犬の多頭飼育で失敗しないために。新しいコを迎える前のチェックポイント


「うちのコは甘えたで、いつも私にべったり。もう1頭飼えば、遊び友だちができて、お留守番のときも寂しくないかも」・・・などと考えている飼い主さん、新しいコを迎える前にちょっと立ち止まってチェックしてみてください。

今回は、多頭飼育で失敗しないためのポイントについて。

 

1)先住犬は犬が好きか?

まず、愛犬は犬が好きですか。散歩などで、他の犬へのリアクションを見ればわかります。好きなら寄っていって挨拶しますが、嫌いなら吠えたり震えたり固まったりします。多くの飼い主さんが勘違いしているのは、「犬は群れの動物だから仲間が欲しいはず」という思い込み。飼い主さんと一対一がいいという犬も、世の中にはたくさんいるんです。

 

2)できれば「お見合い期間」を

できれば、一時的に一緒に住んで相性を見ることをおすすめします。例えば保護犬を迎えた場合、1カ月間は本当の自分を出さない可能性があります。この期間を「ハネムーン・ピリオド」 と呼びます。保護されたコは、また捨てられないように自分を殺して良いところだけを見せようとします。ただ無理は続かないので、1カ月たてば、そのコの違う姿が現れてくるかもしれません。だから、お見合い期間を設けて様子を見ましょうということです。

もし飼い主さんの結婚などで、近い将来、同居することが決まっているなら、最初は外で会わせて慣らすこと。家の中は自分のテリトリーなので、いきなりそこで会わせるのは危険です。外で何度も会っていい印象を持たせてから、それぞれの家で会って、本番を迎えるといいでしょう。

 

3)気の強いオスどうしは、とくに慎重に

一般に性別は異なる方が相性はいいようです。多くはオスがメスに譲っています。最も慎重にならないといけないのは、オスどうし。どちらも気が強くて絶対に譲らないタイプの場合は、喧嘩が絶えず仲たがいを繰り返すことにもなりかねません。

 

4)同犬種は行動のパターンが似ているのがメリット

同じ犬種だと運動量や遊びのパターンが似ているので、そういう面ではいいかもしれません。例えば、おっとりしたシーズーと活発なプードルという組み合わせで、先住犬がシーズーのシニアだったら、かなりのストレスになると思います。

 

5)シニア犬には大きなストレスになる可能性

先住犬が6~7歳以上のシニアになると、多頭飼育はより慎重になる必要があります。新たに子犬を迎えると、先住犬の生活のリズムが崩れるからです。しかも飼い主さんは子犬にかかりきりになりがちで、先住犬にとっては生活のリズムも飼い主さんもすべて子犬に奪われてしまうことに。そのショックから、ごはんを食べなくなったり、ストレスで病気を発症したりすることもあります。時間を決めて子犬をクレートで寝かせ、その間は、先住犬が自由に飼い主さんと過ごせるようにしてあげるなどの配慮が大切です。

 

6)まず先住犬をきちんとしつけてから

多頭飼育で失敗しないために、私が最も言いたいのは、先住犬をきちんと教育してくださいということ。先住犬がトイレもでき、甘咬みも治り、飼い主さんから家のルールを教わり、ある程度コマンドも覚えてから、次のコを迎えたら、すごくラクなんです。なぜかといえば、先住犬がトイレをすれば「いいコだね」とほめられ、「おすわり」と言われて座ればごほうびをもらえる。二番目はそれを見て、すべて覚えていくわけです。

ところが、一番目のコのしつけができていないのに、二番目、三番目を迎えたら、それこそ悲劇。犬はいいことだけでなく悪いことも学びますから、問題をどんどん大きくしてしまうばかりです。

 

多頭飼育にはもちろんいい面もたくさんありますが、安易に行うと、飼い主さんや犬たちにかえって不幸をもたらすことにもなりかねません。じっくり慎重に検討してくださいね。

次回は、飼い主さんの誤解から生じる問題行動と、その対策について考えてみましょう。

 

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牧口香絵先生のお薦め 「バッチフラワーレメディー」

今回のようなケースにお勧めしたい飼い主さんができるケアとして「バッチフラワーレメディ」をご紹介します。

バッチフラワーレメディとは、イギリスの医師であったバッチ博士により作られた自然療法の1種です。38種の野生の草木、花を用いてエッセンスを抽出し、さまざまな感情や精神に優しく働きかけるたものです。このレメディは「心身に表れるさまざまな不具合の根源となる感情の問題」に働きかけ、ゆがみを作り上げているネガティブな感情やトラウマを開放、取り除き、ポジティブな状態に導いてくれます。

レメディは人用として既に使用されている方も多いと思いますが、動物にも安心して使用できる療法です。(動物用には、アルコールタイプではなく、より体にやさしいグリセリンタイプを選びましょう。)

今回のようなケースには『ウォルナット』を選びます。ウォルナットは、外環境からの刺激に過度に影響されることを緩和したり、また家族構成や家族の感情の変化、引っ越しなどの環境の変化に影響されることを緩和してくれます。年齢とともに変化する身体の変化に対応できることもサポートします。新しく子犬を迎える準備として先住犬にも子犬にもこのウォルナットはよき味方となります。

愛犬に与える際には1日4回、1回2滴をご飯やおやつにまぜたり、飲み水に入れたりして与えます。飼い主さんの手に垂らしてなめさせてもよいです。注意したいのは、強制的に口をあけて与えることは避けましょう。レメディに対して拒絶感がでないように与えることが大切です。レメディは薬のように体重で何滴とは与えません。どんな動物でもどんなサイズでも同じ滴数を与えます。花のエネルギーしか入っていないのでアレルギーや副作用などの心配もありません。
 

石井 香絵

獣医師、ペットの行動コンサルテーション Heart Healing for Pets 代表、AVSAB(アメリカ獣医行動学会)会員 麻布大学獣医学部を卒業し動物病院で一般診療を行った後、動物行動学、行動治療を学ぶために渡米。ニューヨーク州にあるコーネル大学獣医学部の行動治療専門のクリニックに2年間所属し帰国。現在はワンちゃん、ネコちゃんの問題行動の治療を専門とし臨床に携わる傍ら、セミナー・講演活動など幅広く活躍。2013年からは、アニマル・クリスタルヒーリングのファシリテーターの養成を始める。愛…

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