動物行動学の専門医に学ぶ!うちのコを“幸せ”にする3つの極意

こんにちは。ペットライブス編集部のnokkosです。
今回は、動物愛護週間(9/20~9/26)にちなんで、うちのコを幸せする極意について学びたいと思います。犬猫の飼い主さんを対象に行った「日本のペットの幸福度調査」の結果をもとに、米国獣医動物行動学専門医の入交眞巳先生にアドバイスをお聞きしました。

 

<お話を伺った先生>
入交眞巳

獣医師 入交眞巳(いりまじり・まみ)

日本ヒルズ・コルゲート株式会社 獣医学術部 動物行動学専門医。米国獣医行動学専門医。学術博士。動物病院に数年間勤務した後、アメリカに留学。アメリカ・インディアナ州立パデュー大学で博士号取得。ジョージア州立大学獣医学部にて獣医行動学レジデント課程を修了。帰国後、北里大学動物行動学研究室専任講師、日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科講師を経て現職。

 

極意1:コミュニケーションの目安は「一日1時間」!

ペットと一日どれぐらい一緒に遊んであげればいいのでしょうか。
幸福度調査によれば、犬の飼い主さんは「1時間以上」と「1時間未満」がほぼ半々猫の飼い主さんは8割が「1時間未満」でした。

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入交先生によれば、「動物行動学から考えると、犬は群れの中では一日の5~10%しか、他の犬と遊ばないことがわかっています(“DOMESTIC ANIMAL BEHAVIOR”HOUPT著より)。つまり、ペットの犬も、一日1時間くらい構ってあげれば良いということになります」。

子犬なら1時間ではもの足りなかったり、高齢だと1時間では疲れてしまうことも。そこは年齢や個体差に合わせて臨機応変に。

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猫の場合は、全般に犬よりあっさりしたお付き合いのようですが…。「猫は単独生活者で、ベタベタした付き合いは好まないと思われがちですが、実は意外と社会性の高い動物。犬と同じように構ってあげないとストレスが溜まります

一日の大半を寝て過ごしていますが、起きている間は、積極的に声をかけたり、なでたり、ひもでじゃらしたり、構ってあげることが大切だそうです。猫の飼い主さん、うちのコとのコミュニケーション時間、不足していませんか? 

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 猫だって遊んでほしいニャ

 

極意2:おやつは「働いた報酬」としてもらう方が幸せ!

食事やおやつタイムは、愛犬・愛猫が大好きな時間。幸福度調査によれば、飼い主さんがついおやつをあげてしまうのは、犬も猫も、「ねだられた時」や「寂しい思いをさせた時」が上位を独占。かわいい顔でおねだりされたり、お留守番をさせて「ごめんね」感があると、ガードが甘くなってしまう気持ちはよ~くわかります。

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「でも、それでは栄養バランスが偏ってしまいます。犬も猫も人間の3~5歳児くらいの知能があるので、そのくらいの子供に置き換えて考えれば、どうすることがペットにとって幸せなのか、わかるはず欲しがるままに与えていたら、いずれ肥満して、健康を害することになってしまいます」

入交先生からは、ピシャリと“甘やかし”を叱られてしまいました。

しつけのごほうびとして、おやつを与えている飼い主さんもいます。入交先生は、それはとてもいい与え方だと評価します。

「心理学でコントラフリーローディング効果(contrafreeloading effect)と呼ぶ現象で、ゴキブリから人まですべての生き物は、仕事をした報酬でごはんをもらうほうが、ただごはんをもらうより好きということがわかっています。この方が、脳が活性化して覚えもいいんです」

最近は、動物園などでもこの考え方に基づいて、わざと餌を隠したりトレーニングを取り入れたりして、動物たちが考えて働かないと食べられないように、与え方にもひと工夫しているのだそうです。

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コングにお気に入りのおやつを入れて、ひと工夫!

例えば、飼い主さんが忙しくて遊んであげられないときなどは知育トイにフードやおやつを入れて、愛犬・愛猫が遊びながら食べられるようにすると、達成感も得られるし、食べ過ぎも防げます。おやつも与え方次第で、うちのコの幸せ度をさらにアップできるかも。

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猫だって、スペシャルなおやつを使って 知育ゲーム。
食いしん坊なコには、ぜひチャレンジを!

極意3:幸せの敵、「肥満」を放置しない!

健康は、幸せでいるための大切な要件。飼い主さんたちのペットの健康管理意識は高く、とくに「寄生虫の予防や各種ワクチン接種」と「食事の栄養管理」には、高い取り組みがみられました。加えて、入交先生が指摘するのが、体だけでなく、心のケアの大切さ。

ペットにとって最大のストレスは飼い主さんとのコミュニケーション不足。分離不安から、飼い主さんの気を引こうとして水を一気飲みしたり、体の一部をなめまくってハゲてきたり…と、千差万別の問題行動となって現れます」

 

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幸福度調査からは、飼い主さんの問題点も見えてきました。ペットの体型について「ぽっちゃり」と「ややぽっちゃり」と答えた人は35%前後で、3分の1が肥満 もしくはその予備軍であることが判明。しかも、動物病院を対象とした調査によれば、肥満ペットの飼い主さんの約半数は、「自分のペットの肥満に自覚がない」 とか。肥満は飼い主さんが思う以上にまん延していそうです。

 

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飼い主さんはぽっちゃりを可愛いと感じがちですが、肥満は様々な生活習慣病の引き金となります。動物病院などで太りすぎを指摘されたら、おやつの与え方に注意したり、ペットフードを見直すなどして、早めのケアを」 と入交先生。

 

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手遅れになる前に、動物病院に相談を。
愛犬・愛猫に我慢させることなく健康的にダイエットできる
フードやおやつを使ったプログラムも用意されている。

幸せに黄信号を点滅させかねない「肥満」。「ちょっと太ったかも・・・」と思ったら、動物病院で相談し、食事指導を受けましょう。肥満を放置しないこと。ペットの将来の幸せのためにできる、身近な極意の一つです。

 

 

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  【記事制作協力】 日本ヒルズ・コルゲート株式会社

PetLIVES編集部

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