介護フリーの生活を目指して!愛犬のシニア期から準備スタート

愛犬に将来、介護が不要なくらい丈夫でいてもらうには、どうしたらよいのでしょうか? 病気になったときに役立つ準備はできるのでしょうか?ペットケアサービスLet’s三浦裕子さんに、シニアドッグのために飼い主さんができる工夫を教えていただきました。

飼い主さんがふだんからできることは、実はたくさんあるんです!

若い頃からのトレーニングがシニア期に活きる!

シニア期までに飼い主さんが愛犬にしておきたい準備の筆頭は、どこを触られても大丈夫になることだと三浦さんは力説します。

レッツ三浦さんc ペットケアサービスLet’s代表、三浦裕子さん

「老犬になると、体を触られることや、身にまとわなければならないものが増えるんです。そのとき、まずはどこを触られても大丈夫かどうかは、重要なポイント。触られ慣れていると、愛犬はもちろん、飼い主さんも健康チェックや介護に対するストレスが減りますよね」とのこと。

病気予防にとても役立つ歯磨きやブラッシングなどの日常のケアのほか、動物病院での触診や治療、さらにはオムツを履いたり体温調節のために洋服を着るなど、あらゆるシーンで愛犬のストレスを軽減させてあげられるように、愛犬を迎えたらなるべく早く、あるいは今からでも、人にどこを触られてもOKなように練習しておきたいものです。

おやつを使って子犬の頃から触られるのに鳴らしましょう_572b おやつをあげながら、子犬の頃から体のどこを触られても大丈夫なように慣らしておきましょう。

また、愛犬が自身の痛みと飼い主さんを関連付けてしまうケースがあると言います。
たとえば、飼い主さんがそばを通りかかったときに、まったく関係なく腰に痛みを感じていた愛犬が「痛いのはママが近づいたから?」となるなど……。その後、飼い主さんが近寄るたびに唸ったり咬むようになったりすることもあるとか。

そのような状態になっている犬にペットケアサービスLet’sのスタッフが「ママのせいや、ほかの人のせいじゃないよ」と教えていくときにも、トレーニングの経験値が豊富な犬であれば、「そうなんだ~」と、早く理解できることが多いそうです。

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なるほど!トレーニングは子犬や若犬のときだけ力を入れるのではなく、継続的に飼い主とのコミュニケーションとして続けていくのが大切なのだとあらためて実感しました。

シニアドッグこそレクリエーションを

トレーニングによるコミュニケーションが良い例ですが、脳への刺激こそ、シニアドッグには大切だそうです。
「新しいことを覚えさせるのが、脳トレとして最高です!」と語る三浦さんが考案した、シニアドッグの「脳トレ」メニューを3つご紹介します。

1.じゃんけん
「お手」「おかわり」「待て」を使って行います。

じゃんけんパー_572「パー」は、飼い主さんの手の平にお手をする状態。

じゃんけんんチョキ_572「チョキ」は、飼い主さんの反対の手(の、指と指の間)におかわり。

じゃんけんグー_572「グー」は、待て。

まずはこの動作ができるようになるよう、愛犬に教えます。実はこの過程こそ、愛犬の知力アップに有効!

できるようになったら、飼い主さんがランダムに「じゃんけん、パー」「じゃんけん、グー」などと言いながら、愛犬の頭脳をフル回転させながら遊んでみましょう。

「お手」「おかわり」「待て」といった、すでにできる行動に違う名前をつけて覚えなおすのがポイントです。
愛犬が立ったまま「じゃんけん」遊びをすると、片脚を上げて3本脚で立つというキツイ作業になるので、筋トレにもなって一石二鳥です。

2.かくれんぼ
遊び方は簡単。飼い主さんが室内のどこかに隠れて、愛犬の名前を小声で呼びます。
愛犬が「見つけ~!」と探せたら、ほめたり、おやつなどをあげたりして愛犬の達成感を高めてあげるのがポイントです。かくれんぼA_572

