新生活を始める人も多い季節。これを機に「子犬を迎えよう」と思っている人も、もしかしたらもう迎えている人もいるかもしれませんね。
今回は子犬の飼い主さんにぜひ知ってほしい「子犬から始めるおうちシャンプー」について、獣医師でありトリマーでもある箱崎加奈子先生にお聞きしました。えっ、自分でシャンプーするの…と不安な初心者飼い主さんはもちろん、シャンプーが苦手という飼い主さん&ワンちゃんも必読です!
<お話をうかがった方>
獣医師 箱崎加奈子先生
獣医師及びトリマーの資格と経験を生かし、ペットのためのトータルケアサロンを開業。「ペットスペース&アニマルクリニックまりも」の院長を務める。トリミングサロン、ホテル、クリニックなどが一つになった施設で、気軽に立ち寄れて悩みを相談できると大好評! 一般社団法人女性獣医師ネットワーク代表も務める。
▶ペットスペース&アニマルクリニックまりも
シャンプーやトリミングが苦手になるわけ
愛犬の健康のためにも、定期的にシャンプーをしてあげたいですよね。ところが箱崎先生によれば、シャンプーやトリミングが嫌いな犬は珍しくないそうです。
「子犬の頃に頭からいきなりシャワーをかけたりゴシゴシと強く洗ったりして、怖い・痛い経験をさせてしまうことが原因です。トリミングサロンに任せれば大丈夫と思っている方がいるかもしれませんが、自宅で洗えないと、汚れたときやシニア犬になったときに困ることになります」
サロンで洗うとしても、シャンプー嫌いな犬にとっては、飼い主さんから離されて怖いことをされる場所になるので、大きなストレスをかけてしまう恐れも。「子犬の頃から少しずつ慣れる練習をしていくことが大切なんです」と箱崎先生。
シャンプーに慣らすのは生後6カ月までが勝負!?
箱崎先生は、これから子犬を迎える方や子犬を迎えて間もない方へ、自宅シャンプーの練習をおすすめしています。
「生後6カ月頃までが順応性の高い時期。いろいろなことを受け入れやすい頃なので、シャンプーにも少しずつ慣らして、できれば好きにさせておきたいですね」
自宅シャンプーを始める時期は、迎えてから1カ月後くらいが目安。その頃になると、新たな環境に慣れ、体調を崩しにくくなっているそうです。シャンプーは犬にとって非日常の出来事なので、無理のないように練習して行きましょう。
「バスルームが子犬にとって嫌な場所にならないように、まずはバスルームでごはんを与えたり、シャワーの音を聞かせながら遊んだりして、少しずつ進めていくことが大切です」
迎えたばかりなら、無理せず拭き取りシートで汚れオフ
子犬を迎えた初日から起きる問題は、オシッコやウンチの汚れ。留守番の時間が長い場合は、お尻やおなか、足に排泄物がたくさんついてしまうこともあります。根気よくトイレトレーニングをしながら、犬と居住スペースを清潔に保ちたいものです。
「新たな環境に慣れるまでは、自宅で無理に洗わなくてもいいと思います。最初は拭き取りシート(ウェットシートボディ拭き取り用(ペット用)、シャンプータオル等)やドライシャンプーを活用しましょう。排泄物の汚れが繰り返し付着するにつれて、においが落ちにくくなっていきます。気になるとは思いますが、子犬がご家庭に慣れるまでは我慢してあげてくださいね」
慣れない環境で緊張しているときにシャンプーをすると、体調を崩してしまう可能性があります。拭き取りシートやドライシャンプーでも丁寧に汚れを落とせば問題ありません。子犬の様子を見ながらできる範囲で清潔にしてあげましょう。
<今回使用した拭き取りシート>
ペットキレイ シャワーシート
ワクチンの接種が終わるまではシャンプーはNG?
