フードガード、要求吠え、拾い食い…食に関わる様々な問題行動と、その対策

食への執着が強すぎる、食事時間になると吠えて催促する、隙あらば拾い食いや盗み食いをする…。犬の困った行動には、食に関わるものがたくさんあります。今回は、そんな問題行動とその対策について取り上げます。

 

Q.食事中に近づくと、唸って威嚇します。

●食事の場所や食器を変えてみる
食への執着が強く(フードガード)、食事中に近づくと唸るという相談をよく受けます。ひどいと、食器を置いた手を引いたときに咬んできたり、空の食器を下げられないことも。

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対策は、フードガードのレベルにもよりますが、まず食事の与え方を変えてもらいます。例えば、いつもケージの中や決められた場所であげている場合は、廊下、キッチン、玄関など、毎日場所を変えてみる。同じ場所で与えていると、場所にも執着が出てくるんです。また食器に執着している可能性もあるので、食器を変えてもらうこともあります。

●「オスワリ」ができるコなら、こんな練習も
また「オスワリ」ができるコだと、こういう練習をすることもあります。

1.フードボウルを2個用意し、1個は空、もう1個には1食分のフードを全部入れておきます。

2.犬にオスワリをさせ、目の前に空のボウルを置き、飼い主さんはフード入りのボウルを持って、犬の前に立ちます。

3.フードを5分の1ずつ取り出して(1回の食事で5回は練習したいので)、犬の前のボウルに入れ、「どうぞ」と言葉をかけます。

4.犬がすぐに食べ始めてもOK。食への執着が強いコは、待たされるとイライラするので、「マテ」はさせなくてもかまいません。

5.犬が食べ終わって顔を上げたら、またオスワリをさせ、「どうぞ」と言ってフードを入れます。それをくり返すことで、人間の手はフードをくれるものだと認識させ、「どうぞ」「もらえる」意味だとリンクづけさせていきます。

6.当初は、「どうぞ」とフードを入れたらすぐに手を引きますが、慣れてきたら、手を食器の中に入れたままにしたり、犬が食べている最中にフードを追加したりする練習をしていきます。

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●「オスワリ」「マテ」で、吠えない状況を作ってから与える
犬がクンクン鼻を鳴らす程度ならいいのですが、ワンワン吠えて要求したからとフードをあげていると、ムダ吠えにますます拍車がかかってしまうので、気をつけてください。もっとも、いったん吠えが止まったからと食事の支度を始めると、犬がそれを察知し、また吠え始めて与えられなくなる、ということも起こりがちです。

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そこで、あらかじめ吠えるのがわかっているなら、先にケージから出すなりコマンドを与えるなりして、吠えない状況を作ってから与えるといいと思います。例えばケージに入っていてもワンワン吠えて要求するコだったら、食事の準備をする前にケージから出して、「オスワリ」「マテ」の指示をして、待たせる状態を作ってから準備しましょう。

 

Q.お散歩中の拾い食いを止めさせたいのですが…

●一番いい対処法は、拾い食いの癖を絶つこと
拾い食いは、とくに子犬に多いですね。葉っぱぐらいならいいのですが、タバコやガム、キャンディーの包み紙、それに意外と木も危ないです。バリバリ噛ませていると、知らない間に歯が折れている。損傷がエナメル質だけでなく歯髄まで達すると、そこから感染して歯根部が炎症を起こしてしまいます。また、野良猫や外猫のウンチを食べるのは、病気や寄生虫に感染することもあり、さらに危険です。

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お散歩中だけでなく、小さいお子さんのいるご家庭では、お子さんの食べこぼしをすかさず拾って食べるコも。拾い食いは、飼い主さんが気をつけていても限界があるので、一番いい対処法は、拾い食いの癖を絶つことです。

●ジェントルリーダーがおすすめ
拾い食い防止におすすめなのが、ジェントルリーダーです。ジェントルリーダーは、犬のマズルと首の高い位置(耳の付け根近く)の2か所にループを装着させる、引っ張り癖を直すトレーニング用具ですが、拾い食いの抑止にも効果があります。

拾い食いをするコに一番適さないのが胴輪で、首が動くのでコントロールできません。

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拾い食いをするコは、お散歩中でもだいたい下ばかり向いているのですが、お散歩はそもそもそういう時間ではありません。飼い主を意識して歩くという、お散歩の基本マナーを徹底的に教えるとともに、拾い食いをさせない練習をしていきます。

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●室内でいろんなものを落として、練習してみよう

まず脚側歩行、人の横について歩くことをマスターさせます。その上で、拾い食いをさせない練習を室内で行います。
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廊下などに、初めは食べ物ではなく、お気に入りのおもちゃなどを置きます。そして一緒に歩くと、犬はそれが気になって、そちらに行きそうになりますが、「ダメ」と言って、リードをクッと引きます。これを何度もくり返すと、やがて犬はあきらめ、おもちゃを見ても自分の判断で行かなくなります。

そうなれば、今度はシチュエーションを変えて、おもちゃを食べ物にしてみます。ただし、食べ物を生身で置くと食べられてしまうので、最初は袋などに包んで。こうしていろんなものを床に落としてみて、犬が言うことを聞けるかどうかの練習をくり返します。

一番よくないのは、犬が口に入れてしまったものを、あわてて口をこじ開けて取り上げようとすること。物欲が強い犬であればケンカになりますし、次からは取られないようにすぐに飲み込むようになってしまいます。

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拾い食いの習慣のある犬は日頃からトレーニングの一環として、「ちょうだい、はなして」のコマンドで物品を快く口から離す練習をしておくことも大切です。はじめは執着の低い物品で練習をし、徐々に執着の高い物品でもできるかどうか練習を重ねていきます。万が一危険な物を口にくわえてしまったときの危険回避にも役立ちます。

 

Q.ちょっと油断をすると盗み食いをします。

●トレーニングではなく、飼い主さんの管理で防止を
盗み食いは、飼い主さんの管理の問題です。犬の口が届くところに置いておけば、取って食べるのは当たり前だと考えてください。よくあるのが、高齢者のご自宅で、和室の低いテーブルに食べ物を置いておいて、盗み食いされるケース。

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テーブルに乗るな、食べるなというほうが無理で、そういう場所に犬の興味を引くものを置かないことです。訓練の入っているコは、飼い主さんの管理下であればしませんが、飼い主さんがいなければやります。最終的には、トレーニングではなく飼い主さんの管理で防ぐしかありません。

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石井 香絵

獣医師、ペットの行動コンサルテーション Heart Healing for Pets 代表、AVSAB(アメリカ獣医行動学会)会員 麻布大学獣医学部を卒業し動物病院で一般診療を行った後、動物行動学、行動治療を学ぶために渡米。ニューヨーク州にあるコーネル大学獣医学部の行動治療専門のクリニックに2年間所属し帰国。現在はワンちゃん、ネコちゃんの問題行動の治療を専門とし臨床に携わる傍ら、セミナー・講演活動など幅広く活躍。2013年からは、アニマル・クリスタルヒーリングのファシリテーターの養成を始める。愛…

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