【ドッグトレーナー連載】犬のしつけ都市伝説 ~犬と一緒に寝るのはしつけの面では良くないのか?~ by鹿野正顕

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犬の寝床に関わる問題行動では、ソファや飼い主のベッドなど、日頃、犬が寝ている場所に人が近づくと唸る、咬みつくといった行動が見られます。

以前は、このような問題が生じる原因として、一緒に寝ることで犬が飼い主よりも上位に立ち、下位とみなした飼い主から寝床を奪おうと攻撃するためと考えられていました。なぜなら、犬の群れは本来上位にあたる犬から順に良い寝床を確保するからです。
しかし、以前のコラムでも書きましたが、現在では家畜化された犬は人に対して序列関係を求めず、問題行動が生じる原因として支配性理論は関係がないことがわかってきています。

それではなぜ、犬の寝床に人が近づくと唸る、咬みつくといった問題行動が生じてしまうのでしょうか?

 

本能的な欲求が満たされなければ、攻撃性を示すことも

犬を初めとした動物には、自身の生命を維持するための様々な本能的な欲求が備わっています。そのため、他者にそれらの欲求を満たすことを邪魔されると必死に抵抗します。寝たり休みたいという欲求も例外ではなく、飼い主の存在や接し方に対して、安心して寝たり休んだりすることができないと感じれば、寝床を守ろうとして飼い主に対して攻撃性を示すようになります。

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寝床を守ろうとする犬は、専用のハウスが設けられておらず、ソファやベッドなど飼い主が普段使用する場所がその犬にとっての唯一の寝床になってしまっていることが多いようです。そのため、飼い主がベッドやソファを使うタイミングと犬が休息するタイミングがかち合うと、犬は休息することを邪魔されていると感じてしまいます。また、寝床を守ろうとするようになった犬の飼い主は、「寝ている最中にちょっかいを出す」、「犬がハウスにいる際に強く叱りつける」などの共通した対応がよく見られますが、このような接し方をすると、犬は安心してハウスで休むことができなくなってしまいます。

 

一緒に寝ることではなく、専用の寝床を与えていないことが問題

寝床に人が近づくと唸る、咬みつくといった問題行動が生じてしまうのは、飼い主が犬と一緒に寝ることが原因というよりも、飼い主が使用する場所を寝床にして、単独で安心して休息できる専用の場所を提供していないことが大きな原因と考えられます。そのため、普段、専用の場所で安心して休息している犬は、たまに飼い主と一緒に寝たからといって、寝床を守ろうと攻撃するようなことはほとんど見られません。

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飼い主と犬が互いに安心して暮らしていくためには、犬との上下関係を保つのではなく、犬の本能的な欲求を十分に満たしてあげることが重要です。普段の犬の飼育環境や接し方が、犬の欲求を満たせているかもう一度見直すことで、様々な問題が解決できます。

 

ドッグトレーナー 鹿野 正顕(学術博士)

鹿野_photo_150pxスタディ・ドッグ・スクール 代表
株式会社 Animal Life Solutions (ALS)代表取締役社長麻布大学介在動物学研究室(旧 動物人間関係学研究室)にて、人と犬の関係、特に犬の問題行動やトレーニングの研究を行い、人と犬の関係学の分野で日本初の博士号を取得。
麻布大学卒業後、人と動物の関係に関する専門家の育成・普及を目指し、株式会社Animal Life Solutionsを設立し、飼い主教育を目的としたしつけ方教室「スタディ・ドッグ・スクール」の企画・運営を行いながら、トレーナーとしても指導にも携わっている。2009年には世界的なドッグトレーナーの資格であるCPDT-KAを取得。
日本ペットドッグトレーナーズ協会(JAPDT)事業企画委員
CPDT-KA(Certified Professional Dog Trainer – Knowledge Assessed)

株式会社 Animal Life Solutions
スタディ・ドッグ・スクール
スタディ・ドッグ・スクール ペットドッグトレーナー育成コース

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