Gatos Apartmentが監修を手掛けた横浜初の猫専用賃貸、Seilan Apartmentの内覧会を3月中旬に開催し、70名以上の方にお越しいただきました。各メディアからも取材依頼を頂戴し、改めて皆さんから切望されている賃貸なのだな、と感じました。
当日、お越しいただいた方々とお話をしていて気づいたことを中心に、今日は「猫と一緒に住むために、入居者に持って欲しい心構え」について書きたいと思います。少々、説教くさくなるかもしれませんが、ご容赦のほどを。
一番の心配は「退去時の修繕費用はいくらかかるの?」
「猫を賃貸で飼う」ことに関して、皆さんが一番心配されているのはこの事でした。猫の爪とぎによる壁紙やフローリングのダメージ、粗相や嘔吐によるシミやニオイ、その補修にいくらかかるのか? 飼い主としては気になるところですよね。
結論から言いますと、「思っているほど、かかりません」。
敷金2ヶ月分で相殺できないほどの大ダメージになることは、ごく稀です。Gatos Aptでの経験では、大体家賃1ヶ月分くらい。毎回入居者さんにきっちり還元しています。入居していた年数によって査定額は大きく変わりますが、この「退去時の修繕費用家賃1ヶ月分」というのは、概ね一般的な金額だと思います。つまり猫がいようがいまいがこのくらい、ということです。
部屋の破壊行為、「猫の爪とぎ」を例に挙げると・・・
では、なぜGatos Aptでは多額の修繕費用を要求せずともやって行けるのでしょうか? 猫の爪とぎを例に解説します。猫が爪とぎをするのは習性ですから、無理に止めさせることはストレスになります。爪とぎをするのは大まかには、こんな理由から(「猫に聞いたのか!」とかナシね)。
(1) 爪が伸びてきてむず痒いから
(2) 飼い主の気を惹きたいから
(3) ストレス解消
(4) そこに研ぎやすい物体があるから
ここで注目して欲しいのが(4)です。猫も「爪が引っかかって、気持ち良くガリガリできる」ところじゃなければ爪とぎをしません。ところが、ツルツルしたところにも”敢えて”爪とぎをすることがあります。音感的には「シャカシャカ」ですね。
この理由は往々にして(2)です。「ねえねえ、起きて!遊んで!ご飯ちょうだい!トイレ汚い!」などなど…。猫が飼い主の注意を惹きたいときに、爪が引っかからないことを承知でシャカシャカしたりします。
そして、連続して同じ場所をシャカシャカしているうちに、壁紙がささくれてきてシャカシャカがガリガリに変わり、そこから伝染病のようにガリガリ痕が広がって行くのです。
もし壁紙に引っかき傷がついてしまったら、どうする?
もし猫がシャカシャカして壁紙に引っかき傷がついてしまったら、あなたならどうしますか?Gatos Aptの壁はペンキ塗りでツルツルしているため、ガリガリができません。床はクッションフロアを使用し、粗相や嘔吐物が染み込まず、すぐに拭ける工夫を施しています。共にメンテナンスも比較的容易。退去の際、猫がいたからと言って莫大な金額を請求しない大きな理由は、こうした物件側の工夫にあります。
が、それ以前にGatos Aptは良い入居者さんに恵まれていることが、実は大きいのです。皆さん、猫たちのことをとても大事にされていて、猫の習性はもちろん、自身の猫たちの個性を良く理解されています。スプレー癖があれば、すぐに拭ける用意をしたり、一度したところに物を置く。シャカシャカ癖があれば、そこに塩ビシートやボードを貼って防護する。そんな「独自の自衛策」を講じてくれています。また定期的に爪切りをしたり、部屋に爪とぎを用意するなど、猫のストレスを軽減分散させる努力をしているので、退去時も部屋がキレイなのです。
入居者にもお願いしたい、相互扶助の精神
先日の内覧会で、こういう質問を受けました。
「猫専用だから、猫が壁とかをガリガリやっても良いんですよね?」
「出て行く時は、猫が部屋を汚してても敷金は返ってくるんですよね?」
引っかき傷が大きなダメージになるまで放っておく飼い主、賃貸だからどうでも良いと思っている飼い主、ペット可賃貸は汚れる、破損することを前提に考える飼い主…。いやいや、そんなの良い訳ないじゃないですか。「破壊される前提」で部屋を貸したい大家さんなんて、いませんから。
入居者同士、入居者と大家、お互いが快適に暮らすために、猫が悪い事をすれば正しい方法で躾け、なるべく猫にストレスがかからないように配慮し、自衛策を講じる。それができる人なら、部屋へのダメージを最小限に食い止めることができるはずです。
一方、こんな方もおられます。Seilan Aptの1階は1.8mの塀を隙間なく設置しているので、猫をバルコニーに出すことができるのですが、この事に関してお叱りにも近い意見を伺いました。
「保護猫の業界では『一度保護した猫は、外に出さない』のが常識。1.8mでは乗り越えます!」
ふむ。確かに保護したばかりの野良猫だったら、虎視眈々と脱出の機会を狙ってトライするかもしれません。猫にも、年齢や体格、性別による体力差や育った環境の違いがあり、おっとりした子もいれば、活発な子もいます。そのことが分かっているのは誰よりも飼い主である「あなた」です。
もし1.8mではよじ登ってしまうかも…。と思うのだったら、「外に出すときは一緒に出て様子を見る」なり「ネットを貼って自衛する」なり、ご自身で策を講じれば良いと思うのです。当事者意識が希薄だったり、相互扶助の精神に欠ける方が多いと、いつまでたっても「猫可物件」は増えないと思います。
ペット不可物件なのに、猫を飼う状況になったら・・・
ペット不可物件で、猫を飼っていませんか?大家さんの多くが「猫飼い」に疑心暗鬼になる大きな原因が、コレ。猫は犬と違って吠えないため、比較的飼っていることがバレにくい動物です。バレるのは退去後。「壁紙がズタズタ!」「部屋がオシッコ臭い」「壁紙どころか石膏ボードに穴が開くほどボロボロ!」という悲鳴にも近い声を多くの大家さんから聞きます。例え悪さをしなくても、フードの箱や缶詰の処分に困ったり、病院に連れて行くのにも人目をはばかったり、バレたら退去だと怯えながら暮らすより、大手を振って猫との生活を楽しみたいですよね。
ある日、公園の隅でダンボールの中にいる子猫を見つけた。野良猫が家の前まで付いて来た…。もし期せずして猫を飼う状況になってペット不可物件に住んでいたら、ぜひ大家さんや管理会社に事情を話して、猫を飼育する許可を取り付けるようにしてください。貸す側からすれば、黙って飼われるより、正直に相談してくれた方が100万倍良いのです。もし退去を言い渡された時は…。急いでペット可物件を探し、見つかるまで部屋で保護させてもらうようお願いしてみましょう。「猫を助ける」時は、このくらいの覚悟が必要なのです。私なんて大借金して、家まで作っちゃいましたらね。それに比べれば…。それに、猫との生活はプライスレスですよ!
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