猫の住環境学―猫と暮らす住宅実例〈第3弾〉 【猫の一休建築士】 by清水 満

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昨年の冬から今年にかけて、ご自宅を猫様仕様に改装した実例をご紹介したいと思います。

クライアントは杉並区で猫20匹と楽しく暮らす女性です。 仕事の傍ら、個人的に猫の保護活動(TNR)もしている猫大好きな方です。
前回の住宅実例〈第2弾〉で紹介した猫使用マンションの見学会に参加、大好きな猫たちに私の家もこんな素敵な仕掛けを作りたい!と感激して頂き、依頼がきました。

 

まずはご自宅を訪問し、猫たちの様子などを見せてもらい、どんなことを希望しているかをお聞きしました。
クライアントの要望として上げられたのは、

1、野良猫を保護しているので、相性の悪い猫同士が喧嘩しないよう部屋を仕切りたい。
以前、工務店に透明なアコーディオンカーテンで仕切ってもらったが、猫がアコーディオンカーテンの下側から出入りしてしまい、結局ダンボールなどを置いて防いでいる。さらに風や冷暖房が通らず、各部屋ごとにつけるため効率が悪い。

2、たくさんの猫たちがいるので、床だけでは猫のテリトリーが狭く、ストレスがたまってトイレ以外でオシッコをするなど、問題行動がある。空間を使って猫のテリトリーを増やして、猫それぞれに落ち着いた空間を提供したい。

3、見学したお宅のように、ガラスのキャットウォークをつけて、猫のお腹や肉球を楽しみたい。

4、吹抜けがあるのでここを利用し、猫を高窓まで行かせて、高い所から外を見せてあげたい。

5、窓には脱走防止用の格子や網戸をつけたい。

6、何より猫たちが楽しめるお部屋にして欲しいし、楽しんでいる猫を見ることで、自分たちやお客様も幸せを感じたい。

以上の要望をもとに図面を描き、打合せを重ね、お酒も酌み交わして3期に分けて作り上げました。

■要望1について(部屋の仕切り)

02(左)before:部屋の仕切りを透明なアコーディオンカーテンでしていた。ビニール素材で柔らかいため、下部から猫が出入りしてしまう
(右)after:アコーデイオンカーテンを取り外し、三連式の格子戸を吊った。 部屋を繫げたいときは左側の壁に格子戸が納まる

 

■要望2,3について(空間利用、キャットウォーク)

(左)before:ダイニングテーブルから見たTV
(右)after:右窓の上にはガラスのキャットウォークを設置。テレビ上にはアールのベッドと丸穴付きのボックスを取りつけ。テレビを見ているときも猫がリラックスしている姿を見られるようにした

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■要望4,5について(吹抜け利用、脱走防止対策)

before:吹抜けには梁が表れていた
03after:吹抜け奥には梁を利用してハンモックを設置。 手前には上部窓に猫が行ける様にステップを取りつけた

 

吹抜け上部に猫が行けるようにするのは、問題を確認してから!

基本的に掃除ができない吹抜け上部などに、猫が行けるようなステップはつけないのですが、クライアントの強い要望で、掃除ができなくても構わないから作ってほしいという決心があれば、きちんと確認してから制作し、設置します。

また、猫を病院に連れて行かなければならないなど、猫の捕獲が必要なときも、高いところに行ってしまうと諦めなければならなくなります。

04_bo3既存の梁に乗る猫
05(左)高窓から外を見ている猫 (右)下を見下ろす猫

 

改装写真~猫のいない風景~

06_iga12ガラスのキャットウォークと吊り橋
(左)リビング上を横切るガラスのキャットウォーク (右)格子戸2つ
猫の脱走防止用面格子

550iga10ガラスのキャットウォークからステップへ

550iga9既製品ステップとガラスキャットウォーク

 

クライアントから送られてきた猫のいる風景

猫たちがそれぞれ楽しんでいる様子が分かって、設計した者としては大変嬉しい報告です。
これからも猫たちやクライアントのために一所懸命頑張ろうと思えるのでした。

16_iga27アゴと肉球

cats(左)オチリも見放題 (右)白猫くつろぎ過ぎ!

13_iga26ガラスの繫ぎボックスでくつろぐ猫。このコは体重10kgはあるかな?
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ガラスキャットウォークでは肉球見放題 

10_iga19ステップに並ぶ猫 。上にいる猫が強いとは限らない

14_iga30ハンモックで休む猫。下の様子がわかるので安心
11(左)アールベットで休む黒猫 (中)ボックス内の猫と上に黒猫 (右)ボックスでくつろぐ猫
15_iga34ボックスから見下ろす猫「なにー?」
12(左)ガラスの上で休む猫 (中)人に慣れていない猫は上に行く。 安心できるのでしょうね (右)ボックスからアールベットに行こうとしている猫

 

私の家の猫ら

昨年新しく私の家に来た3匹の子猫ですが、実は今回ご紹介したクライアントとお友達が保護した猫なのです。 保護された時はとても汚い猫だったそうですが、クライアントやお友達のお世話のおかげでこんなに可愛くなりました(下記の愛猫ギャラリーをご覧ください!)。

今回の改装が縁で、保護した子猫が我が家に来ることになったのです。

我が家に子猫が来たことで、いまでは大変賑やかな楽しい時間を過ごしています。 先住猫の海ちゃんとも全員仲良しで、留守番が多い我が家でも退屈せず、楽しそうに遊んでいます。

クライアントとは猫が縁で、親戚同然のお付き合いをさせて頂いています。 猫の保護活動(TNR)はまだまだ世間に知られてませんが、不幸な猫たちを減らすために頑張っている方達には、頭が下がりますし、応援したいと思います。

 

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◆愛猫ギャラリー 【今日の海と3匹の兄妹】

私が設計・監修し、ダンボールデザイン会社と共同開発した「ニャンダフル・シェルフ」(キャットウォーク)試作品で遊ぶ愛猫ら。
ニャンダフル・シェルフ公式サイト
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清水 満

キャットライフ・キュレーター 清水満
一級建築士・愛玩動物飼養管理士
一般社団法人ペットライフデザイン協会 代表理事
猫作家プロデューサー・ペットイベントプロデューサー・猫関係セミナー講師

北海道生まれ。北海道の大自然の中、たくさんの動物たち(家畜・ペット・野生動物)と触れ合う環境で育ちました。もちろん動物大好き、猫大大好きです。大学卒業後はインテリアデザイナーを目指して東京へ。建築設計事務所、インテリアデザイン事務所に勤務の後、30歳の時、建築インテリア設計事務所「スタジオ・ナビ」を設立し独立。主にレストランや自動車のショールームなどの商業施設設計やマンションの企画などをしていましたが、愛猫の一休、海との路上での運命の出会いから、ペットと幸せに暮らす住宅の事を考えはじめ「わんにゃん健康住宅研究所」を立ち上げました。現在「ペット専門建築士」として活動中です。また、設計活動の傍ら「北の猫たち展」(札幌開催)などの展示会開催や猫作家支援、イベントの企画及び参加、TV出演など幅広く猫の専門家として活躍しています。

▶HP:わんにゃん健康住宅研究所
▶ブログ:猫の一休建築士

 

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