夏の愛犬の心と体の健康維持に、メディカル・ハーブを使ってみよう。

暑い日が続きますが、愛犬は元気に過ごしていますか?夏バテや皮膚トラブルなど、暑さに弱い犬にとって、夏はつらい季節。そこで、愛犬の心と体の健康を保つために、メディカル・ハーブを暮らしに上手に取り入れてみませんか?

メディカル・ハーブとは?

人や動物たちの健康維持のために使用されるハーブをメディカル・ハーブ、「植物療法」といいます。メディカル・ハーブにはさまざまな成分が含まれていますが、これらは、植物自体が生存するために作り出されたものです。例えば苦味成分であるタンニンは、植物にとっては害虫を遠ざけるためのものですが、胃や肝臓を健康にもしてくれます。

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また、タンニンにはタンパク質を固める性質があり、樹皮などにつけられた傷を修復しますが、止血効果や抗炎症などの効果もあります。このように植物が自分の体を守るために作り出した物質を、人や動物が使わせてもらっているわけです。

 

メディカル・ハーブを使うときはココに注意!

それでは、初めに、愛犬にメディカル・ハーブを利用するうえでの注意点を確認しておきましょう。

●即効性を期待しない
メディカル・ハーブはゆっくり時間をかけて体質改善をしていくもので、即効性はありません。人だとだいたい2~3ヵ月で体質が変わっていきますが、犬の場合はターンオーバーが速いので、1ヵ月ぐらいが目安になります。

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●使い方の知識がないと、逆効果になる場合も
その子の病状や健康状態によっては使えないものや、効果が強過ぎて与えるときに注意が必要なものもあります。誤って使うと逆効果になることもあるので、使い方の知識が必要です。最初は知識を持った方にアドバイスをもらってから始めるといいでしょう。

●保存は湿度と光に注意
ハーブティーの茶葉を扱うお店で入手できますが、ハーブは湿度や熱、光に弱いので、保管に気をつけているお店を選んでください。購入後も、使用後は密閉してシリカゲル入りの缶に入れておくなど、湿度と光から守ってください。

●猫にはNG
猫には使用ができないまたは使用の際に注意が必要なハーブが多いこと、また、ハーブの香りや味を嫌い、摂取してくれない子が多いためおすすめできません。

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メディカル・ハーブの3つの使い方

次にメディカル・ハーブの使い方ですが、初心者の方はハーブティーにするのが使いやすいと思います。慣れてくれば、ハーブを粉砕して粉にして直接与えれば、より大きな効果が得られます。

1)ハーブティーとして与える
ティーポットや蓋付きマグカップにハーブ2gを入れて熱湯200ml注ぎ、蓋をして3~5分抽出。根などの堅い素材は5~10分抽出します。初めて与える場合は、ハーブティーを水と1対1で割ると飲みやすくなります。そのままでも飲める子は、冷ましたハーブティーを飲み水代わりにしたり、フードにかけてもOK。夏場は冷蔵庫で冷やしてもいいでしょう。
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2)パウダーにして食事に混ぜる
ハーブを電動ミルなどでパウダー状にし、食事に混ぜて与えます。犬は草食動物ではないので、粉砕することで消化を助けます。1日に与えるハーブの目安量は、0.1~0.2g/kg。約10日分の分量を密閉容器に入れて冷蔵庫で保管しておきます。メディカルハーブ_パウダー_572

3)ハーブティーをスキンケアや洗浄液として
ハーブティーを日常のスキンケアや洗浄液として使用するのもおすすめです。洗面器やボールにハーブを3本指で2~3つまみ入れ、そこにお湯を注ぎ5~10分蓋をしてハーブティーを作ります。冷ましたハーブティーにタオルやガーゼを浸し、固く絞って犬の全身を拭きます。また、シャンプー後、軽くタオルドライした後、冷ましたハーブティーを体全体にかけ、そのままドライヤーで乾かしても。ハーブの香りで犬も癒やされます。皮膚に役立つハーブを使用されることで皮膚トラブルの改善にも役立ちます。

 

夏におすすめのメディカル・ハーブ

ハーブはブレンドしたほうが相乗効果で効果が高まります。複数を混ぜ合わせて使えるようになれば理想的ですが、最初は無理せず1種類で構いません。そのほうが単体の味や香りがどんなものかを知るきっかけにもなります。初心者でも気軽に使える、夏におすすめのメディカル・ハーブをいくつかご紹介しましょう。

