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猫が噛む理由は?甘噛みの正しい対処法を行動学の専門獣医師が解説

手を甘噛みするキジトラ柄の猫

猫を遊ばせていたら興奮してかまれた。ご機嫌でなでられていたのに突然、噛みついて逃げていった。そばを通っただけで足にガブッ。愛猫たちのそんな攻撃行動にとまどう飼い主さんも少なくないようです。これって遊び?それとも本気?今回は、甘噛みから本気噛みまで、猫の「噛む」原因と対策について。

猫が飼い主さんを噛む原因とは?

●動くものに興味がある
子猫のときは動くものに興味があって、遊びの延長で飼い主さんの手を噛むことはよくあります。小さい頃に猫同士で遊んだ経験がない子、とくに目が開く前から飼い主さんがケアして、他の猫との接触がまったくない環境で育つと、人の手を甘噛みしてくるケースが多いです。放置していると、本気噛みに発展することもあります。

●愛撫で誘発される
成猫でよくあるのが、なでてほしいと自分から膝に乗ってきて、最初はなでられてご機嫌なのに、途中で怒って噛みついて膝から飛び降りるケース。これは「愛撫誘発性」という猫の典型的な攻撃性の一つで、「猫とはそういう動物です」としか言いようがありません。自分のペースで接触したい動物なので、人のペースで触っていると、だんだんイラだってくるのでしょう。

●ハンティング欲求
飼い主さんをハンティングする子もいます。ある高齢の女性飼い主さんから、歩いていると猫が後ろから足に飛びついてくるという相談を受けました。その子の場合は噛まないのですが、爪を立てて押さえ込むので危険です。猫は狩猟本能が強いので、動くものを見ると駆り立てられる。遊びのこともありますが、本気で襲うこともあります。

●八つ当たりで攻撃
“本気噛み”で、よく相談があるのは「転嫁(てんか)」の攻撃性。攻撃の矛先が直接のターゲットではなく第三者に行く、いわゆる八つ当たりです。例えば、外にいる猫を見ると怒り出して家中を駆け回り、近くにいる人の足を噛むという症例。本来は外にいる猫に向かいたいけれど、それができないからそばにいるまったく関係のない人に矛先が行く。ご家族は皆さん逃げているそうですが、おじいさんが噛まれて入院する事態になりました。

猫は一回嫌な経験をすると、嫌なことが起こった場所やにおい、人とリンクさせて、その後も攻撃をくり返すことがあります。

●歯の生え変わり時期や発情期にも
その他、歯の生え変わり時期や発情期にも噛むことがよくあります。



猫の甘噛み・本気噛みにはこう対処する!

●人の手で遊ばせない
犬も猫も、小さいときから絶対に人の手で遊ばせないこと。最初からおもちゃで遊ばせる習慣をつけることが大事です。

●噛まれる前に遮断!
噛まれそうなタイミングを見極めて、噛まれる前に遮断すること。愛撫誘発性なら、猫がイラだってくれば、体が緊張したり、ゴロゴロ言わなくなったり、しっぽがパタパタ動き出したりするので、そんなサインが見られたら、噛まれる前に膝から降ろします。

●生活環境に猫の必須アイテムを揃える
爪とぎやトイレなどの猫として生きていくための必須アイテムを生活環境にきちんと置くことによって、ストレスレベルを下げることも重要です。例えば、猫には爪とぎが絶対必要で、爪とぎを与えても使わない場合は、素材を変えてみたり垂直に置いてみたりして、使う工夫をすること。またトイレの清潔度合いや猫の嗜好に合っているかも大事な要件です。

●“ダメ”の教え方は「天罰方式」で
甘噛みをしてはいけないと教えるとき、犬では「いけない」とか「ダメ」とか言って、叱っていることをダイレクトに伝えることが多いです。もちろん猫の場合も「ダメ」と言葉で教えてもいいのですが、そのとき猫を怖がらせてしまうと、飼い主さんに寄りつかなくなったり、成猫だと飼い主さんを襲うきっかけになることも。

ですから、猫に教えるときは「天罰方式」がおすすめです。パフパフ音がするラッパホン、ホコリを払うためのエアダスター、シューシューという音が出るペットコレクターという商品もあります。こうしたものを隠し持っていて、猫が甘噛みをしてきたときに、飼い主さんがやったとわからないように音を出して驚かせます。してはいけないことを遮断する刺激は、恐怖心やトラウマを植え付けないレベルであることがポイント。猫は水が嫌いなので、水を使うのはNG。耳がいいので音が一番有効でしょう。

犬だと、ブリキ缶にコインをたくさん入れてじゃらじゃらと金属音を出したりしますが、たぶん猫は怖がると思います。ブリキ缶をペットボトルにしたり、コインの枚数を減らすなど、猫に恐怖心を与えない程度に音のレベルを調節してください。


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●いたずら防止の苦味成分を利用
足を狙って噛んでくる子には、犬のいたずら防止に使うビターアップルのような苦味成分を利用するのも手。また猫は夕方と朝方に行動が活発になる傾向があります。もしハンティングや遊びの行動が出やすい時間帯がわかっていたら、事前に音の出るものを持って対応してもいいでしょう。


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●遊びでストレスを発散
前述のハンティングされる飼い主さんの猫はまだ2歳。遊びたい盛りなのに、飼い主さんが高齢で足が悪くて遊んであげられない。猫らしい動きができないからストレスがたまるし、コミュニケーション不足でもある。満たされていないからハンティングをしてしまうんですね。

その飼い主さんには、ご本人があまり動かなくても遊んであげられる釣竿タイプのおもちゃをオススメしています。


猫じゃらし おもちゃ 釣竿

 

噛まれたときにやってはいけない対処法とは?

●鼻をピン!と指で叩いたり、頭を叩いたりするのは効果なし
猫のしつけでは犬以上に体罰的な方法が合いません。人の手は温かいもの、優しいものだということを教えることが大切。威圧的なしつけにより攻撃性が誘発されてしまうので、噛んできたらそれをさせ続けないような動きをすることが基本。いけない行動であることを、タイミングよく音の刺激を使って教えます。

●悪いことをした後は接触しない
噛みついた後に猫がすり寄ってきたり舐めてきたら、「いい子ね」とほめる飼い主さんがいますが、お勧めできません。「いい」と「悪い」が近過ぎて、何がよくて何が悪いのかわからなくなってしまうからです。悪いことをしたら叱る、そのあと何かプラスなことをしてきても、それに対してリアクションはしないこと。

●NGなおもちゃもある
おもちゃには、オススメできないものもあります。例えばレーザーポインター。狩りは追いかけて捕まえて完結、それが楽しいのです。レーザーポインターは“捕まえて終了”がないから、猫にはすごくストレスになる。口でも手でもいいから触れることが重要なのです。

マタタビ入りのおもちゃも、マタタビに反応しない子もいれば、逆に興奮して攻撃的になる子もいる。おもちゃは、その子がどういうふうに使うのか、性格なども含めて選んでください。

以前、妊婦の飼い主さんから、4カ月の猫を大人しくさせたいというご相談がありました。しかし、それは無理な話。一番元気なときで、いたずらもするし走り回りもする。やはり、その動物のことをちゃんと知ったうえで飼うべきだと思います。

散歩がいらない、しつけがいらない、1泊2日ぐらいの旅行ならお留守番ができる…と、気軽に猫を飼う人が増えていますが、例えば西洋猫なら犬に近くて、お留守番できない子もいます。猫という動物のことを知ってから飼わないと、飼い主さんも猫も不幸になりかねません。

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