紅葉を楽しみながら、愛犬と一緒に秋のおでかけ!

紅葉の中を走るアイリッシュセッター
やたら暑かった夏も終わり、ようやく愛犬と出かけるのが心地よい季節になりました。寒い冬がやってくる前に、紅葉の美しいニッポンを楽しみに愛犬と出かけましょう!
 

日本一早い紅葉は、北海道の大雪山

犬と外で過ごすのが気持ちのいい秋。でも今年はなんだか「秋が短い」というぼやきも聞かれます。秋をすっ飛ばし、急に寒い冬がやってきそう…いやいや、この犬と遊ぶベスト・シーズンを逃してなるものか。急いで計画を立てなくちゃ!

ご存知のように日本は南北に長い島国。紅葉が美しいエリアも、北から南へと南下していきます(桜前線とほぼ逆ですね)。うちのクーパーのお兄ちゃん犬が住む北海道・旭川では、9月の終わりくらいから葉っぱが色づき始め(まだ東京がめちゃくちゃ暑かったときから、黄色く染まりつつある美しい森の風景のお便りがきました)、涼しそうで羨ましいなぁと思っていたのも束の間、もう10月中旬にはすっかり真っ赤になっていました。

Daniel’s Dog Trike & Cartさんの『トライク&バイク紅葉Fun runを楽しもう』というイベント(※)に参加した、愛犬クーパーの同胎マツくん。私有地に囲まれた林道を走れるなんてさすが北海道!

それもそのはず大雪山(北海道中央部にそびえる山々の総称。大雪山国立公園は、約23万ヘクタールもある日本最大の国立公園)一帯は、北海道最高峰・標高2,291メートルの主峰・旭岳があり「日本一早い紅葉」と言われています。クーパーのお兄ちゃんちに連絡すると、10月20日の時点で「紅葉はほぼ終わりで、もう冬の始まり」とのこと。早い!北海道の秋はすでに過ぎ去りつつあります。

紅葉の葉っぱを咥えるジャーマンポインター
マツの同居犬のブロッサム。芸達者で可愛い。北海道は、朝晩の寒暖差が激しいから紅葉の色づきもより鮮やか。

(※)雪のない時期に、犬ぞりに代わるトレーニングとして犬と飼い主が共に楽しめるスポーツ。犬がイキイキと走る姿はコチラでご覧いただけます! Daniel’s Dog Trike & Cart
 

標高差のあるところは、ゴンドラからのパノラマを楽しんで

北の大地の紅葉が本州より早いのはわかりますが、葉っぱの変化はそれ以外の条件も絡み合います。たとえば標高。高いところから紅葉が始まり、低いところへと移動していきます。気温もさることながら、標高によって植生も異なるので、植物の種類により色づく時期がずれて、紅葉が長く楽しめる山もあります。

那須のゴンドラから見える風景
那須ゴンドラからの大パノラマは最高でした。これは去年の9月下旬。標高に関係なく、木の種類によってすでに紅葉になっている木もありました。

栃木県那須高原の「那須ゴンドラ」では、標高950mの山麓駅から1,410mの頂上駅までの間、ゴンドラの中から、緑、黄色、橙色、赤と変化に富んだ大パノラマを見ることができます。しかもそのゴンドラには、犬も一緒に乗れるのです♪さらに頂上駅を降りたところにドッグランがあるし、「山頂カフェ」は犬同伴OK。紅葉の時期に合わせてゴンドラが運行されており、今年は10月28日(日)までです。

ゴンドラに乗る大型犬
初めてゴンドラに乗車したときは少々ビビっていたクーパー&メルですが、2回目からは慣れてサッサと乗り込むことができました。ゴンドラの中では余裕~(ただし外の景色を楽しむつもりはない)

近年は、犬もゴンドラやケーブルカーに乗せてくれるところが増えています。手軽に標高の高いところに上がれて便利。ありがたいです。しかも東京都の御嶽山に上る御嶽登山鉄道では、大型犬もケージに入れずにそのまま乗車OK(ペット料金片道130円)。まるで犬先進国の外国のような気分を味わうことができます。

しっかりマナーを守り、ほかの乗客にも「あら、ワンちゃんも紅葉を見に来たのね」と温かく見守ってもらえるよう、いいコにしましょう。御嶽山は10月下旬〜11月中旬が見頃です。
 

暖流などの関係で温暖なエリアは今から

さて、同じ県内でも、標高や植生の違いなどで、時期がずれているところもあります。たとえば宮崎県のえびの高原では10月下旬〜11月上旬が見頃ですが、同じ県内の高千穂峡では11月中旬〜11月下旬が見頃。地元観光協会のHPなどで調べてから行くとよいと思います。

また暖流の流れる海側は、紅葉も遅め。静岡県の伊豆は11月中旬〜12月上旬がオンシーズンです。河津七滝などのハイキングコースも充実しているので、犬と歩くのも楽しい。房総半島・千葉県の紅葉も遅く、11月中旬〜12月上旬の頃。養老渓谷はじめ紅葉の観光名所が点在しています。

枯葉の絨毯に寝転がるジャーマンポインター
北海道の落ち葉の絨毯は、色鮮やか。しかし10月中旬にはもう紅葉シーズンはほぼ終わりで、もうすぐ雪だそうです。北海道の秋は美しく、短い!

