愛犬の「遊び噛み」の正しいやめさせ方。放置していると問題行動の芽に!

子犬がじゃれて遊び噛み(甘噛み)をする。かわいいし、たいして痛くもないからと放置していると、やがて本気噛みを始める原因になりかねません。将来の問題行動を防ぐために、子犬はもちろん、成犬でもまだ遊び噛みが残っているようなら、すぐにやめさせるトレーニングを始めましょう。

「遊び噛み」を放置すると危険なワケ

犬には、「遊び噛み(甘噛み)」と攻撃行動としての「本気噛み」があります。遊び噛みは子犬独自の行動パターンですが、しつけをしないでいると、成犬になっても直らないままのことがあります。
私が飼い主さんに「遊び噛みは生後6ヵ月までになくしてください」と言うのは、それが攻撃行動とリンクしているから。人を遊びで噛んでよいとなると、本気の攻撃行動をしてもOKとなってしまいます。犬には加減がわかりませんから、「皮膚に歯を当ててはイケナイ!」という認識を徹底して植えつけておくことが必要なんです。

あるご家庭で、毎朝、目覚まし代わりに、コーギーを中学生の子供の寝室に入れて子供の耳を遊び噛みさせることで子供を起こさせていました。ある日、その犬が中学生の耳を本気で噛んで大ケガをさせてしまいました。通常犬は人の耳を狙って本気で咬むことをしませんが日頃から遊び噛みとして耳を噛ませる習慣をつけていたのでこのようなことが起こりました。

将来、本気噛みをさせないためには、遊び噛みをやめさせるとともに、社会化* も大事です。社会化期(生後3週齢~3ヵ月齢頃まで)に、人や犬と触れ合う楽しさを植えつけていないと、周りがみんな恐くなり、防衛のために吠える、噛むという問題を引き起こしてしまいます。

*犬が人間の社会で一緒に暮らしていくために、社会の出来事に犬自身が対応できるようあらゆる環境に慣らしていくこと

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そもそも「遊び噛み」の定義とは?

遊び噛みと本気噛みでは、犬の感情が違います。遊び噛みはハッピー、本気噛みはいらだちや不安から。犬が遊んでいるつもりなら、噛まれた痛さに関わらず「遊び噛み」です。遊び噛みが残っていれば、犬が何歳であっても直すべきです。
5歳の柴犬で、遊び噛みと本気噛みの両方をするコがいましたが、「遊び噛みは2週間で直しましょう」と言って直しました。遊び噛みは短期間勝負、だらだら直すものではありません。一方、本気噛みは、順序立てて時間をかけて直していかなければなりません。

「遊び噛み」はこうして直す!

●手を引っ込めて、「ダメ」と言う

遊び噛みの直し方は、犬が手を噛んできたら手を引っ込めて、きちんと「ダメ」と言うこと。代わりに犬が正しいおもちゃを介して飼い主と遊んでいるときは言葉でその行為を褒めてあげることも大切です。いけない行動ばかりダメと言っても犬は理解しづらく、何をするとよいのかも同時に伝えていくことが大事です。基本的に、正しいタイミング、正しいボリュームで「ダメ」と言えば、たいていの犬は引き下がります。注意してほしいのは、犬が引き下がったからといって、「お利口ね、えらいね」は不要です。そこでほめたら、犬はわけがわからなくなってしまいます。

●「ダメ」が通じなければ、「嫌悪刺激」を使って

もし「ダメ」が通じない場合は、嫌悪刺激(犬が嫌がること)を使います。よく使うのは、ブリキの缶に100円玉や500円玉などの硬貨を10枚以上入れて封をし、「ダメ」という言葉と一緒に犬の目の前で振る方法です。飼い主さんが振っているのが犬に見えてもかまいません。その音を聞くと犬は引き下がります。この缶はあくまで一時的に使う補助道具で、くり返すうちにだんだん言葉だけでわかるようになっていきます。

●「無視」も上手に活用すれば効果的

無視を上手に活用すれば遊び噛みの改善につながります。遊び噛みをしてきたらその場から飼い主が立ち去り犬を無視します。「無視」とは犬を見ない、触れない、話しかけないの3セットが一緒にならないと効果がありません。遊び噛みをしたら、飼い主は構ってくれないということを教えていきます。

●よくある失敗とは?

失敗しやすいのは、噛まれた手を無理やり犬の口の中に押し込んで叱ったり、逆に逃げたりすることです。犬は逃げると追いかけてくるので、私たちは動きを止めなければいけません。また、多くの人が、噛まれても痛くないうちは放っておいて、痛くなったときに初めて怒る。しかし、犬には加減がわかりませんから、歯が当たった瞬間に「ダメ」と言わなければ効果はないんです。

 

以上は、遊び噛みの直し方です。本気噛みの場合は、アプローチがまったく異なります。本気噛みのコに嫌悪刺激を与えたら、余計にはむかってきます。次回は、「本気噛み」について考えてみましょう。

 

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◆ 今日の愛犬コーディー ◆
先日ワンちゃんと一緒に入館できる水族館(京急油壺マリンパーク)にコーディーを連れて遊びに行きました。こちらには犬が来ると寄ってきてくれるイルカがいるのですがイルカは寄ってきてくれましたが、厚い水槽に隔たれての対面のせいかコーディーは興味ゼロでした・・・。
やはり生き物同士直接の対面が楽しいようです。写真は水槽の中のネコザメに興味津津のところです。
館内もリードをつけれいればワンちゃんを歩かせることができますよ。

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石井 香絵

獣医師、ペットの行動コンサルテーション Heart Healing for Pets 代表、AVSAB(アメリカ獣医行動学会)会員 麻布大学獣医学部を卒業し動物病院で一般診療を行った後、動物行動学、行動治療を学ぶために渡米。ニューヨーク州にあるコーネル大学獣医学部の行動治療専門のクリニックに2年間所属し帰国。現在はワンちゃん、ネコちゃんの問題行動の治療を専門とし臨床に携わる傍ら、セミナー・講演活動など幅広く活躍。2013年からは、アニマル・クリスタルヒーリングのファシリテーターの養成を始める。愛…

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