キジトラ猫は野性的!?キジトラの性格や特徴

キジトラと呼ばれる柄は黒色と茶色のしま模様の毛柄で、特筆すべきはなんといっても猫の元祖の柄であるという点でしょう。猫はもともとキジトラ柄の猫しかいなかったんです。

いまでは多くの色や柄がある猫ですが、その昔は、キジトラ柄の猫一種類のみ!なぜなら、野生では最も目立ちにくい毛柄だからです。他のヤマネコ類も、み~んなキジトラ柄をしていることからもわかると思います。

●ヨーロッパヤマネコ

 

●サビイロネコ

 

●ジョフロイネコ

 

●スナネコ

 

ちなみにこの↓の写真は、普通のキジトラ猫…ではありません!猫の祖先とされる西アジア生息の「リビアヤマネコ」です。

キジトラ猫と見分けがつきませんよね。私はこのリビアヤマネコを間近で見たのですが、「もしこの子が街中にいても、ちょっと大きい猫だなあと思うくらいで、別種とは気づかないだろうな」と感じました。そのくらい、キジトラ猫とリビアヤマネコはそっくり。つまり、キジトラ猫は最も野性的な柄といえます。

野生時代にも、真っ白な猫や真っ黒な猫は生まれていたかもしれません。突然変異による真っ白な個体(白変種)や真っ黒な個体(黒変種)は多くの動物に見られるからです。例えばホワイトライオンやホワイトタイガーは白変種、クロヒョウは黒変種です。

しかし、野生の猫が暮らす砂漠のなかでは真っ白や真っ黒な毛色は目立ってしまうため、敵に見つかりやすく、狩りも失敗ばかり。そのため、淘汰されてしまう運命でした。

これはアスファルトの上に黒猫とキジトラ猫がいる画像ですが、やはり黒猫のほうが目立ちますよね…!

キジトラ猫以外の毛柄が生き残ることができたのは、人間が猫を飼うようになったからです。野生では目立つ色でも、安全な家のなかで暮らせば問題なし。ごはんももらえる。だから現代では、キジトラ猫以外の毛柄もいるのです。

 

キジトラ猫はやっぱり野性的!?

猫の元祖である毛柄だからか、キジトラ猫の性格は「やっぱり野性的」という証言が数多く見られます。野性的=狩りの本能が強い=おもちゃに夢中になる。

例えば上の写真の子は、普段はおっとりしていて他の兄妹よりおとなしいくらいなのに、猫じゃらしを取り出すと豹変!他の兄妹には猫じゃらしを渡さずひとりじめ。他の子が近づこうものなら「ヴ~」と威嚇。おもちゃだけには、執着心のある子でした。

また、野性的=警戒心が強い、でもあります。警戒心がなくちゃ、野生では生きていけません。猫本来の警戒心をキジトラ猫はもっているといわれ、そのため初対面の相手にはなかなか心を開かないという面も。ただ、一度気を許すとデレデレの甘えん坊になるともいわれます。

もしかしたら、「猫本来の魅力をすべて持っている」のがキジトラ猫なのかもしれません。そのせいか、「飼うならキジトラ」というファンは一定数いるようです。ある調査では、1000匹の飼い猫中、キジトラ猫が最も多く全毛柄のなかで第一位。もしかしたら日本で最も多いのはキジトラ猫なのかもしれませんね。

最初、気を許すまでは多少時間がかかったものの、一度気を許したらデレデレになったキジトラの女の子。「キジトラって…かわいいかも!」と思わせてくれた子でした。

 

キジトラ猫の体の特徴

●額のM字

額にある縞模様がアルファベットのMに見えるの、わかりますか?これは縞模様をもつ猫の特徴。

ここがMのマーク!

 

別名「スカラベ・マーク」ともいわれます。スカラベとはフンコロガシのことで、どうやらMを昆虫の脚に見立てたよう。古代エジプトではフンコロガシを創造と復活のシンボルとしており、縁起がいい昆虫だったのです。

●肉球は黒や濃い茶色!

キジトラ猫は濃いメラニンをもっているので、肉球も黒や濃い茶色になります。足裏の毛色も濃くなるのが特徴です。

●おなかにボタンがある?

おなかに斑点模様が並ぶことがあります。これはもともと縞模様だったのが途切れた形。まるでボタンのようなので「ベストボタン」と呼ばれる模様です。

 

キジトラ猫図鑑

最後に、いろんなキジトラ猫をご紹介しましょう。

●キジトラ猫に白が入るとキジシロ猫に
部分的に毛を白くする遺伝子Sが加わると、キジシロ猫になります。白の分量はそれぞれです。Sの影響が弱ければ白が少なめに、強ければ白が多めのキジシロ猫になります。

なかにはこんな↓ほとんど白のキジシロ猫も。
白が多い場合、キジトラ猫的な性格より白猫的な性格のほうが強まるのかもしれません。

●長毛もいる
もちろん長毛のキジトラ猫もいます。毛が長くても、縞模様はうっすらわかりますね。

ちなみに、キジトラ猫の「キジ」は鳥のキジ(メス)のような模様から。これも保護色です。

※猫の柄の名称(和名)は俗称です。

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富田園子

編集&ライター、日本動物科学研究所会員 幼い頃から犬・猫・鳥など、つねにペットを飼っている家庭に育つ。編集の世界にて動物行動学に興味をもつ。猫雑誌の編集統括を8年務めたのち、独立。編集・執筆を担当した書籍に『マンガでわかる猫のきもち』『マンガでわかる犬のきもち』『野良猫の拾い方』(大泉書店)、『ねこ色、ねこ模様』(ナツメ社)、『ねこ語会話帖』『猫専門医が教える 猫を飼う前に読む本』(誠文堂新光社)など。7匹の猫と暮らす愛猫家。 ▶HP:富田園子ホームページ ▶執筆&編集した本: 『マンガでわかる…

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