子犬や子猫、人間の赤ちゃんを見ると誰しも「かわいい!」と思うのではないでしょうか?なぜ我々が動物の赤ちゃんを「かわいい」と思うかは、彼らの見た目に「ある共通点」が隠されているからなのです。
「かわいい」に共通する特徴とは?
多くの動物の赤ちゃんには「頭が大きい、目と目の間が離れている、鼻と口が小さく頬がふくらんでいる、目鼻が顔の低い位置にある、手足が短く丸くてずんぐりした体型をしている、動作がぎこちないといった特徴があります。これらの特徴は「ベビースキーマ」と呼ばれ大人に「かわいい」と思わせ、世話や保護を引き出す重要なカギとなります。
つまり、「かわいい」は自分の力だけでは生きていけない未熟な赤ちゃんが大人の力を借りて生きていくための戦略なのです。余談ですがこれらの特徴はデザインに応用され、人気のキャラクターを生み出す一つの要因となっています。
動物の子供はパーツの配置が似通っている
幼さを残して成長する「ネオテニー」
一方で、犬はその祖先であるオオカミの幼少期のような外見をしています。これはネオテニー(幼形成熟)という現象で、性的に完全に成熟した状態、つまり大人でありながら幼い頃の性質を色濃く残こすというものです。
例えば、犬はオオカミと比べると、体が小型化し、マズルが短く、耳がたれる、あごが小さくなる、巻き尾などの子オオカミの身体的特徴が残っているのがわかると思います。このように犬は人に家畜化される過程でその外見を変化させてきたといわれています。
(右)オオカミの成獣と(右)フレンチブルドッグの成犬
フレンチブルドッグは成犬になっても幼獣の特徴を残している
外見だけではない、犬が人と仲良くなれたワケ
また、ネオテニーは外見だけでなくその気質や行動にもみられます。子供の気質的な特徴として好奇心旺盛で、恐れを知らず、物事に対し柔軟であることがあげられます。つまり、犬は本来生活する環境と異なった人社会で生きる柔軟性を進化の過程の中で手に入れてきたため、ここまで人と共生することができたと考えられています。行動面ではオオカミは幼少期に兄弟とあそぶ「遊技行動」が頻繁に見られますが、大人になるとこの遊びは減ってきます。
対して、犬は小さいときからよく遊び、大人になってもドッグランで犬同士プロレスごっこをしたり、飼い主とボール遊びや引っ張りっこ遊びをしたりと遊ぶことが大好きで、遊技行動がなくなりません。つまり犬は他個体との関わり合いが大好きなのです。遊びで生じる楽しい気持ちは、結果として相手との親和的な関係性を深めます。ですからイヌと遊ぶことは飼い主に対する愛着をより強くしていくのです。