年間300日以上の犬と飼い主が楽しめるイベント(年間参加頭数1万頭以上)を全国で開催している日本最大のドッグイベントグループ「ドッグイベントクラブ」(以下DEC)の上野洋一郎さんにお話をお聞きしました。
上野 洋一郎 Yoichiro ueno
メインキャスト株式会社 代表。立命館大学産業社会学部在学中に、子犬を直接譲り受ける社会を実現させることを目標に、ブリーダー紹介サイト「メインキャスト(リニューアル中)」を立ち上げる。 長年ブリーダー及び子犬を迎えられる家族と接している中で、子犬の社会化の重要性を痛感しパピーパーティーを開催。2004年に「犬と一緒にとことん楽しもう」をスローガンに「ドッグイベントクラブ」を立ち上げる。
お悩み解決型から「楽しむ」重視のイベントへ
大学在学中に起業を夢見て、パソコン教室を立ち上げたんですが、その際、ペットショップのオーナーさんの出張教授をしたのが、犬の世界に足を踏み入れるきっかけになりました。
DECを発足した2002年当時は、ちょうど “かおるこ” を飼い始めた頃。ポーリッシュ・ローランド・シープドッグという個性的な犬種ということもあって、しつけに悪戦苦闘中でした。
名の通った犬の専門家には片っ端から会いに行き、専門書にも目を通しました。そのなかで、犬の行動学の第一人者・渡辺格氏と運命的な出会いをして、犬の「社会化教育」の大切さを初めて知ったんです。当時日本では、パピーパーティを開催しているところはまだ少なく、「ないなら自分たちでやっちゃおう」と、パピーパーティをスタートしました。
愛犬かおるこちゃん(11歳、♀)は、日本ではまだ珍しいポーリッシュ・ローランド・シープドッグ。犬種の特性はある程度把握して迎えたものの、母犬から受け継いだ「気が強い」という個性の部分に、想像を超えた大変さを感じていたそうです。
当初は、お悩み解決型のしつけ方教室でしたが、数ヶ月後に元生徒さんにお会いすると学んだことを忘れている方が多くて、「何のためにやっているんだろう」という想いがありました。当時は犬と一緒の娯楽が少なく、おしゃべり目的でしつけ教室に来られる方も多かった。ならばと、愛犬と一緒に「楽しむ」ことを目的にしたイベントへと、方向転換をしていったんです。
ドッグイベントクラブのイベントで楽しむ犬たち(写真提供:DEC)
僕自身が楽しいかどうかが判断基準です(笑)
基本は犬と飼い主さんにともに楽しんでもらうこと。イベントの内容は、僕が “かおるこ” と一緒に楽しんできたものばかりです。僕自身が楽しいかどうかが判断基準(笑)。飼い主が喜ぶと、犬は間違いなく喜ぶので。
1年のうち、ほとんど家にいないという上野さん。キャンピングカーで年間10万キロ以上、ご家族一緒に各地へ出掛けているというほどのアクティブぶり。
ほとんどのご家庭は共働きで、毎日1時間散歩に行きなさいというのは酷な話。それで毎日「我慢させてゴメンね」って引けめを感じている飼い主さんに、週1回は思いっきり遊んで疲れてもらえる場を提供して、明るい気持ちになってもらいたいんです。「あと1週間我慢したら思いっきり遊ぼうね」と思えたら、飼い主さんも心理的に楽かな、と。
最新のイベントカレンダー。スポーツやハイキング、撮影会など、週5日はイベントの予定がぎっしり!
※クリックするとDECイベントカレンダーにリンクします。
犬を飼ったら、どこにも行けなくて人生がつまらなくなった、というのではなくて、「犬がいるから、2倍3倍人生が楽しくなった」って思える人がひとりでも増えてほしい。究極は、うちのコが亡くなるときに、寂しいけれども「このコと結構楽しんだな」「たっぷり一緒に遊んだな」って、そう思えるような犬との濃い生活を過ごしていただければ。そのための場をどう作り上げていくかが、私たちDECの使命だと考えています。
褒める時間があれば一緒に遊んでください
自分に子どもができて思うのは、「どう命を守り育てるか」という観点から見ると、おやつをあげて褒める陽性強化法だけでは、対処できないということ。親なら感情的に叱るときもあれば、危なければ「危ない!」と大声を張り上げるときもある。母犬が子犬を叱るように、真剣に愛犬と向き合ってあげないと。
人間の子どもは「パパ遊んでよ」とは言っても、「褒めて」とは言わない。犬も同じです。褒めることも大切ですが、遊んでコミュニケーションをとるほうを、犬はより望んでいるんです。しかも犬と同じテンションで。だから、飼い主さんには、「命を守るためにちゃんと叱る」ことと、あとは思いっきり一緒に遊んでください、と伝えています。そうすれば、問題行動は自ずと減ると思います。
命を守るための根本の部分さえ守れれば、あとは楽しく好きなように暮らしたらいいじゃないですか、他人に迷惑をかけなければ。うちのコは、盗み食いもするし、ケージはことごとく脱走します。脚側行進ができなくても困りません(笑)
ゆくゆくは、犬と一緒に海外ツアーに行きたいですね。例えば愛犬の原産国ツアーとか。検疫や宿探しなど、個人では限界があって諦めている方が多いので、そこに我々がサポートできる余地があるのかな、と。犬と一緒に行くことで味わえる体験や経験を、もっと広げていけたらと思います。
DECのホームページには、多種のイベント情報が満載。あなたと愛犬が楽しめるイベントがきっと見つかるはず。
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