<実践編>トッピングで『薬膳ごはん』我が家の場合

作用で食材を選ぶ楽しみ♪

“細胞から元気になる”が、昨今の食事に対する考え方の傾向のようです。それはまさしく薬膳の考え方でもあり、人のみならず、“雑食性”であるイヌにもあてはまります。

「細胞から元気にして自然治癒力を引き出す」ことにとても興味がある私は、いろいろと情報を収集しているなか、油木先生の薬膳講座案内が飛び込んできたという次第です(笑)これは受講してみるしかないでしょ、ということで基礎編から勉強してみました!

我が家は昔からカリカリのドライフードに季節の野菜やお魚などをトッピングしています。この油木先生の薬膳講座は、全部を手作り食にするのではなく、ドッグフードに身近な素材をトッピングする、“薬膳という考え方”で素材をチョイスしてみる、という選ぶ楽しみと手軽感が私にはウケました^^

フルーツや種実類はとても大切な食材。これらをきざんだりつぶしたりして離乳食のように。よく噛んで食べるコならばアーモンドなどはそのままでも大丈夫。

基本は季節を重視すること。季節によって咲く・実る・生えるものの多くは、その季節に必要なパワーを持っています。例えば、夏のものは体を冷やしたり水分を出させるという役割、春のものは冬の間に体に溜まった毒素を排出させる解毒の役割など、きちんと意味があることを認識しておくと、“転ばぬ先の杖”で、上手に体調をコントロールできると思います。


初めての薬膳ごはんを食す

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右奥が最年長の慎之介(11歳)、手前が遊太(9歳)、左奥がルーサ(6歳)

教わったことを実際にどんなものか我が家の3頭に実践!3頭とも心臓疾患があります。そして慎之介と遊太の2頭は高齢犬。それぞれに気になる状態はありますが、「食物性味表」のテキストを見ながら覚えたての情報で、冷蔵庫にあるもの、スーパーで買えるものを用意して(素材の鮮度や栄養価がとても気になり、できるだけ鮮度の高いものをチョイスしました^^;)、消化しやすいように材料は細かくきざみ朝と夜に食べさせました。このときは3頭に同じ内容(豚のハツ、ピーマン、白米、アーモンド、あずき、ココナッツオイルを軽く煮込む)を、カンガルーベースのドライフード(少なめ)にトッピングしました。

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なんと!「マジですか~?!」と思うほど行動に変化が!いつもごはん前後はとてもにぎやかなのですが、食べた後がいつもより静か!あまりの変化に、家族で顔を見合わせてしまいました^^;イヌたちにしてみれば、「何かいつもと違うぞ、今日のごはん…」という感じだったのでしょうか(笑)。

実は、11歳になる慎之介はいつもはごはんを食べた後必ず、キッチンのイスに乗りたがり、野菜を要求するのですが…。それをしない…寝た…満足だったのか…??

いつもはこんな状態になるのに・・・?!


その後
3頭それぞれのごはん

特に行動面、健康面で気にかかっているのが、気が高ぶりやすく安定しない“心煩(しんぱん)”な状態の9歳の遊太。“養心(ようしん)*1”  “安神(あんじん)*2”を心がけたいので季節を意識しながら見合った素材を選ぶようにしています(豚のハツ、アーモンド、ココナッツオイル、ピーマン、白米、オクラ、青梗菜、キュウリ、アサリなど)。

*1 養心(ようしん):心の機能を円滑にさせるよう養護する。
*2 安神(あんじん):動悸・睡眠障害など心神の不安を解消する。

食材はすりおろしたり、細かくきざんだり、ゆがいてやわらかくしたり、イヌが消化吸収できるようにしてあげます。そして基本は食材に火を通すといいでしょう。豚のハツ(心臓)やあさりは心臓機能の強化につながります。

年長の慎之介は比較的元気ですが高齢なので、食べても痩せてくる(「脾*3」が弱る)のと、眼などが気になるところ。彼には「脾」を守る食材を中心にセレクトしてみています(豚肉、牛肉、ジャガイモ、ブロッコリー、ニンジン、オクラ、キュウリ、アーモンド、ブルーベリー、キウイなど)。

*3 ここでいう脾とは五臓、つまり肝、心、脾、肺、腎の五つの生理機能を象徴するもの。

食材を少なくして3頭同じ内容のときもあるし、時間がないときはヨーグルトとアーモンドだけトッピング、なんてときもあります。あまりにも暑さが続けば“清熱(せいねつ)*4”の働きがある素材を数日続けてみたり、胃腸が気になるときは“健脾(けんぴ)*5”の働きがある素材を意識してみたり。状況や季節に応じて新鮮な素材で気軽にあげるようにしていこうと思っています。

*4 清熱(せいねつ):消炎、解熱等に働く。
*5 健脾(けんぴ):脾の機能を正常に活動するように鍛える。

ある日の遊太のごはん。豚のハツ、キュウリ、ニンジン、キウイ、バナナ、アーモンド、ココナッツオイルをトッピング。

ところで、7月下旬のある日の明け方、室内がかなり暑くなっていて、遊太の様子がおかしい!呼んでも反応が鈍く心臓の働きが弱まったと感じられるときがありました。その日一日食欲もあまりなく、動きも鈍く寝てばかりでした。とりあえず食べてはくれるので、体を“平性*6”にし体力増強、食欲増進させてくれる牛肉やおくら、“寒性”に作用するキウイやバナナなどをトッピングしました。様子をみていましたが、2日ほどでいつもの遊太に回復!目の輝きも違っていました。もちろんさまざまなケアとの相乗効果もありますが、基本は食材だと改めて実感した夏でした~。

*6 平性(へいせい):体を温めも冷やしもしない性質。

 

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 初めてでもわかりやすく、食材の性質・効能はじめ専門用語の解説がまとめられています。

現代の食卓に生かす「食物性味表」―薬膳ハンドブック

 

花岡佳イ子

ドッグライフ・キュレーター、フリーエディター&ライター、サウンドヒーリング協会認定セラピスト、ペットの行動コンサルテーションHHP認定、アニマル・クリスタルヒーリング・ファシリテーター、 JAH認定アニマル・コミュニケーター 長年の編集者生活のうち半分以上をペット関連、特にイヌの月刊誌や書籍の編集に関わる。日本で最初のトリマー向け雑誌「Groomer」編集長、月刊「wan」編集部、その後、仲間たちと株式会社A.D.SUMMER’S(出版・編プロ)を立ち上げ、誠文堂新光社「DOGFAN」の創刊から…

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