イヌを扱う達人たちに、イヌとの会話の“極意”を学ぶ!【前編】

【前編】【後編】

こんにちは!イヌ関連のメディア、イベントなどに20年ほど深く深く関わってきた花岡こと “遊ママ” です。

これから涼しくなる本格的な秋に向けて、イヌも人も動き出します。ドッグ・ショーや訓練競技会などがシーズンとなってきますね。私も愛犬ルーサを大きなドッグ・ショーに出陳する予定にはしているので、なまけていた分、私なりにトレーニングにまじめに取り組まなければなりません!^^;

イヌとの“会話”はタイミング

ところで、先般、麻布大学で行なわれた日本ペットドッグトレーナーズ協会(JAPDT)主催のカンファレンスにおじゃまさせていただきました。3日間にわたり5人の講師により開催されましたが、いずれの日も多くのドッグトレーニング関係者や学生たちが集まり、各日それぞれ約200人ほどが来場したということです。それだけ人気が高かった要因のひとつは、海外から動物行動学の専門家を呼んでいたということもあるようです。

集合

動物行動カウンセラー:ヴィベケ・S・リーセ氏 と スウェーデン在住の藤田りか子氏(前列中央)JAPDTのスタッフの皆さんと。
 会場

JAPDT第8回カンファレンス会場風景。年に一回、世界の第一線で活躍している国内外の講師を招き、カンファレンスやワークショップなどの学びの場を提供しています。

今回は、名著 『ドッグ・トレーナーに必要な「深読み・先読み」テクニック:犬の行動シミュレーション・ガイド』 でも知られる 動物行動カウンセラー・デンマークのヴィベケ・S・リーセさん と、翻訳を携わった スウェーデン在住の藤田りか子さん により海外(ヨーロッパ)の情報や、特に “カーミングシグナル※” といったイヌから出されるサインやボディランゲージについてのレクチャーが興味深いものでした。

※カーミングシグナルとは?:犬のボディランゲージで「不安」や「ストレス」等を感じたときに、相手をなだめたり自分を落ち着かせるためにとる行動。「あくびをする」や「鼻、口の周りをなめる」「目をそらす」等。

カーミング1

(カーミングシグナル例)
舌で鼻をなめる…緊張している自分を落ち着かせるための行動のひとつ。または相手を落ち着かせようとしていることもあります。

カーミング2

(カーミングシグナル例)
遊びを誘うポーズ…この時、動きがあるようなら楽しく遊びを誘っていますが、この姿勢のまま動きを止めているようなら相手の様子をうかがっていたり出方を見ているときです。

カーミング3

(カーミングシグナル例)
目をそらす…目だけ左右にそらすのは、飼い主が正面から近づいたり見つめたときによくします。それは、友好的という意味と衝突を避けるためのよいマナーであるということです。

 動物行動学を通してトレーニングは日々進化しているんだなあ(よくも悪くも…)、とつくづく感じました。これまでのように、人からの一方的な解釈(強制)でペットと付き合い、しつけなどをしてきた時代はもう過去のこと。例えば問題行動に関しても、なぜそうなるのかをまず自分や環境を見つめ、彼らを見つめ、彼らの声を聞き、お互いを認め尊重しながら共存していこうよ、というのがこれからのスタンスなのだと思います。

カーミングシグナルはストレスサインや相手を静めるための“会話”であり、イヌを観察していると常に何かしらのボディランゲージやサインを発していて、つまり、“会話”をしているのです。でも、私含めてなかなかそのシグナルに気が付かないのが現状です^^;

これらのシグナルやサイン、ボディランゲージを素早く読み取ることでイヌとの“会話”が成り立つんですよね。彼らがどういう感情や気持ちでいるのか、スムーズに読み取れれば付き合い方がわかるというものです。

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例えば、しつけのトレーニングをしたいときに、いくら指示をしても指示通りにできない等のつまずきがある場合、まず飼い主である自分が深呼吸をして落ち着きます。そしてじっくりとイヌを観察してみると必ず何かしらのサインを出しています。

目を合わせなかったり、舌を出して鼻をなめてみたり、あくびをしたり、何度も体をプルプルしたりという行動が見られるものです。メンタル的にいっぱいいっぱいなのか、体力的に限界なのか、そのときの状況を見極めてあげることでイヌにも自分にもストレスが少なくて済むわけです。

実は過去にこんな体験をしました。13年ほど前、スウェーデンの「犬の学校」の校長先生、シッラ・ダニエルソンさんが来日したとき、彼女はもちろんカーミングシグナルもサインも読み取れる方です。でも、イヌを見ただけで体のどこが悪い(それも内臓!)、どこどこが弱くなってる、この子は水を欲しがってるわ、など、カーミングシグナルやサインといった行動だけで読み見る以上の“会話”能力も持っていました。それは、人に対してもそうでした。

私の体験のなかで、イヌを扱うプロフェッショナルな人たちは多かれ少なかれ、第六感というかスピリチュアルな能力も持ち合わせている人が多いように感じています。

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 花岡佳イ子さんのお薦めライブラリー 

今回のカンファレンスのゲスト、動物行動カウンセラー  ヴィベケ・S・リーセ氏の代表作。 プロのトレーナーはもちろんのこと、犬の飼い主さんにもわかりやすく、写真で解説したボディランゲージ事典です。興味のある方はぜひ。

ドッグ・トレーナーに必要な「深読み・先読み」テクニック: 犬の行動シミュレーション・ガイド

後編は、動物の気持ちを読み取ることができる「アニマルコミュニケーション(AC)」について>

花岡佳イ子

ドッグライフ・キュレーター、フリーエディター&ライター、サウンドヒーリング協会認定セラピスト、ペットの行動コンサルテーションHHP認定、アニマル・クリスタルヒーリング・ファシリテーター、 JAH認定アニマル・コミュニケーター 長年の編集者生活のうち半分以上をペット関連、特にイヌの月刊誌や書籍の編集に関わる。日本で最初のトリマー向け雑誌「Groomer」編集長、月刊「wan」編集部、その後、仲間たちと株式会社A.D.SUMMER’S(出版・編プロ)を立ち上げ、誠文堂新光社「DOGFAN」の創刊から…

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