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猫の爪とぎの理由としつけ対策。爪切りは必要?|行動学の専門獣医師が解説

キャットタワーの柱ぶぶんで爪を研ぐ長毛の猫

大事な家具で爪をとぐのはやめて〜!せっかく爪とぎを置いているのになぜ使わないの? 愛猫の爪とぎに関する、飼い主さんのそんな悩みや疑問にお答えします。また、猫は自分で爪をとぐのだから、爪切りなんて必要ないと思っている方も多いようですが、室内飼育なら爪切りは必要です。今回は猫の爪の管理について。

 

猫が爪とぎをする理由とは

猫のことをよく知らずに飼い始めた人は、「大切な家具に傷をつけられると困るから、猫に爪をとがせたくない」と言います。でも、それは猫に「猫として生きるな」と言うのと同じ。オス犬が足を上げてマーキングするのと一緒で、動物の行動パターンとして組み込まれているからです。では、猫はなぜ爪とぎをするのでしょうか。

●爪を整える
猫の爪は、さや状の層になっていて、爪を研ぐことによって一番外側の古い層がはがれ落ちて、下から新しい爪が表れるしくみになっています。爪とぎは爪を整えるうえでとても大切です。
段ボール製の爪とぎで爪とぎをするスコティッシュフォールド

●マーキング
縄張りを意識したマーキング行動としても行います。爪をとぐことで、そこに爪あとを残す。指の間には臭腺があるので、同時ににおいも残す。視覚と嗅覚、2つのコミュニケーションで、「私はここにいます」と主張するわけです。だから爪とぎは、家の中だと、突き出た場所など目立つところですることが多いです。

●ストレス
実は、ストレスが強くかかっている子も爪とぎをします。のどをゴロゴロ鳴らすのは、猫がリラックスしてハッピーなときと思われがちですが、痛みや苦痛があるときにもします。それと似ていて、爪とぎも、いつものその子のパターンと違う、頻度が変わったというときは、心理的あるいは肉体的に何か負荷がかかっているサインの可能性があります。

●学習行動
これは学習行動の一つですが、爪を研いだら、飼い主さんから「そこで研いじゃ、ダメ」と言われた。その後、爪を研ぐとき、「これから研ぐよ。ここで研いだら怒るよね」と飼い主さんの顔をうかがうようになる。かまってほしいときに、わざとこれをやる子がいるんです。猫がもともと持っているものではなく、人と暮らすなかで身につけたコミュニケーションツールなんですね。

こっちを見ながら爪とぎする猫

 

爪とぎ上手にするためには?

「うちの子、爪とぎを与えても全然研がないんです」という飼い主さんが結構おられます。誤解されがちですが、爪とぎをしない=爪とぎをしたくない、ではありません。嫌いだから使わないんです。もし爪とぎではない場所で研いでいたら、その素材は何なのか、どんな場所を好んでするのか、よく見て似た環境を用意してあげましょう。使わないから諦めるのではなく、何が好きかを追究することが大切です。

●素材
素材は、麻、段ボール、カーペット、木、革、ロープなど、好みはそれぞれですね。

●角度やサイズ
角度は、平面に置いたものがいいのか、垂直がいいのか、斜めがいいのか。幅や高さなどのサイズも猫によって好みがあるので、試すしかありません。

段ボールの爪とぎの上に伏せる茶トラの猫

●置き場所
猫は、寝起きにストレッチの感覚で爪を研ぐことが多いので、最初の取っかかりとしては寝床の近くに置いてあげるのも手です。1週間置いてみてまったく使った形跡がなければ、場所を変えてみます。

●爪を研ぎたくなる工夫も
猫が爪を研ぎたくなるように、飼い主さんがサポートしてあげるのもいいでしょう。例えばマタタビ好きなら爪とぎに振りかけてみたり、タテ置きの爪とぎならおもちゃを引っ掛けてみたり。

おもちゃにつられる猫

それで猫が研いだらほめてあげる、をくり返す。猫は学習する動物ですから、ほめれば伝わります。

 

室内飼育なら、爪切りは必要!

外飼いの猫なら木などで自由に爪とぎができますが、室内飼育の場合は、十分な爪とぎができず、爪が伸びすぎてカーテンやカーペットなどに引っかけて爪が取れてしまったり、飼い主さんが引っかかれてケガをすることも。定期的な「爪切り」で爪の状態を管理することが必要です。

●自宅での爪切りを動物病院で教わる
爪切りは動物病院でもしてくれますが、猫は病院嫌いの子が多く、パニックになって連れていくこと自体が大変というケースも多いので、自宅でできるようにするのがベスト。方法がわからなければ、動物病院で教えてもらいましょう。

爪切りにはツール選びも大切です。使い勝手の悪い爪切りだと、切りづらくて猫も嫌になってしまいます。猫の場合はとりわけ“時間勝負”ですので、爪切り選びもアドバイスしてもらいましょう。私は、はさみタイプよりギロチンタイプがおすすめです。

●手をさわられることに慣れる
爪切りができるようにするには、手をさわられても大丈夫になるよう、さわる練習から始めます。ごほうびを使って、手を握ったらフードがもらえるという関連性を教える。つまり手を握られる=フードがもらえる、フードがなくなると同時に手が離れる、それをリンクさせて覚えさせます。慣れてきたら握るだけでなくて指を開くなど、刺激を増やしていき、爪を切るところまで慣らしていきます。

爪を切るときの姿勢は、四つ足立ちの状態でもできますが、仰向けにしたり、横倒しにしたほうが、コントロールしやすいでしょう。

●血管を切らないように注意!
爪を切るときは、最初からざくっと無造作に切らないこと。ピンクに透き通って見えるところは血管と神経が通っているので、そこを避けて先端だけを切ってください。光に透かしてみると血管が見えやすいので、爪切りは明るい昼間に行いましょう。

●慣れないうちは、1日1本ずつ
爪切りは前足も後ろ足も行います。ただし、一気に切ってしまいたいという気持ちを抑えて、最初は無理せず、1日1本ずつのペースで。慣れるにつれて2本、3本と増やしていきます。爪切りに慣れているうちの犬でも、前足と後ろ足は別の日に切っています。

●3〜4週間に1回をめやすに
爪の伸び方には個体差がありますが、爪切りの頻度は3〜4週間に1回ぐらいをめやすに。またヤスリがけは、やりすぎないこと。犬と違って猫の爪はさや状なので、やりすぎると割れてしまいます。犬のように爪を切るかわりにヤスリがけで済ます、というのは猫の場合はできません。

牧口香絵

獣医師、ペットの行動コンサルテーション Heart Healing for Pets 代表、AVSAB(アメリカ獣医行動学会)会員

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