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犬猫の健康診断していますか?病気の早期発見だけでない、受けるメリットとは?


人同様、犬や猫たちも寿命が延び、介護生活となるケースが増える中、健康寿命という言葉があちこちで聞かれるようにもなりました。少しでも健康な状態をより長く、そう願うのであれば、定期的に健康診断を受けることは役に立ちそうだということはなんとなくわかりながら、そのままになっている人も多いのでは?そこで、今回は健康診断のメリットや、その意味などについて、日本動物医療センターの上野弘道院長にお話をうかがってみました。

<お話をうかがった方>

日本動物医療センター
上野弘道院長

1998年、日本大学獣医学科卒業。日本動物医療センターは1969年に開業以来、24時間救急対応しており、「入院している動物を決して一人ぼっちにせず、きちんと見守る体制でなければいけない」という想いのもと、2004年からは、動物医療ではいまだに珍しい24時間治療・看護を開始。深夜の緊急手術にも対応している。愛犬は保護したパピヨン2頭。(公社)東京都獣医師会 業務執行理事、(公社)日本動物病院協会理事、(一社)VOA japan理事でもある。

 

健康診断に対する飼い主さんの意識動向

Team HOPE(治療のみでなく、病気予防や健康維持に重きをおいた獣医療を目指す啓発プロジェクトで、約1,200の動物病院が加盟)が昨年行った『ペットの健康管理に関する実態調査』によると、、ペットの健康診断をしている飼い主さんは2割以下で、想像以上に少ない結果となっています。そのうち病気の兆候を健康診断時に発見できたケースは約7割だとか。

そんな状況の中、獣医療の現場では、どのように感じているのでしょう。

「当院では、Team HOPEが提唱し、かつ加盟動物病院であれば共通して同じ内容のものが受けられる健康診断を基本とし、今の獣医療でできる最大限の項目を盛り込んだプレミアムコースから、さらに基本的な項目に絞ったライトコースまで3つのウェルネスプログラムというのをご用意していますが、ここ最近ではより検査項目の多い健康診断を希望する飼い主さんが増えているように思います」と上野院長。

自分の愛犬や愛猫の健康を守りたいという意識の表れなのでしょうか。

日本動物医療センター看板
日本動物医療センターでは、犬猫共にプレミアムコース、スタンダードコース、ライトコースを用意。その中には健康診断の他、狂犬病ワクチンや混合ワクチン、ノミダニ予防、その他寄生虫予防なども含まれる。

 

健康診断は愛犬愛猫の健康度の記録帳

ここで、Team HOPEが提唱している健康診断の内容を少し見てみましょう。全10ページからなるA4サイズ小冊子タイプの『健康診断報告書』は、そのまま飼い主さんに渡されますので、愛犬愛猫の健康記録として残すことができます。工夫次第では、次回の健康診断まで、経過や気になることをメモ書きしておくことも可能かもしれませんね。

A4サイズ小冊子タイプの健康診断報告書の1ページ目
P1には名前や生年月日、ワクチン接種日などの基本情報と、診断結果に対する獣医師のコメント欄が、P2は元気度、食欲、便尿の回数や色、体各部位の状態、気になる症状などについての問診票となっている。
A4サイズ小冊子タイプの健康診断報告書の3.4ページ目
P3は肥満度や脱水、痛みなどの全身状態に関する項目や、皮膚・被毛、泌尿生殖器、腹部の項目が、P4には眼、耳、歯、および聴診による心拍数や不整脈、呼吸状態、鼻腔・咽頭などのチェック項目があり、イラスト入りなので、飼い主さんにもわかりやすくなっている。
A4サイズ小冊子タイプの健康診断報告書の5・6ページ目
P5は神経・筋骨格系、便検査、尿検査の項目、P6はレントゲン(胸部・腹部)。
A4サイズ小冊子タイプの健康診断報告書の最後のページ目
最後には、『血液検査報告書の読み方』が記載されており、たとえば、「クレアチニンは腎臓から排泄される代謝産物で、腎機能が低下すると上昇する。腎機能低下の原因としては著しい筋肉の減少など」「白血球は炎症性疾患などを示す指標となり、この中の好酸球数が高いとアレルギーや寄生虫、腫瘍などが、低い場合はストレスなどが疑われる」というように、わかりやすく説明されているのはありがたい。

上野院長は、「これを書くのは結構たいへんなんですけど」と笑いながら、「このような形で手元に残せるというのは、飼い主さんの満足度が高いように思います」とおっしゃいます。

 

健康診断のメリットは、早期発見早期治療のみではない

こうした健康診断を受けることのメリットとして、ひとつには病気の早期発見早期治療につながり、その分、治療費を抑えられるかもしれないということが挙げられます。中には、以下のように、症状がわかりづらい、またはある程度進行しないと症状が出にくい病気もあるそうで、特にそのような場合には健康診断が有効になることでしょう。

■症状がわかりづらい病気・ある程度進行しないと症状が出にくい病気

しかし、上野院長は、「健康診断のメリットはそれのみにとどまらない」と。

「重要なのは、やはり触診、視診、打診、それこそ私たち獣医師が肌で感じることができるものや、ご家族が気づけていないペットの変化を問診の中で聞き出すことです。そして、個々の状況に合わせ、今ある幸せな生活を維持できるよう、どんなケアをしたらいいのか、私たちがもつ情報や知識を精一杯ご提供し、共有させていただくことです」

