犬用おもちゃを選ぶときの基準や注意点、おもちゃに興味を示さない犬の遊ばせ方など、飼い主さんの悩みにお答えする形でアドバイスしていきます。
Q.うちの子は、おもちゃを与えても遊びません。
「おもちゃを与えても遊ばないし、あんまり執着がないんです」という飼い主さんがいますが、すぐにあきらめないでください。おもちゃの動かし方を工夫するだけでも変わってきます。
犬は、基本的に弾んだり動くものは本能として追いかけます。ですから、おもちゃにひもをつけて、泳がせたりくねらせたり、動かし方に工夫をする。あと飼い主さん自身も楽しむという気持ちが大切です。遊んでいるときに無言の人が多いんですが、そこは声にも抑揚をつけて、犬がうまく遊べたら、ほめて犬を喜ばせましょう。おもちゃをただポンと与えるのではなく、そのプレゼンテーションの仕方が大事なんです。
知育玩具でも、一緒に遊び方を教えてあげないと遊べない子もいます。遊ばないから「うちの子興味ないんだ」ではなく、どうすれば遊んでくれるのかいろいろトライしてみてください。
おもちゃで遊ばない子は、「くわえる」という行為ができないのかもしれません。持来(持って来い)の練習をさせて、最低限、持ってくるという行為ができると遊びの幅が広がります。犬が年をとって激しい動きができなくなっても、くわえることができればいろんな頭脳プレーの遊びができるので、持来は教えておくといいと思います。
Q.すぐに壊してしまうので、おもちゃを耐久性重視で選んでもいいですか?
ハンティングドッグやレトリーバー、テリアなどは、本当に“破壊大魔王”ですから、おもちゃの消耗も激しいと思います。例えば、フェッチ(木製のかじる棒)などもカミカミしているうちにどんどん減っていき、最後2、3センチ残ったときに、飲み込んでしまう子がいるんです。だから、途中で取り上げて、新しいものに変えてあげる必要があります。
その子によって、遊び方や破壊の度合いは違うので、一概に犬種の特徴とは言えませんが、やはり運動能力が高い子、興奮しやすい子はおもちゃの消耗も早いです。とはいっても、破壊するからと耐久性を追求しすぎるのもよくありません。すごく硬い硬質ナイロン製のボーンや岩石のようなチーズ、ひづめなども好きな子は多いですが、硬すぎて歯が折れてしまうことがあります。
Q.数、サイズ、硬さなど、おもちゃ選びの基準について教えてください。
おもちゃの数は、私はAグループ(ひとり遊び用おもちゃ)、Bグループ(飼い主さんと一緒に遊んであげるおもちゃ)、それぞれ4~5個と言っていますが、別にもっと多くてもかまいません。ただその提示の仕方は、全部いっしょに出してしまうのではなく、ローテーションしながら小出しにするなど、飽きない工夫をしたほうがいいと思います。
若い子ほどかむ欲求が強いので、耐久性やサイズにも注意が必要です。なかには飲み込もうとする子もいるので、口に入れてゴックンできるようなサイズのもの、つるつるして飲み込みやすいものは、基本的に与えないことです。
年齢によって好きなおもちゃのタイプも変わってきます。若い頃は硬いものが好きでも、年をとるにつれ、あごを開く力も弱くなってくるので、小さめで柔らかいものが好きになっていくようです。おもちゃも、犬の様子を見ながらシフトしていく感じです。
Q.人用の持ち物を、おもちゃとして与えてもいいですか?
パピークラスの生徒さんで、おもちゃとして人用のベルトを与えている方がいました。「これが一番好きなんです」とのことでしたが、基本、人が身にまとうものはNG。しかも、ベルトだと金具のバックルのところをかめば歯が折れかねません。
洋服やタオル、スリッパなど、「古くなったから、もういいや」ということかもしれませんが、犬には古い・古くないの概念はわからないので、これらをかんでもいいアイテムと認識してしまいます。ですから、最初からおもちゃとして作られたものを与えてください。
Q.知育玩具って何ですか?どうやって使うのでしょうか?
知育玩具は、中にフードやおやつが入れられるになっていて、それを取り出すために、犬に頭を使わせるおもちゃです。お留守番をさせるときによく使われるもので、私も出かける前に必ず与えて、犬がそれに集中している間に家を出るようにしています。出て行く瞬間が一番寂しいので、犬が不安にならないためにも、集中できるものを与えて出る習慣をつけておくといいですね。そして、帰宅したら取り上げる。
ビジーバディのシリーズには、形状の異なるいろんなタイプがありますし、コングは硬さがパピー用とシニア用に分かれていたり、サイズのバリエーションもあるので、その子に合ったものを選んでください。
「中におやつを入れてもすぐに出てしまう」という人もいますが、入れ方の問題だと思います。例えばジャーキーを湾曲させて入れたり、夏場だったら凍らせて与えたりと、入れるものや入れ方に工夫をしましょう。
最近は、スナッフルマットというのもあります。ぴらぴらのフェルト片が密集したマット状のもので、中におやつを隠して、犬に鼻で探させながら食べさせるものです。ムラ食いをしたり食べ物にあまり執着がなかったり、逆に早食いしすぎる子にもいいし、知育玩具的な要素もあります。飼い主さんでも手作りできます。ただしフェルト製ですから耐久性はなく、食いちぎってしまう危険性もあるので、お留守番用に置いていくのには適しません。
●おすすめの知育玩具
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Q.1日どれぐらいの時間、遊んであげる必要がありますか?
犬と遊ぶときは、義務感で遊ばないでください。忙しい人も多いでしょうが、ご自分の都合で迎えたのですから、忙しいを言い訳にしないでほしい。遊ぶのは1日5分でもかまいません。でも、そこに気持ちが伴っているかどうかで楽しさが変わります。
例えば、飼い主さんも日によっては気分が乗らないときもあると思いますが、いやいや遊んであげても、犬は全然楽しくないんです。遊ぼうと決めたら、気持ちも伴って遊んであげないと、犬にとって遊びが楽しいものでなくなってしまいます。遊ぶ時間は犬が飽きたり疲れる前ちょっと手前で終わりにすること。そうすることで次の日の飼い主との楽しい遊びにつながっていきます。
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