氷おやつや夏野菜でヒヤヒヤと水分補給を!愛犬の夏バテ対策

クーパーはベジタリアンかと思うほど、野菜が好き。手作り犬ごはんにもキャベツなどの野菜をたっぷり

 

暑いです。ほんとーに暑い。

こんなに暑ければ、犬でも人でも、いつ熱中症になるかわかりません。ましてやうちには『熱中症になりやすい犬種トップクラス』の短頭種・ボクサーのメルがいます。強靱な心肺機能を持つタフなジャーマン・ショートヘアード・ポインターのクーパーと同じ扱いをしていると、いつ何時倒れるかわかりません。

マズルの短い短頭種は、熱い外気がそのままダイレクトに肺に入ってくるから体温がヒートアップしやすいと、以前取材で獣医さんに聞きましたが、まさにほんとそんな感じ。ボクサーだけでなく、パグやフレンチ・ブルドッグ、ボストン・テリアのみんなも本当に用心してほしい。

01短頭種はとくに暑いのが苦手。メルはエアコン部屋で日中ダラダラしています

また、かつてわが家にはコーギーが2頭いましたが、短足犬も熱中症には注意が必要。脚が短いと、地面の輻射熱をダイレクトに腹部に受けてしまうからです。
夏のアスファルトなどの舗装道路の輻射熱は、殺人(殺犬!?)級といえるでしょう。ついギラギラした頭上の太陽の方に気をとられがちですが、敵は足元にもあります。ダックスフントやバセット・ハウンドなどの短足のみなさん、お気をつけて。

さらに短足の犬に限らず、体高の低い犬、つまり小型犬全般は地面に近いので同じく要注意です。大型犬よりも地表に近いのでやばいのです。脚が長めのスラッとした体型のトイ・プードルやワイアー・フォックス・テリアなどであっても、体高が低い分、輻射熱の熱気に包まれてしまうし、腹部が熱くなりやいので十分配慮が必要です。

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散歩タイムは、早朝や夜遅く、路面の温度が下がった時間帯に出かけるよう心がけることと同時に、人間同様に犬にとっても水分補給は重要なポイント。犬は自分の体温を下げたいときに「パンティング」といってハアハアと荒く息をしますが、そのとき熱気とともに水分も奪われます。こまめな水分補給が欠かせません

でも、お散歩中や散歩から帰宅したばかりのときに、水をがぶ飲みするのはちょっと心配。とくにワイマラナーやジャーマン・シェパード・ドッグのような大型犬は、胃捻転というアクシデントに見舞われることもあります。胃捻転は文字通り、胃袋がねじれてしまうことで、最悪死に至る大変恐ろしい事態です。なので、がぶ飲みはさせず、ちょっとずつ水分を補給する方が安心です。

02見た目も涼しく、楽しい氷おやつ。わが家の夏の定番!

そういうときに、便利なのが「氷」。うちの犬は、散歩から帰ると冷凍庫の前にいって “こおり、ちょうだい~~~~っ” と待っています。カリコリと氷を齧るのが好きな犬は意外と多いです。

また氷は、肥満の子にもけっこうオススメ。齧りごたえはあるけれど、なにしろ0カロリーですからね。カロリー制限したいときのおやつにもよし。
ただし、欲しがるからと調子にのってたくさんあげると、下痢をする子もいるのでほどほどに。人間の子供でも、暑いからとアイスキャンデーばかり食べていたら、おなかが冷えて下痢するのと同じです。
それと小型犬の場合は、一般のアイストレイの氷サイズだと大きすぎるのかな? アゴがはずれちゃうかな?(笑)。小粒氷や、薄い氷を作る工夫をしてもよいかもしれませんね。

また、小さく切ったトマトやキュウリ入りの氷を作って、ミニクーラーバッグに入れて持参し、散歩中に外であげているゴールデンの飼い主さんに取材でお会いしたことがあります。色とりどりで目にも美しく、清涼感たっぷり。愛を感じました。それからうちでも真似をしています。

07トマトやキュウリ入りの氷を、アイストレイで作ります。手作り犬ごはんを冷やすのにも使えます

さらに、わが家では、茹でたブロッコリーやレバーをミキサーでピューレ状にして、氷を作ることもあります。それをそのまま氷おやつとしてあげたり、手作り食のお肉&野菜入りお粥を早く冷ますためのトッピングとして使うこともあります。夏は作りたての熱いお粥がなかなか冷めず、待ちきれないクーパーがキッチンで騒ぐので、そういうときにも重宝します。