診察台の上で獣医師に触診されているパピヨン
「健康な状態の時にこそ、それを維持するにはどうしたらいいのか、私たち獣医師を頼っていただきたいです。その結果、病気の早期発見ができたらラッキーなこと。健康診断は病気のスタートではなく、ペットの健康を守り、共に過ごす楽しい時間をより長くするための位置づけとして考えていただけると嬉しいですね」(上野院長)

続けてこうおっしゃいます。

「たとえば、もっと歯のケアが必要なコであれば、歯磨きの必要性や仕方をお教えし、飼い主さんが1年間頑張ったことにより、次の健康診断では何もトラブルが発見されず、お互いによかったねとよりよい状態を保てていることを喜び合える。そこに健康診断のあるべき姿があると私は考えています」

キャリーケースの中で口の中をチェックされている猫
口内炎のある猫では、多くが歯周病をもっているが、将来的に腎不全になる可能性が高いということがわかっているそうだ。こうした情報も、健康診断時に飼い主さんへ伝えることができる。

病気の早期発見早期治療はその先にあり、つまり、健康診断は今の健康状態をよりよく保つためのものということなのでしょう。

Team HOPEの調査では、ペットに異変が出てから病院に行くケースが多く、異変から半年未満で亡くなるペットが5割以上にも。亡くなった後に、それまでの健康管理の仕方や通院の遅れを後悔している飼い主さんは6割以上にのぼる。

 

健康診断ではどのくらいの健診項目が必要?

その意義は理解できながら、「うちのコはどのくらいの健診をしたらいいの?」と、飼い主さんとしてはよくわからないところですよね。

参考までに。
■健康診断の内容

軽い健診
・問診 
・身体検査

一般的な健診
・問診 
・身体検査
・血液血球系検査 
・血液化学検査
・尿検査 
・糞便検査

充実した総合健診
・問診 
・身体検査
・血液血球系検査 
・血液化学検査
・尿検査 
・糞便検査
・内分泌検査 
・レントゲン検査
・超音波検査 
・心電図検査
・血圧測定

また、Team HOPEでは、血液化学検査について、若齢期には10項目成猫シニア猫では19項目成犬シニア犬では21項目としていますが、上野院長は、「それだけやっていれば100%安心ということではなく、個々の状態や状況に合わせ、飼い主さんと相談をしながら健診の内容を決めていく必要があります」とおっしゃいます。

たとえば、ゴールデン・レトリーバーであれば股関節形成不全や甲状腺機能低下症が、チワワやパピヨンなどの小型犬では膝蓋骨脱臼や僧帽弁閉鎖不全症、ダックスフンドならば進行性網膜萎縮症や椎間板ヘルニアといったふうに懸念される犬種特異性疾患がある他、先住猫が腎臓病で亡くなったので、今のコも特に腎臓をチェックしていきたいということもあるでしょうし、飼い主さんの経済状況も併せてケース・バイ・ケースということです。

くつろぐチョコレート色のラブラドール
大型犬に多く見られる股関節の問題は、早いタイミングで異常を見つけてあげることができれば、将来的に関節の切除や人工関節を入れなければならないというようなことになるリスクも低くなる。

 

健康診断にかかる費用の目安は?
経済状況と言えば、飼い主さんとしては費用も気になりますよね。ご存知のように、獣医療では同じ内容であっても金額に幅があります。これについて、上野院長はご自身の体験を交えて説明してくださいました。

「ずっと以前に飼っていた猫が腎不全かもしれないと思い、血液検査をしてもらいたかったんですが、A病院では5,000円、B病院では1万円。結局、A病院に行ったところ、腎不全を判断するのに必要な項目が十分に入っていなかったんですよ。かといって、1万円であれば十分かというと、そうとも限らない。診察料は安いが検査費用は高くなっている、逆に診察料は高い分、検査費用が安めになっている病院もあり、医療技術や医療機械レベルが料金そのものを表すわけでもありません。それこそまちまちですので、飼い主さんのリテラシーが重要であり、どこまでのものを求めるのか、何軒かの病院に行ってみて、よく相談してお決めになるのが一番いいと思います

診察室でパピヨン犬の飼い主に説明する獣医師
そういう意味でも、話のしやすい、かかりつけの動物病院があることは大事。
触診されている猫
甲状腺機能亢進症があり、これを放置し、同時に腎不全が起こった場合、腎臓の機能をサポートしてしまうことから、腎機能は悪くなっているのに見た目上は異常がないように思えてしまう。これをきっちり治療すると腎臓への血流量が減少し、さらに腎不全が悪化。治しようがないということになってしまうそうだ。だからこそ、早めに対処できることが望まれる。

飼い主さんにとって辛いのは、手遅れになることです。そうならないためにも、健康診断について一度真面目に考えてみるのもいいのではないでしょうか。なぜなら、一番の望みは、愛しいペットが健康で、幸せに長生きすることでしょうから。

資料提供:Team HOPE
関連サイト
日本動物医療センター
Team HOPE

大塚良重

犬もの書き、愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー

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