かくれんぼB_572
三浦さんによると、シニアドッグになると、犬は元来の感覚として優れている嗅覚に頼りがちになると言います。
そこで、聴覚や視覚も使いながら、呼んだら来るという行動を強化できる遊びである「かくれんぼ」をシニアドッグと行うのが特におすすめだそうです。

3.追いかっけっこ
こちらも遊び方はシンプル。飼い主さんは「おいで」と言いながら愛犬から逃げます。愛犬がごく近くまで来たら、ほめておやつをあげてください。室内で軽く運動させるには、「追いかけっこ」が最適です。
これらの遊びを日常的に飼い主さんと行えば、愛犬のコミュニケーション能力はさらにアップするでしょう!

健康維持に大切な、食事の工夫

健康を維持するためには、日々の食事もとても重要です。
三浦さんは、愛犬に与える食事は良質なドッグフードでも良いし、栄養バランスが整っているならば手作りでも良いと語ります。ただし、体調が変わったときには日常のフードに加えてトッピングによって体調管理ができるのが理想的だとも。

「食べ慣れないものを口にすると、シニアドッグの場合は受けつけないケースが多くなりますし、急に具合を悪くすることもあるので、若いうちからトッピングで様々な食材を食べさせておいて、いつでも対応ができるようにしておくと安心です」(三浦さん)f08f9f137b3b74c5bbd330a7900174ea_s_572

また、シニアドッグの健康維持には、水分を多く摂取させるのも大切とのこと。

「水を飲むと口のなかの汚れがとれて歯周病予防になるのがひとつ。それから、人と同じように、動脈硬化が原因の心臓病や脳梗塞を予防できるとも聞きます。さらには、内耳の音を伝達する器官の水分量が足りなくなると、耳が遠くなると言われていますからね」と教えてくださった三浦さんイチオシの工夫は、無糖ヨーグルトを水割りにする方法

ヨーグルトなど食品の発酵したにおいが好きな犬は多いものです。しかも、ヨーグルトは善玉菌を多く含む健康食品。「ヨーグルト水」ならば、愛犬は喜んでゴクゴク飲んでくれることでしょう。

ヨーグルト水_572

単純に、ふだんのフードにお湯や水をかけたり、肉のゆで汁をあげたりするだけでも、愛犬の水分摂取量を増やしてあげられます。

三浦さんへの取材をとおして、8歳と12歳のシニアドッグと暮らす私自身にも生活のヒントをたくさんいただきました。愛犬とますますコミュニケーションを深め、飲食も工夫しながら、心身ともにほどよい刺激のある生活を送っていきたいと思います。

ペットケアサービスLet’s
Let's
1日預かりデイケアによる身体介護、リハビリ、筋トレ、脳トレなど、1頭ずつのケアプランにもとづき、その日の体調に合わせたケアサービスを行うほか、介護ケアとリハビリプログラム付きの長期預かり、リハビリ支援のカウンセリング、訪問介護、予約制の犬の整体院、犬のがっこう(託犬所)など、犬の年齢を問わず多彩なサービスを展開。
詳細はホームページにて:http://lets-pet.com/
東京都江戸川区中葛西2-19-13
Tel:03-3675-0250
臼井京音

ドッグライター、写真家、東京都中央区の動物との共生推進員 ドッグライター・写真家として、およそ20年にわたり日本各地や世界の犬事情を取材。毎日新聞の連載コラム(2009年終了)や、AllAbout「犬の健康」(2009年終了)、現在は『愛犬の友』、『AERA』、『BUHI』など、様々な媒体で執筆活動を行う。オーストラリアで犬の問題行動カウンセリングを学んだのち、2007~2017年まで、東京都中央区「犬の幼稚園 Urban Paws」」の園長・家庭犬のしつけインストラクターとしても、飼い主さんに…

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