犬の基礎体温は37.5℃~39℃ぐらいと人よりも高く、また汗をほとんどかかないため体温調節が苦手な動物です。そのため夏は、愛犬が「熱中症」にならないように飼い主さんが気を付けなければなりません。
環境省の「熱中症予防情報サイト」によると、人が熱中症を引き起こす条件には、「環境の要因」、「からだの要因」、「行動の要因」が考えられます。愛犬の熱中症を予防する場合にも、これらの3つの要因に注意する必要があります。
【環境の要因】
気温が高い・湿度が高い・日差しが強い など
【からだの要因】
栄養不足・体調不良・体力の低下 など
【行動の要因】
激しい運動・長時間の散歩・水分補給の不足 など
室内の環境に気を付けよう!
体温調節のための汗をほとんどかかない犬は、舌を出して「ハァーハァー」とあえぎ呼吸することで舌などの組織の粘膜から水分を蒸発させて、その気化熱で体を冷やします。室内の湿度が高くなると水分が蒸発しづらくなるため、あえぎ呼吸をおこなっても体温が下がりにくくなってしまいます。暑さ対策として室温だけでなく、同時に湿度も気にかけるようにしましょう。
また、パグやフレンチブルドッグなどといった短頭種は、鼻が短く空気の通り道が狭いため、他の犬種より体温調節が苦手な体の構造となっています。そのため、特に夏場は室温や湿度に注意を払う必要があります。
熱中症になりにくい体調管理を心掛けよう!
体調不良や体力の低下、栄養不足などの状態でも、熱中症を引き起こしやすくなります。犬も人と同じように、暑い日が続くと夏バテになることがあります。夏バテになると、食欲不振やおう吐、だるそうな仕草などといった症状が見られるため、日頃から犬の体調の変化を見逃さないようにし、少しでも異変が見られたらすぐに獣医師に診察してもらうようにしましょう。
食欲の低下が見られた際は、消化不良も起こしている可能性があります。ドッグフードをふやかしたり、ウェットのフードに切り替えるなど、消化吸収の良い食事を与えることで体力の低下を防ぐことができます。特に日頃あまり水を飲まない犬では、水分摂取が不足しがちなので、水分量の多い食事を与えた方が良いでしょう。
散歩や運動の仕方に気を付けよう!
真夏の炎天下でのアスファルトの温度は、60℃ぐらいまで上昇します。犬は人よりも体高が低いため、アスファルトからの熱の反射をより強く受けます。真夏は日差しの影響を受けにくい早朝や路面温度の下がった夜間に散歩し、日陰を選んだり、なるべくアスファルトを避けて歩くようにしましょう。
また、日中に外出する場合は、水分摂取をマメに行い、脱水症状にならないように気を付けましょう。犬の脱水症状を確認する方法の一つとして、皮膚をつまんだりなでたりした際、皮膚の弾力が失われていて戻りが遅くなっている場合は要注意です。
軽く皮膚を持ちあげて、離してからすぐに元に戻るか確認します
最近では、T-シャツに水分を含ませて着せ、その気化熱で体温の上昇を防ぐアイテムなども売っているので利用すると良いでしょう。
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散歩の時間が減りがちな場合は
夏場は外出する時間帯が限られるため、家の中に居る時間が増え欲求不満になりがちです。室内での過ごし方を工夫して、愛犬のストレスを発散させてあげましょう。
室内でのストレス発散の方法として、よくご褒美を隠して見つける「宝探しゲーム」などが紹介されますが、大型犬や住宅環境によっては、なかなかやりづらいゲームです。また、飼い主さんが一緒に家にいることが前提となるので、お留守番が多い犬ではゲームをする機会も限られてしまいます。
そこでお留守番の時でも気軽に愛犬の欲求不満を解消できるのが、ご褒美を入れて楽しめる「知育玩具」です。知育玩具は、基本的に壊れにくく、食べ物を中に入れたら簡単には取れないような構造になっているため、飼い主さんがいない時でも長時間、犬が楽しむことができます。
犬の嗅覚を生かした、遊びながら「好物を探す」犬用の知育おもちゃ
ニーナ・オットソン トリーツ・ゲーム トルネード
狩猟本能を持つ犬は、獲物を見つけてから捕らえるまでの過程も楽しみます。知育玩具は中の食べ物が簡単には取れないようになっているため、獲物を得るまでの過程を疑似体験して、長時間楽しむことができます。
コング。ドッグフードをふやかして入れたり(左)、専用のペーストと混ぜてあげると(右)、取り出しにくくなります。
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外出が限られてしまう夏場は、十分な運動ができず身体的な欲求不満になりがちなので、飼い主さんが室内で気軽に継続して行える方法で、愛犬の心理的な欲求を十分に満たしてあげることが必要になります。