愛犬の目や耳のケアは大丈夫?正しい点眼・点耳法とは?[獣医師コラム]

愛犬の目に充血や目やになどは見られませんか。またこれから暖かくなるにつれ、外耳炎などの耳のトラブルも増えてきます。愛犬は、目薬や点耳薬を嫌がらずに差させてくれますか?実は、薬がきちんと患部に届いていないことも。今回は、点眼・点耳の方法を取り上げます。

「点眼」の基本は、対面で行わないこと

チワワ、パグ、ボストンテリアなど、目が大きく眼球が飛び出し気味の犬種は、とくに目のトラブルが多いです。目薬のご厄介になる機会の多いコは、正しい点眼方法をマスターしておきたいですね。点眼は次のような手順で行います。写真をみながら、コツをつかみましょう。

1)犬を自分と同じ方向を向かせて座らせ、あごを持ち、少し上を向かせる
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2)上のまぶたを引っ張り、目薬を落とす
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ポイントは、対面で目薬を差さないこと。顔を押さえられて、正面から目薬を突きつけられるのは、犬にとって一番嫌なことです。犬を自分と同じ方向を向かせて座らせ、目薬の先端が見えないように後ろから差します。あごを持って上を向かせ、上まぶたを引っ張ると目が開くので、そこに目薬を落とすイメージです。

 

「点耳」は、耳の穴の真ん中を狙うと失敗する

これからの季節、とくに垂れ耳犬種は耳内がムレやすく外耳炎になりやすいので、イヤーローションによるこまめなお手入れが望まれます。写真をみながら点耳のコツをつかんで、日頃から慣らしておきましょう。

1)目薬のときと同様に、犬に対して正面からではなく後ろから
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2)耳をめくり、耳の付け根のキワに薬をたらす
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3)耳介の軟骨をもんで薬を行き渡らせる
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ポイントは、点眼と同様、正面ではなく後ろから行うこと。また、耳の穴がどこにあるのか理解していないと、きちんと薬を入れることができません。
外耳炎になっている場合は奥が炎症を起こしていることが多く、奥まで薬を入れるには、耳の付け根のキワに這わせるように薬を垂らします。奥まで入ったときに、犬がプルプルと頭を振ってくれると、薬が周りに散ってさらに好都合です。

シーズーなどの小型犬では、外耳道(鼓膜まで)はだいたい5cmぐらいあります。おうちで飼い主さんが行う場合、耳の穴の真ん中辺りをめがけて薬を落としがちですが、それだと治療がうまくいかないことが多い。奥まで入れて、耳介の軟骨をもんで薬を行き渡らせるのが理想です。

耳の毛については、炎症を起こして痛みが出ている場合は抜かずに処置することもあります。抜くか抜かないかは賛否両論あります。

 

箱崎加奈子

獣医師、トリマー、ドッグトレーナー、アニマルクリニックまりも 院長 麻布大学獣医学部卒。 気軽に立ち寄れるペットオーナーのためのコミュニティスペースを目指し、「ペットスペース&アニマルクリニックまりも」を東京都世田谷区、杉並区に開業。病気はもちろん、予防を含めた日常の健康管理、ケア、トリミング、預かり、しつけなどを行う。2020年よりピリカメディカルグループの運営会社 株式会社notに参画。現在、ピリカメディカルグループ総院長を務める。 ▶アニマルクリニックまりも ▶女性獣医師ネットワーク

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