犬は飼い主の言うことをよく聞いて、賢い動物だと言われますが、皆さんのワンちゃんはいくつぐらいの指示ができますか?犬への指示はオスワリ、フセ、マテ、モッテコイなど様々ありますが20個も理解できていればとっても優秀だと思います。ちなみに、手や足に障がいのある方の手助けをする介助犬は50個前後の指示を聞き分け、ユーザーのお手伝いをします。では、いったい犬はいくつの単語を理解できるのでしょうか?
物を見分ける実力は?
物を見分ける能力のことを弁別といいますが、これを利用して犬がいくつの単語を覚えられるかが調べられています。2004年にドイツで行われた研究ではリコというボーダーコリーが約200語を覚えたという報告がされています。さらに、リコはすでに知っている3つの物と、知らない1つの物が目の前にあったときに、指示された言葉が聞いたことがない単語であれば知らないものであろうと推理し、正しいものを選ぶことができた、つまり、消去法ができました。
これだけでもとってもすごいのですが、2011年にリコのさらに上を行く犬が現れました。アメリカの心理学者のジョン・ピリー博士が飼っていたメスのボーダーコリー、チェイサーは、なんと1022個のおもちゃの名前を理解する犬として紹介されました。しかも、チェイサーは覚えた単語を32ヶ月間忘れず、毎月のテストで正解率95%以上の成績を残したのです。
※チェイサーの様子はこちらの動画でご覧いただけます。
※写真はhttp://www.chaserthebordercollie.com/より転載
物の弁別は一見難しそうですが、きちんと段階をふんで教えてあげれば、一般の家庭犬でも指示された特定の物を取ってくることができるようになります。犬は飼い主の細かい表情や動きを読み取ることがうまいので、それらがヒントにならないよう(クレバーハンス効果といいます)に気をつけなければなりませんが、皆さんもチャレンジしてみるとおもしろいかもしれません。
親や兄弟を覚えているのか?
記憶に関してもう一つ興味深い実験があり、犬が二年間離れた親犬や兄弟犬を覚えているか実験した研究があります。それによると母犬は子犬のことを、また子犬も母親のことを覚えていたが(互いに近づく、または互いのにおいのする物に近づく傾向が親子関係にない犬と比べ多かった)、同腹の兄弟(ずっと一緒に暮らしていない)を識別できなかったそうです。
ですから、しばらく会っていない兄弟犬とのオフ会などでは、互いのボディーランゲージを飼い主がよく観察し、広い場所で挨拶するなどケンカが起らないよう配慮してあげる事が必要かも知れませんね。