子犬にはワクチンの接種を2〜3回行います。全てが終わるのは生後4カ月頃。散歩と同じようにシャンプーも控えたほうがいいのでしょうか。
「ワクチンの接種が終わるまではシャンプーをしないほうがいい、という考え方もあります。でもワクチンはウイルスへの抵抗力をつけるものであって、ワクチン後に体力や免疫力が増すわけではないので、あまり関係ないともいえます。ワクチンの接種が終わる前でもシャンプーは問題ないと考えています。ただし接種した後は体調を崩しやすいので、少なくとも2、3日、できれば1週間ほど経ってから洗いましょう」
4カ月まで全く洗わないと、体の汚れや被毛の絡まりが心配ですよね。ひどくなると落とすのに時間がかかり、結果的に子犬を疲れさせてしまいます。ワクチン後かどうかよりも、子犬の体調を見ながらタイミングを考えたほうがよさそうです。心配な方は動物病院で相談しましょう。
おうちシャンプーの“はじめの一歩”は「足」から!
子犬はいつ頃からおうちシャンプーをしてもいいのでしょうか?一つの目安が迎えてから1カ月後。新たな家庭にも慣れて体調を崩しにくくなっているので、まずは体の部分洗いから始めてみるのがいいそうです。
「最初に洗う時は足から始めるのがおすすめです。足先にシャワーでお湯を少しだけかけて濡らし、子犬用の低刺激シャンプーで洗ってみましょう。もし濡らした時点で嫌がったらすぐに中断し、素早く拭いて終わりにします。ドライヤーをかける時も段階を踏んで慣れさせることが重要です」
おうちシャンプーの場合は、体をいきなり濡らすより、足から始めたほうがハードルは低くなるそうです。
「全身を洗うのが難しくても、日常的に部分洗いを繰り返せばお互いに少しずつ慣れていきます」
最初はプロに頼んで怖くない経験を積ませる
もし自宅で洗うのが心配なら、初めてのシャンプーは慣れたプロに頼むのもいい方法です。子犬がシャワーやドライヤーを怖がったときも、上手にフォローができるトリマーさんがいるサロンなら安心です。
「特に初めて犬を迎えた方は、自宅で洗うことはできても肛門腺を絞れなかったり、狼爪(親指の爪)を切り忘れていたりすることがあるんです。健康チェックを兼ねてサロンに足を運んでみてください。プロなら愛犬に合ったアドバイスもできるので、自宅で洗うときの注意も聞いてみましょう」
自宅シャンプーを1歳頃までに習慣化しておけば、一生楽になると言っても過言ではないそうです。トリミングサロンはいろいろな人と触れ合う社会化のいい経験にもなるので、上手に活用したいですね。
シャンプーは健康チェックの絶好の機会!
成長に伴いシャンプーの頻度も変わっていきそうですが、成犬になったらどのくらいが適切ですか?
「月1回はトリミングサロン、その間の2週間に1回は自宅シャンプーがおすすめです。プロに任せれば自宅シャンプーは不要と思うかもしれませんが、実は健康チェックのためにも必要なんです。普段のスキンシップでは、愛犬の背中やおなかなどの同じところしかなでていない場合が多いので、全身をくまなく触り、地肌も見えるおうちシャンプーは、健康チェックの絶好の機会といえます」
毎月飼い主さんとプロがチェックするなら、ダブルで安心!また、愛犬と一対一で向き合うコミュニケーションの時間にもなりますよね。
取材時、我が家の愛犬はちょうど生後6カ月。自宅で足を洗ったことはありましたが、全身は拭き取りシートで拭いただけ。大急ぎでトリミングサロンへ連れて行きました。ギリギリセーフ!意外なことにシャンプーよりもドライヤーを怖がることが判明。自宅のドライヤーはそれほど嫌がる様子がなかったのですが…。これからはプロのアドバイスをもとに、全身も洗えるようにおうちシャンプーの練習をしていきたいと思います。
愛犬サウザー、生後6ヵ月のオスの甲斐犬。
(文/金子 志織)
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