【新連載】手足を舐めたり噛んだり…これってアレルギー性皮膚炎なの?/犬猫の皮膚専門医・小林真也先生コラム

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犬猫の皮膚・耳の専門病院「hiff cafe tamagawa×pet skin clinic」の小林真也です。今月から愛犬が抱えている病気(疾患)の割合が最も多い「皮膚疾患」について、症例などを交えながら役立つ情報をお届けしていきます。初回は、「アレルギー性皮膚炎」についてお話しします。

ワンちゃんが手足を舐める行動はよく見ますね。痒くて舐めている?癖で舐めている?と思っている方が多いかと思います。どちらも正解です。
ワンちゃんが舐める行動には3つのパターンがあると考えられます。
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1.痒みが原因

痒みを引き起こす皮膚病にアレルギー性皮膚炎というものがあります。アレルギー性皮膚炎は食事やハウスダスト、花粉などによって過剰な免疫反応を起こし皮膚が痒くなります。痒くなる部位の一つとして手足があり、舐める、噛むといった行動が表れます。舐めることによって唾液などが付着し、細菌やカビが繁殖することで皮膚炎を助長してしまうケースも少なくありません。悪化してしまうと脱毛を起こしたり、腫れてくることもあります。
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2.痛みや、違和感が原因

人でもぶつけたりするとさすって痛みを緩和させますよね。ワンちゃんも痛みがあれば舐めることで痛みを和らげようとします。場合によっては神経痛の様な痺れた痛みであれば手足を噛むといった行動が出ることもあります。また、単純にごはん粒や草の芒(のぎ:イネ科の植物の先端にあるトゲ状の突起)などの異物が足の裏に付着していれば、それが気になって舐めたりすることもあるかもしれません。指の間に砂利が挟まっていたなんてこともありました。
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3.行動学的問題

ワンちゃんはストレスや不安を感じた時に、気持ちをリラックスさせる為に手足を舐めます。子供のおしゃぶりと一緒ですね。時には皮膚炎を引き起こす位に舐め壊すこともあります。その様な行動が始まったタイミングで、「近くで工事が始まって物音が騒がしい」、「赤ちゃんが生まれた」、「いつも可愛がってくれていたお姉ちゃんが一人暮らしを始めた」などの環境の変化がないか考えてみて下さい。
429_IMG_7375また、時にはワンちゃんは飼い主さまの気持ちを引こうとして舐める事もあります。舐めると「ダメ!」、「コラッ!」のように叱ることも多いかと思います。この事を逆手に取り、かまってもらえない時は興味を引こうとしてわざと舐めたり、噛んだりしてみます。舐め始めるタイミングを観察してみましょう。

  
本当に痒くて舐めたり、噛んだりしているのか?

実は掻くような行動であっても、本当に痒くて舐めたり噛んだりしているのか、見直すことも重要かもしれません。
確かに近年ではワンちゃん達も室内飼育が主流になり、ドックフードやおやつの多様化によって様々なものを与えられている事から、アレルギー性皮膚炎が増えてきているのが実際です。我々の臨床現場でもアレルギー性皮膚炎で困っている患者さんは多くいます。犬のアレルギー性皮膚炎は遺伝的な背景があり、柴犬、ウェスト・ハイランド・ホワイト・テリア、シーズー、ゴールデンレトリバーなどは好発犬種(※)とされています。また年齢も3歳未満の発症が多いため、幼少期の行動は気をつけて観察した方が良いでしょう。
※好発とは発生頻度が高いことをいいます。疾患が発生しやすい犬種を「好発犬種」といいます。

  
アレルギー性皮膚炎とは?

アレルギー性皮膚炎は湿疹ができる皮膚病ではなく、痒みがでる皮膚病で、その原因(アレルゲン)には食事、ハウスダスト、花粉、ほこり、ノミなど様々あります。ただなんとなく耳を掻いていたり、体を掻いていたり、足を舐めているといった行動がアレルギー性皮膚炎の前兆かもしれません。例えば、3歳くらいで「四六時中、痒がっている」と言う主訴で来院する場合があります。よくよく話を聞いていくと「小さい頃から外耳炎は繰り返していた」、「昔から足をよく舐めていた」などアレルギー性皮膚炎と関係ないと思っていたことが、その前兆である場合が少なくありません。
572_kakuまた、アレルギー性皮膚炎は年々悪化することも多いため、発症当時は気にならなくても、年齢を重ねていくうちに症状が表面化し、飼い主さんも気になり始めて動物病院に来院するケースもよく遭遇します。

ワンちゃん達の行動を見直すことが重要

まずはワンちゃん達の行動を見直すことが重要です。行動の裏には原因があるのです。「なぜうちのワンちゃんは足をよく舐めるのだろう?」「なぜうちのワンちゃんは耳をよく掻くのだろう?」など気になる行動があれば獣医さんに相談に行くと良いと思います。当然、ヒトも頭をポリポリ掻いたりするように、ワンちゃん達も自然な行動として掻いたり舐めたりはしますので過度に心配する必要はありません。

診断では問診が一番重要

もし痒みが原因で引き起こされている行動であれば、我々もアレルギー性皮膚炎を疑っていきます。アレルギー性皮膚炎の診断していく上で我々が一番重要にしていることが問診です。よくお話をお聞きするということです。

問診では、
 
今どのような皮膚トラブルで困っているのか?
それはどの部位でいつ頃から発症したのか?
ご飯やシャンプーの種類は?
散歩コースは?
今までの治療経過は?
薬の反応は?

 
などなど、様々な情報を教えて頂きます。
そういったお話から本当に痒みがあるのか判断していきます。

ワンちゃんの状況を理解することでアレルギー性皮膚炎の可能性が高いかどうかを判断するのです。アレルギー性皮膚炎は非常に複雑な病気です。もしワンちゃんがアレルギー性皮膚炎と診断された時には、飼い主さまが病気の事を理解し、どの様に治療を組み立てていくかを獣医さんと一緒に考えていくことが重要だと考えています。

s_429-572_161116_ecrit_A-021カフェからみた診察室

当院(hiff café tamagawa × pet skin clinic)ではカウンセリングに力を入れております。そのために、飼い主様が相談しやすく、ワンちゃんも緊張しない環境が大事と考え、カフェスタイルのクリニックでの診療となります。「カフェとクリニック?」と疑問に感じると思いますが、皮膚病や耳の疾患でお困りの方は是非一度ご相談にいらして下さい。
 

【セミナーのお知らせ】
180セミナー
hiff cafe tamagawa では、定期的にざまざまなセミナーを開催しています。参加ご希望の方、ぜひ詳細をご確認ください!

●2017年11月26日(日)
行動学獣医師・浦野先生によるパピーパティー

●2017年11月29日(水)
当院・後藤獣医師によるトリマー向けセミナー

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA獣医師 小林 真也先生
2005年に北里大学獣医畜産学部獣医学科を卒業後、埼玉県内の動物病院で勤務。
北里大学附属動物病院で2年間研修医として勤務し、現在はウッディ動物病院(寒川町)と川畑動物病院(横須賀市)で 皮膚科を中心に診療する傍ら、2016年10月に、東京農工大学皮膚科研修医で学んだ知識を生かし、東京都大田区田園調布に皮膚・耳の専門病院としてhiff cafe tamagawa×pet skin clinicを設立。
所属:日本獣医皮膚科学会、日本獣医がん学会

hiff café tamagawa × pet skin clinic

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