると幼児返りをして、不安に加えて「あれして」「これして」という要求が多くなりがちですが、そういう気持ちを緩和してくれるのが、「チコリー」です。これらのレメディは単独でも使いますが、ミックスしてコンビネーションで使うことが多いです。お水やごはんに数滴垂らすだけ、味も香りもないので、とても使いやすいです。シニア犬の心の変化にお困りの飼い主さんは、一度試してみてはいかがでしょうか。

牧口香絵

獣医師、ペットの行動コンサルテーション Heart Healing for Pets 代表、AVSAB(アメリカ獣医行動学会)会員

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伏せをした上目づかいのキャバリア

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