こんにちは!ドッグトレーナーの三井翔平です。
どんな状況でも愛犬が名前に反応できるようにすることは、カメラ目線の写真から、呼び戻しなどの日常生活で大事な指示を出すときにも必要となる、基本かつ重要なことの一つといえます。そして何よりも、呼んだときにいつでも楽しそうに振り向いてくれたら嬉しいですよね。名前を覚えていない犬は少ないかもしれませんが、どんな場所・どんな状況でも反応できるか?というと、意外とできていないケースをよく見かけます。
ではどうやって教えればよいのでしょうか? 答えは簡単「名前=楽しいもの」にしてしまうのが一番です。
ボクのこと、呼びましたか!?
犬の楽しいことって何だ?
まずは犬にとって楽しいことを考えてみましょう。もちろん個体差はありますが、一般的には「食べる」「遊ぶ」「なでられる」などではないでしょうか。食べ物を使うのに抵抗感のある方もいらっしゃいますが、僕はしつけ方教室を実施するとき、一般の飼い主さんが最も簡単に、タイミング良く効果的にワンちゃんに楽しいことを提供できるのは「食べ物」だと思っています。
ご褒美は犬の体の構造や習性を考え、チーズ(ペット用の物)などにおいの強い物や、お肉(必要以上に加工されていない)のトリーツやフードを使うようにしています。ビスケットなどはポロポロ崩れ使いにくいので、あまりおすすめできません。
愛犬が好きな物であれば何でもOK! 食べ物以外でもボール遊びや引っ張りっこが好きな犬は遊びでも可能。ポイントはタイミング良く何回も与えられるもの(事)かどうか。
どこで練習するか?
次に練習する場所選びも重要です。犬も人間と一緒で行ったことのない騒がしいところや大勢の人や犬がいる場面では緊張し、平常心を保つことはできません。まずは一番慣れている「家の中」でリラックスしながら、リードを付けて練習します。多頭飼いの場合であれば他の犬がちょっかいを出せないように1頭で練習するとよいでしょう。
名前を楽しいものにするためには
で、どうやるか。「名前を呼び、ほめ言葉をかけ、ご褒美をあげる」この一連の流れをセットで覚えさせるだけ(くれぐれもほめ言葉を忘れずに!ご褒美がないとできない理由や上手にコミュニケーションをとるカギがココにあります)。このとき、たとえ目が合わなくてもかまいません。最初は「耳が飼い主さんの方を向いた」「顔の向きが変わった」など少しでも飼い主を意識すればいいのです。
極端な話ですが、口の中にご褒美を突っ込んでしまっても構いません!とにかくほめてご褒美をあげます。皆さんが思っている以上に本当に些細な反応を見逃さず、正しいことをしたら必ずそれを犬に伝えてあげることが重要です。
※セミの声が大きいのでご注意ください。「名前を呼んで、ほめ言葉をかけ、ご褒美をあげる」これを繰り返し練習します。
名前に反応してくれないときの対処法
ここで前回のことを思い出してください。何度も名前を呼ぶと逆に反応しにくくなってしまうので、一度呼んで向かなければすぐに次の手を考えます。例えば、唇をプルプルふるわせて音を出したり、チュッチュッと高い音を出してみたり、手を叩いてみるのも効果的です。ポイントは、興味のありそうな音や、聞き慣れない音をだし、人の方へ意識を向けてもらうことです。
それでもだめならおしりをツンツンしてみるのもありです。「何だよ!」と振り向いてきたところにご褒美をあげるのです。まだ振り向けないようなら、手を叩いたり、唇を馴らしながらリードを持ったまま後ろ歩きしてみてください。人についてくれば、自動的に人の方に顔が向きます(強くリード引っ張るのではなく、あくまで方向を変えてやり、誘導するイメージで)。
何よりも大事な事は反応しないでいることを放っておかないこと。反応しなければすぐに次の手に移行し、人のアクションに対しリアクションを返せば楽しい事があるという経験をなるべく多く積ませてさせてやる(成功させてあげる)ことが重要です。それでも人に意識を向けられない場合は、ご褒美の種類や場所を変えて練習してみましょう。
※セミの声が大きいのでご注意ください。いろんな手段を使って、とにかく呼んだ人の方に意識を向かせます。そして最終的には、名前を呼んだだけで振り向けるようにしていきます。
聞き慣れない音は「この音は何だろう?」と音源を探ろうとするため反応しやすくなります。
犬の狩りの対象である小動物の鳴き声は高く、犬にとって最も聞き取りやすく、反応しやすい音(帯域)の一つ。多くの犬が高い音がキューキューなるおもちゃが好きなのはこのためです。
おしりをツンツンしてこっちを向いてくれたら、ご褒美をあげちゃいましょう。
色々な場所での練習がカギ
お家の中で上手にできたからといってトレーニングは終わりではありません。写真を撮りたいのは観光地やお友達ワンコが集まる騒がしい場所だったり、まわりにたくさんの犬や子供がいる公園で名前を呼ぶこともありますよね。家の中の次はよく行くお散歩コース、その次はたまに行く公園といった具合に少しずつ慣れていない環境でも練習していくとよいでしょう。
犬のほうが人間よりも周囲の環境の変化に敏感ですから(仮に野生下で暮らしている犬が外敵の動きや天候など環境の変化に鈍感であったら、すぐに命を落としてしまいます)、日々の繰り返しが重要です。また、場所が一緒でも状況が違えば難易度もアップします。例えば、よく行くお散歩コースでも小学生の下校時間で騒がしければ格段に難易度がアップしますし、遠くに他の犬がいるだけでも遊びたくなって集中力が落ち名前に反応しにくくなることもあります。
犬のやる気を引き出し、レベルアップする「急がばまわれ」の精神
だいたい8割程度できるようになったら、少し難易度の高い場所に移して練習してみましょう。逆に、成功率が8割を切るようでしたら、もう一段階簡単な環境に戻って、成功できるように導いてあげます。成功しなければ何をすればいいかなどわかるはずもなく、成功できなければご褒美ももらえないので楽しくもありません。確実にできる場所を少しずつ増やしていく、「急がばまわれ」の精神が成功の秘訣といえるでしょう。
また、一度の練習時間はせいぜい5分、長くても10分程度に。まめに休憩を取ることも大切です。そしてこれは名前の練習以外にもいえることですが、必ず成功させて終わるようにすること。失敗して終われば(反応しないで終われば)、名前は無視していいものとなりかねず、今までの練習が水の泡となってしまいます。また、できれば練習を毎日続けていくことが大事。一歩一歩着実に進んでいくことが飼い主さんと愛犬との絆となっていくのです。
「なになに?!今度は何をして遊んでくれるの?おいしいものもらえる?」期待感たっぷりの眼差しで振り向いてくれるようになります。
練習の始めが一番おっくうです。それは今までやったことがないので、人も犬も戸惑ってしまうから。でも、このように順を追って練習を繰り返せば、「名前を呼ばれると何かあるぞ!」 「名前って楽しい!」 「絶対向かなきゃ!」 といった具合に名前に対する期待感がUPし、今までは呼んでもなかなか向いてくれなかった場所や状況でも飼い主さんを意識してくれるようになります。キラキラした目で振り向いてくれたら、素直に嬉しくなりますよね。
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◆ 今日の愛犬クッパ ◆
シャンプーしてサッパリ♪ 風が気持ちいいのでお庭でタオルドライ。