【ドッグトレーナー連載】犬が眠くないのに、あくびをするのにはワケがあった by三井翔平

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さっきまで寝ていたのにあくびをしている、皮膚に異常がないのに体を掻いてばかり、突然ぐるぐるまわって尻尾を追いかけるなど、飼い主には理解しがたい行動をワンちゃんがとる事はありませんか?

このような行動は葛藤行動とよばれ、2つ以上の互いに矛盾する欲求が存在する場合に示す行動です。つまり、ある種のストレス状態を表しているのです。

 

葛藤行動とは?

葛藤行動は、転位行動、転嫁行動、真空行動の3つに分類されます。

転位行動は、葛藤・欲求不満状態のときに、その場の状況に適応するための行動とは別の行動を示すことをいいます。人間でいえば緊張したときに頭を掻く行動がこれにあたります。犬の場合、怖い体験をしたときのあくびや身震い、体を掻く等がそうです。勉強をされた方はこれらの行動を「カーミングシグナル」としてご存じかも知れませんが、犬が相手に伝える手段として意識的にこれらの行動をしているかは解釈が分かれるところであり、行動学では転位行動として分類されます。

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転嫁行動は、欲求不満となった行動が出現するものの向ける対象が異なるもので、簡単に言えば八つ当たりです。例えば多頭飼いでおもちゃの取り合いの末、おもちゃを取られた犬とは別の全く関係のない犬に攻撃するのがこのケースです。散歩中に他の犬に出会ったときに、リードでつながれていて相手との距離を自分の意志でコントロールできない等の理由で、飼い主や通行人に本気で噛みつくなど深刻なケースもあります。

真空行動は、欲求不満の状況下で、対象がないのにも関わらず行動だけが出現することをいいます。犬では、硬い場所で寝床を作ろうと掘り出したり、いないはずのハエを一生懸命噛もうとするハエ追い行動などがあります。これらの行動は、本来その行動が果たすべき役割を考えてしまうと理解しがたく、混乱の元になります。

 

葛藤行動への対応は?

もちろん葛藤行動の全てが悪いわけではありません。人間の子供が眠いときにぐずる(眠りたいけど眠れない)様に、ある意味当たり前で、その場に適応しようとしている結果の行動もあります。しかしながら攻撃行動など深刻な問題には対処が必要です。転位転嫁行動

では、どのように対処すればいいのでしょうか?一番簡単な方法は欲求不満の原因を特定し、犬がいる状況をコントロールすることによって葛藤状態を作り出さないようにすること。つまり、不安や恐怖、ストレスの原因となる対象を減らしたり、取り去ることでストレス状態にしないということです。

 

避けるだけでは根本的な問題解決にならないことも。ストレスに強くなろう!

苦手な状況を避けているだけでは、いつまでたっても根本的な問題解決にはなりません。例えば、犬が苦手な場合、転位行動が出ているからすぐに抱っこしてその場を立ち去るのではなく、距離をとりながら他の犬に馴らす練習をすることにより、不安の程度を減らしたり、不安を抱かせないように練習することによって葛藤行動が生じる閾値を上げることができます。

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また、運動不足などが原因で犬本来の本能行動が満たしきれていないことが、葛藤の閾値を下げてしまっているケースもありますので、生活習慣を見直してみてもいいかもしれません。

 

ドッグトレーナー 三井翔平(三井正平)

ドッグトレーナー

麻布大学大学院獣医学研究科博士後期課程にて犬と人のコミュニケーションに関する研究を行い博士号を取得。その後ドッグリゾートワフ専属チーフドッグトレーナーを務め、日本テレビ系「ザ!鉄腕!DASH!!」のダメ犬・デブ犬克服大作戦をはじめとしたTV番組にも出演。現在はスタディ・ドッグ・スクールを拠点とし、しつけ教室や教育機関で講師を務めるなど活動を拡大中。“犬に優しくわかりやすいしつけ”をモットーに、飼い主指導や後進の育成に携わっている。愛犬はトレーニングの師でもあるラブラドール・レトリーバーのクッパ。

スタディ・ドッグ・スクール
スタディ・ドッグ・スクール ペットドッグトレーナー育成コース

 

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