また、以前取材で獣医さんにお聞きしたのですが、旬の夏野菜は、体を冷やす効果があるそうです。水分やミネラルの補給にもなるので、いつものごはんの上に、トマトやキュウリを刻んだものをトッピングしてもよいと教えてもらいました。それ以来、よくやっています。

03ブロッコリーの氷のことを、わが家では「ブロッこおり」と呼んでいます。茹でたブロッコリーをミキサーにかけて、凍らせます。野菜好きのクーパー、作っている最中もつねに期待して待っています。凍るまで、まだあげないよ~

ついでに言うと、クーパーは、スイカが大好き。なんとまぁ、あの緑色の皮のところでもバギバギ食べちゃいます。そして、おなかは壊しません。

ただし、どの犬でもそんなに胃袋が強靭かどうかはわからないので、そこは自己責任で。小さな犬は喉や腸につまってもいけないし、皮の部分は硬いので消化不良を起こすことも考えられます。無茶はいけません。でもどの犬でもクーパーのようにあさましく(笑)皮まで食べるわけではないと思います。

04クーパーはスイカも大好きです。スイカを食べていると、懇願するような目をして待っています

そういえば昨年夏、一緒にキャンプに行ったダルメシアンとワイマラナーもスイカをよく食べましたが、ダルメシアンやメル(ボクサー)は皮を適当に残しますし、ワイマラナーは赤いところだけを前歯でこそぐように上手に食べていました。可愛い特技だなと思いました。
食べ物の好みも、お行儀のよさも個性があっておもしろいです。この夏、キャンプ場や川遊び、バーベキューなどへ行ったときに、アウトドアでスイカをあげてみてはいかがでしょう。外ならお部屋は汚れないし、トイレが近くなっても大丈夫です。

08「ボクは赤いとこでなくても、スイカの皮でも十分幸せです。スイカ、LOVEです」

余談ですが、そんなに水分補給にはならないと思うけれど、夏が旬のトウモロコシも、最近クーパーはその味を知りました(犬友達がバーベキューのときにあげちゃったから、クーパーが味をしめてしまった!) まぁ、それも人生(犬生)のお楽しみということで(笑)。

それ以来、トウモロコシを茹で始めると、ずっとキッチンでスタンバイするほどです(やれやれ)。犬にも旬の美味しさがわかるのかな? いや、そんな繊細な味覚は彼にはないような気がしますが、でも、少なくとも旬の野菜には栄養がいっぱい詰まっていると思います

05冷蔵庫に残っている野菜を適当にトッピングすることも

ただし、これらの食材は、犬によっては体質に合わないこともあるかもしれません。初めて与えるときは「少量から試す」「消化しやすいよう小さく刻む」などして、様子をみながら量を増やすようにした方が安心です。犬には個体差があります。

たとえばクーパーはレバーは大好きですが、よかれと思って多めにあげるとすぐ下痢します(メルは同じ量食べても快便なのに!)。でも量を加減すれば大丈夫。また、ブドウやアボガドは、個体差などにより犬に与えてはいけないという説もありますので、注意したほうが無難です。

ともあれ、いろいろ調べたり、試行錯誤しながら、愛犬の体質や体調を観察しつつ、手作りおやつやトッピングを考えるのはけっこう楽しいもの。愛犬の喜ぶ顔が見られるよう、いろいろ挑戦してみてください。06おまけ。まめちゃんは、氷にも野菜にも関心なし。さすが元・砂漠の肉食動物

 

白石かえ

犬学研究家、雑文家 東京生まれ。10歳のとき広島に家族で引っ越し、そのときから犬猫との暮らしがスタート。小学生のときの愛読書は『世界の犬図鑑』や『白い戦士ヤマト』。広告のコピーライターとして経験を積んだ後、動物好きが高じてWWF Japan(財)世界自然保護基金の広報室に勤務、日本全国の環境問題の現場を取材する。 その後フリーライターに。犬専門誌や一般誌、新聞、webなどで犬の記事、コラムなどを執筆。犬を「イヌ」として正しく理解する人が増え、日本でもそのための環境や法整備がなされ、犬と人がハッピ…

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