犬の人生に自信をつけていくノーズワーク。すべての犬、すべての人が参加できるのが魅力!<体験編>

スニッファードッグカンパニー主催のセミナーに参加して、「ノーズワーク」にますます興味をそそられた私。(ノーズワークの説明は<講座編>へ)
そのときは自分の犬を同伴していなかったので、ぜひ体験してみたくなりました。すると、スニッファードッグカンパニー代表の細野直美さんの計らいで、東京のノーズワークのトレーナー仲間を紹介してくださることに。

犬のしつけやトレーニングをサポートする「ウィズサラダ」(横浜市南区)のドッグ・トレーナー梅井貴正さんから、友人宅でノーズワークのレクチャーを受けました。

レクチャーに参加したのは3家族
1:筆者/クーパー(ジャーポ)・メル(ボクサー)
2:友人家族A/ザイオン(ジャーポ)
3:友人家族B/シオン(ジャーポ)・イルカ(ワイマラナー)
※ジャーポ=ジャーマン・ショートヘアード・ポインター

フードサーチ梅井先生_429×286ザイオンのおうちにノーズワークのレクチャーに来てくれた梅井貴正先生と愛犬アール(甲斐犬)。

犬がイキイキ、どんどん意欲的に!

今回レクチャーしていただいたのはフードサーチ。見えない場所に隠されたフードを、犬が嗅覚を使って探しあてるゲームです。

実際に体験してみると…本当におもしろいっ!犬が生き生き!梅井先生の手際がよく、犬がフードを探しあてたら、サッと次のフードをダンボール箱に入れるタイミングが絶妙なおかげも大きいのですが、数回やると、すぐ犬が鼻で探すことを理解しました。そして次から次へと、自分でどんどん意欲的に探し始めるのです。すごい!犬の狩猟本能!そして嗅覚!

フードサーチ2_1アジリティー(※)やドッグダンスなどドッグスポーツが得意なシオン。すぐにノーズワークのやり方も理解した。シオンのシニア世代突入時の楽しみとして「ノーズワークは体に負担が少ないゲーム」ということから、シオンママは興味ありあり。
※アジリティー:ハンドラー(飼い主)の指示のもと、愛犬がハードルやトンネルなどの障害物を越えていく競技

フードサーチ9シオン_572×429床に置いた複数のダンボール箱から見つけるのはすぐにできるようになったので、わざとちょっと難しい場所にフードボックス(フード入りの箱)を置いてみる。シオンは自分で考え、鼻を使い、ちゃんと発見。お見事。探索中の夢中な犬の動きを見るのが本当に楽しい。自分の犬だけでなく、よその犬の動きを見るのも楽しい!

愛犬が、本能に忠実に、野性的なキラリとした目つきをして、嗅覚を使って一心不乱にフードを探しあてる姿を見ると、愛犬の今まで見たことのない一面を垣間見ることができ、これがまた飼い主にとって大きな喜びとなります。

フードサーチ6_572×429梅井先生曰く「最初はどの犬も視覚で探す」。でもすぐにイルカも嗅覚で探し出した。先生の左手には次のフードが隠されている。集中力が続くのは1分半〜2分程度。成功させてから1ゲーム終了する。失敗をさせないで確実にステップアップさせることが重要。

ちゃんと次から次へとフードを見つけ出す犬の姿に感動し、「グッドドッーーグ!」とか言いたくなっちゃったりしますが、そこはグッと我慢し、飼い主はじっと銅像のように静かにしていないといけません。

フードサーチ メル_572×429フードサーチに初めて挑戦したメルも、すぐに鼻で探すことを理解。ちょっとびっくり。やはりメルも使役犬ボクサーだった。ちゃんと嗅覚を使わせないと宝の持ち腐れだ。

愛犬の自主性を育むためには、飼い主自身の犬への依存心や過保護な気持ちを制する必要もあるんだなぁと感じました。いろいろなことを気づかせてくれるトレーニングです(飼い主がトレーニングされているとも言う!?)

フードサーチ クパ_572×429クーパーも必死にニオイを探索中!

<ノーズワークに必要なもの>
1.ダンボール箱
2.フード
ノーズワークのときだけに使う特別に美味しいトリーツ
3.ハーネス
ノーズワークのときだけに使用する専用ハーネスがよい。「このハーネスをつけたらノーズワークをするよ!」と関連づけて、集中力を高めるため。
4.リード
室内で安全が確保されているならオフリードがよい。長さはどこで練習するかによる。フレキシリードはNG。
5.練習場
安全が確保できるところ。できれば室内がよい。屋外ではほかのニオイなど誘惑が多いのでビギナーには不適。

 

トイレ・トレーニング並みに普及してくれたら…

本当に新鮮な気持ちで取り組むことができました。練習のあと、セミナーで細野さんが言っていた言葉を思い出しました。「トイレ・トレーニングくらいに、ノーズワーク(フードサーチ)が日本に普及するといいな」。そうなれば、日本の犬のハッピー度がもっと増すはずです。

フードサーチ9ザイオン_572×429「ニオイは重たい」と梅井先生。だから犬は低いところ、地面近くの方が探しやすい。反対に、上部に隠された方がニオイを発見しにくい。だけどザイオンは高いところに隠されたトリーツもあっさりと発見。さすが作業意欲の高いガンドッグ♪

これから細野さんや梅井さんやその仲間たちがどんどん増えて、関西圏、関東圏はもちろんそれ以外でもノーズワークを教えてくれるトレーナーさんが増えていき、一般飼い主さんと犬がもっと体験できるチャンスが増えることを願います。

引き続き、クーパーもクンクンする喜びを与える機会を増やしていきたいと思います。ノーズワーク(フードサーチ)はこれからも要チェックです!

フードサーチ10ザイオンアップ_572×429嗅覚を使って集中しているときは、犬にとって最高にエキサイティングな時間。だからそんなときに飼い主は声をかけない、目を合わせない、犬の楽しい時間をジャマしない。これって今までのトレーニングとはまったく逆の発想で、目からウロコです。でもただ拾い食いを強化してはいけないし、やり方にルールはある。基礎をしっかりプロに習うことが必要。

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白石かえ

犬学研究家、雑文家 東京生まれ。10歳のとき広島に家族で引っ越し、そのときから犬猫との暮らしがスタート。小学生のときの愛読書は『世界の犬図鑑』や『白い戦士ヤマト』。広告のコピーライターとして経験を積んだ後、動物好きが高じてWWF Japan(財)世界自然保護基金の広報室に勤務、日本全国の環境問題の現場を取材する。 その後フリーライターに。犬専門誌や一般誌、新聞、webなどで犬の記事、コラムなどを執筆。犬を「イヌ」として正しく理解する人が増え、日本でもそのための環境や法整備がなされ、犬と人がハッピ…

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