ちなみに瀬戸内も温暖な地域。世界遺産として有名な広島県の宮島には、厳島神社の奥に「紅葉谷公園」があります。紅葉谷という名のとおり、辺り一面イロハモミジなどで赤く染まります。宮島の紅葉の時期は、11月上旬〜11月中旬です。

箱根は、標高差(または温泉の熱気や地熱の影響!?)などにより、箱根の中でも色づくスピードに差があります。犬も公園に入れる恩賜箱根公園の紅葉は、例年10月中旬~11月下旬頃。見事に手入れされた庭木の紅葉も素晴らしいものです。晴れた日には、芦ノ湖の向こうにそびえる富士山を拝むこともできます。
 

ヒートアイランド現象!?都心部のイチョウはまだ緑色

東京都心は、都会のヒートアイランド現象のせいでしょうか、イチョウもモミジも色づくのは今から。渋谷区の代々木公園付近も、まだイチョウは緑色です。東京には、住宅地内などにポツンとイチョウやケヤキの大木が保存されていたり、イチョウやサクラの並木道も多く、公園に行かなくても、毎日の散歩道で少しずつ色づく葉っぱの様子を観察できます。カサカサした音を立てながら落ち葉を踏んだり、クンクンニオイを嗅いだりするのは、犬も楽しそうです。

代々木公園の参宮橋側の銀杏並木
これは去年の代々木公園の参宮橋門側のイチョウ並木。10月下旬の今はまだ緑色ですが、今からどんどん黄金色に変わっていきます。

その東京で最後の「秋」を楽しむかのように大勢の人で賑わうのが、神宮外苑(東京都新宿区)の「いちょう祭り」。食べ物を販売するイベントエリアなどで犬同伴不可の場所も一部ありますが、大部分は大丈夫なので、犬と一緒に遊びに来る人が例年たくさんいます。2018年のいちょう祭りは11月16日〜12月2日。ただその前後でも黄金色のイチョウはたいてい楽しめます。人ごみやほかの犬と至近距離で会うのが苦手な犬は、イベント期間をずらして訪れるとよいと思います。
 

犬同伴の紅葉狩りの注意点は?

こんな風に犬連れで楽しめる紅葉狩り。ぜひ一緒に連れて行ってほしいアクティビティーです。ただ紅葉狩りは、犬を連れていない人も大勢繰り出すレジャーですから注意したい点もあります。

銀杏並木を歩く大型犬2頭
これも去年の12月頭の頃の、代々木の西参道。同じ通りのイチョウでも、日当たりに関係なく、気が早くて黄色になる木と、のんびり色づく木があります。そういうのを観察しながら散歩するのも楽しい。

●有名な観光スポットは遠慮するか、時期や時間をずらす
日本人はお花見同様に、紅葉狩りも好き。観光客で賑わう渓谷やハイキングコース、観光地も多いです。いろいろな人がたくさんいる場では、大型犬はおろか小型犬でも犬のことを怖がる人がいたりします。すれ違う人たちに、犬連れであることで嫌悪感を持たれないように、排泄物の処理はもちろん、リードを短く持つとか、林道では先に道を譲るなどして、愛犬家の鑑(かがみ)となるような心意気を見せましょう。

とはいえ紅葉狩り客があまりに多いと、気苦労が重なりますから、人気の観光地はやめておくとか、時期をずらす方がいいかもしれません。あるいは、早朝や夕暮れどきなど、人の少ない時間を狙いましょう。

●寺社や整備された公園は犬NGかもしれない
京都や奈良、鎌倉などの古都は、紅葉で有名なところが多いです。しかし境内に犬は入れないところがあります。歴史ある有名な寺社はよけいその可能性が高く、また多くの観光客が集まるところでもあるので、トラブルを避けるために犬の入場を禁止しているところは少なくありません。

境内は神聖なところなので動物はダメ(不浄と言われるのは悲しいけれどしかたないです。排泄でもしたらたしかにモラル違反)というルールなら、必ず守りましょう。寺社は私有地でもあるので文句は言えません。また整備された公園や庭園も、犬が入場できないところがあります。出かける前に、犬も同伴できるかどうか、社務所や観光協会などに問い合わせると確実です。

エゾヤマザクラの葉の色の比較
北海道のエゾヤマザクラの葉。全部1本の同じ木の葉だそうです。陽当たりの加減なのか、上の方から赤、オレンジ、黄色、下の方は緑とグラデーションになる色づき方。見てみたい。

●寒い日もあります。必要なら犬にもコート持参
晩秋は、日が陰ったり、風が吹くと、グッと冷え込むことがあります。ハイキングなどずっと歩き続けるアクティビティーなら体も温まりますが、そうでないのなら飼い主は防寒着を忘れずに。一方犬は寒さには強い動物なので過保護にすることはないですが、イタリアン・グレーハウンドやスムースヘアのチワワなどの被毛が短い犬やシニア犬は防寒着を持参した方がよいかもしれません。

ほかにも、いつものお出かけで持参する水やボウルなどの準備品や、遠出するなら万が一に備えて迷子札もしっかり付けて、秋のおでかけを楽しみましょう!

白石かえ

犬学研究家、雑文家 東京生まれ。10歳のとき広島に家族で引っ越し、そのときから犬猫との暮らしがスタート。小学生のときの愛読書は『世界の犬図鑑』や『白い戦士ヤマト』。広告のコピーライターとして経験を積んだ後、動物好きが高じてWWF Japan(財)世界自然保護基金の広報室に勤務、日本全国の環境問題の現場を取材する。 その後フリーライターに。犬専門誌や一般誌、新聞、webなどで犬の記事、コラムなどを執筆。犬を「イヌ」として正しく理解する人が増え、日本でもそのための環境や法整備がなされ、犬と人がハッピ…

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