【前編】 【後編】
ニューヨーク市クイーンズで、ポメラニアン4匹と暮らす坂本さんファミリー。4匹と暮らすとなると、食事やお手入れも大変なのでは?ちょっと気になるところです。
食事はミックスメニュー
夜7時。さあ、食事の時間です。
かかりつけの獣医さんから勧められた健康メニューは、缶とドライのドッグフードに、整腸作用を促進するカボチャのペーストと、少しお湯を入れて電子レンジで温めた白飯。この栄養バランスの取れた食事を、大体朝8時と夜7時に規則正しく与えています。
低カロリーのドライフードと缶フード、カボチャペースト(缶入り) 、人間用の白飯
4種類の食材を混ぜて、4匹のサイズと年齢に合わせてお皿に分配
ブラッシング、爪切り、歯磨き・・・
4匹となると、ブラッシングや爪切りなどのお手入れも大変ですが、みんなおとなしくしていてくれるので助かります。爪切りの時には、肉球の間の毛もカット。この毛が伸びると床で滑って転んでしまって危険です。
健康管理の中でも、食事と並んで大切なのが歯磨きだそうです。歯を悪くすることから内臓の病気を引き起こすことも多いので、歯周症予防のために、誠さんが毎晩全員の歯を磨いています。
みんなブラッシングが大好き
肉球の間の毛も忘れずカット
歯磨きは誠さんの担当
前の代の愛犬たちから学んだこと
ポメラニアンを愛してやまない坂本さん夫婦は、4匹がやって来る前にも6匹のポメラニアンを飼っていました。そして、その数だけ愛犬達の最後を看取ってきました。心臓発作を起こして11歳で突然死んでしまったイアンくん、腎臓を患いながら16歳半まで生きたポンくん、乳がん手術を体験したメラニーちゃん、感染症手術を乗り越えたアンちゃん、インくんは腎臓で、ラニーちゃんは老衰でした。
今は亡き、前の世代のポメラニアンたち
かかりつけのアメリカ人のドクターは、ワンコ達が手術をしても助からない症状の時には、選択肢として必ず「安楽死」を入れてきたそうです。この感覚は、日本人にはすんなり受け入れられないのではないでしょうか?坂本さんご夫婦も、一度も安楽死は選ばず、最後までできる限りの手を尽くしてもらいました。安楽死か延命か…。経済的な問題や、ワンコの苦しみの度合いもあるので、難しいところです。
いろんな体験を通じて、前の代の犬たちから得た教訓は、「何かおかしいと感じた時、以前は2、3日様子を見てから、と思っていましたが、今は少しでもおかしいと思ったら、速攻で病院に連れていこうと決めています。特に小型犬は10歳を過ぎて何か起こったら、様子なんて見ていないで、すぐ病院に連れて行ってください。飼い主として、他にできることはありません」と、ご夫婦は言いきります。
できるだけ自然に育てたい
「うちは放任主義」と言う志津江さんは、犬達には自然に育って欲しいという願いから、避妊手術は施していません。4匹すべてを女の子だけにしたのもそういう理由からでした。食べ物を与えて言うことを聞かせたり、芸をやらせるようなしつけも「なんだかイヤ」なので、一切やっていません。おやつに大好物のレタスは与えますが、ごほうびはなし。それでもワンコたちは、「お手」「おかわり」「伏せ」といった動作を勝手に覚えてしまったそうです。たっぷりほめてあげているのが、いちばんのごぼうびなのでしょう。
いつもほめてあげることが大切
実は、ほめてあげることの大切さは、ドクターからのアドバイスだそうです。前の代のワンコたちからお世話になっているドクターとは、もう23年くらいのつき合いで、何でも相談できるホームドクターです。病気の時だけでなく、食事や日常のちょっとしたケアについても助言がもらえる、大切な存在。
「ドクターの話では、犬は人間の3歳程度の知能を持っていて、飼い主の話をちゃんと聞いて理解しているそうです。だから、‘この子はダメな子’‘こんな症状ではもう助からない’といったネガティブなことは、決して言わないようにと注意されています」
常にほめてあげることがとても大切。これは、人間にも言えることかもしれませんね。
フリーライター&イラストレーター 木元裕子
ニューヨーク在住。日本ではTVCMのプランナーだったが、永住権が当たったので、ネコ連れでニューヨークへ。現在は2代目のネコ、サバ(10歳)とグリニッジビレッジで暮らしている。ニューヨークの日系フリーマガジンや日本の雑誌に執筆。イラストレーターでもある。