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12歳の愛犬コーディーの夏用ブレンド。心臓が悪くシニアでもあるので、循環器をサポートするハーブを中心にブレンドし、パウダーにして食事の際にあげている。
ローズヒップ、ネトル、ダンデライオン、ミルクシスル、ホーソンリーフ、ジャーマンカモミール、マリーゴールド、バードック、アイブライト、ローズマリー、リンデンフラワー、アーティチョーク、シベリアンジンセンの13種。

夏場、犬はパンティング(舌をハァハァさせるあえぎ呼吸)をするので、血管と心臓に大きな負担がかかります。それをカバーするために、循環器をサポートするハーブやストレスを緩和するハーブがおすすめ。また、皮膚トラブルが増えるので、炎症を抑える効果のあるものや、フィラリアやノミ・ダニの薬が定期的に体に入ってくる時期なので、デトックス(解毒)の働きのあるものも大切です。funny-expression-2494538_1920_572b<循環器サポート>
ホーソンリーフ
日本ではサンザシと呼ばれ、最も安全な天然の心臓や血管の薬として用いられています。血液循環を促し、全身への栄養素や酸素の運搬量を増やし、動悸や息切れ、不整脈の改善にも役立ちます。

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【用途】
・老齢犬の新機能サポートに
・夏の暑さによる負担の軽減に、スポーツドッグの心臓へのストレス緩和に
・闘病生活や手術後などの心機能アップに
・身体の冷えの改善に

<疲労回復・スキンケア>
ローズヒップ/ハイビスカス
ローズヒップは天然のビタミンCをレモンの約20~40倍も含み、強い抗酸化作用があって、健康維持、老化防止、免疫アップなどに役立ちます。

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【用途】
・健康維持、老化防止、ストレス緩和に
・体の炎症の緩和や病中病後の体力回復に
・栄養バランスを補うための天然のサプリメントとして
・健康な皮膚と被毛を保つために
・夏の暑さによる疲労回復に

ローズヒップ単体でもいいですが、夏場によく使われるのは、ハイビスカスをブレンドしたティー。ハイビスカスにはクエン酸が含まれているので、疲労回復に効果的です。ただし非常に酸味が強いので、ハイビスカスを混ぜた場合は少しハチミツを足して、冷蔵庫で氷にして与えるといいでしょう。

<メンタルケア・スキンケア>
ジャーマン・カモミール
最も親しまれているハーブの一つ。心身をリラックスさせるとともに、消炎・鎮静・殺菌作用があるため、ストレスによる胃腸のトラブル、怖がりな犬の不安や緊張の緩和、湿疹やかぶれなどの軽い皮膚トラブルの改善にも役立ちます。f477f94df07e169de69af0bbb0cf9e87_s

【用途】
・怖がりな犬の緊張や不安の緩和に
・消化不良、胃の炎症、下痢、便秘などの改善に
・軽い傷などの殺菌と消炎に(ハーブティーで湿布、または洗浄)

<デトックス>
ダンデライオン
セイヨウタンポポとも呼ばれ、その根に含まれる苦味成分に薬効があり、肝臓や腎臓の働きを活性化し、毒素や老廃物を排出する効果があります。ただし、胆汁管の障害や重篤な胆のう炎を患っている場合は使えないので、注意が必要です。nuns-1545544_1920_572

【用途】
・解毒や浄化を受け持つ肝臓の働きを活性化
・排せつや浄化を受け持つ腎臓の働きを活性化
・満腹感や鼓張感による食欲不振の改善に
・消化不良、便秘などの改善に

 

石井 香絵

獣医師、ペットの行動コンサルテーション Heart Healing for Pets 代表、AVSAB(アメリカ獣医行動学会)会員 麻布大学獣医学部を卒業し動物病院で一般診療を行った後、動物行動学、行動治療を学ぶために渡米。ニューヨーク州にあるコーネル大学獣医学部の行動治療専門のクリニックに2年間所属し帰国。現在はワンちゃん、ネコちゃんの問題行動の治療を専門とし臨床に携わる傍ら、セミナー・講演活動など幅広く活躍。2013年からは、アニマル・クリスタルヒーリングのファシリテーターの養成を始める。愛…

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