茶トラ・サバトラはキジトラから色が変化したものです。キジトラ猫は野性的!?性格や特徴とは?の記事で述べましたが、キジトラは猫の元祖柄。ゆえに野性的な性格の子が多いといわれますが、茶トラやサバトラもキジトラに近いため、基本的には野性に近い部類といわれます。
キジトラがどう変化すると茶トラやサバトラになる?
キジトラの毛をよ~く見ると、こうなっています。
キジトラの毛のアップ。
メラニンには2種類あり、ユーメラニン(黒の色素)とフェオメラニン(褐色の色素)が交互に現れます。つまり毛の1本1本に縞模様があり、これが重なると、キジトラの縞模様ができあがるのですね。
そして、ある遺伝子の働きによりユーメラニンの生成が抑えられフェオメラニンだけになったのが茶トラ、フェオメラニンの生成が抑えられユーメラニンだけになったのがサバトラです。
茶トラはフェオメラニン(褐色の色素)と白が混ざるのでオレンジ色に、サバトラは、黒と白が混ざるので銀色っぽい毛色になります。ちなみに、縞模様のない単色のオレンジ色や、銀色の猫はいません。上の図のように、一方のメラニンはなくなるものの、縞自体は残るので必ず縞模様の猫になります。
※縞模様がほとんど目立たない茶トラやサバトラもいます。
「茶トラ巨大説」ってホント?
茶トラはみんなデカくなる…。そんな噂が巷で流れています。確かに、街中で見かける茶トラも、でっかい子が多いようです。実はその理由は、茶トラはオスが多いから。
茶トラになるには、性染色体ⅩがO(オー/Orangeの頭文字)の遺伝子を持っていることが必要ですが、XXのメスはO(オー)が2つ揃わないと茶トラにならないのに対し、XYのオスは1つでもO(オー)があれば茶トラになるからです。
ある研究者によると、オスのなかで茶トラになるのは28.4%、メスは7.9%なのだそう。オスの茶トラはメスの茶トラの3倍以上いることになります。O(オー)の遺伝子はその昔トルコ付近で突然変異により生まれ、その後アジアを中心に増えたといわれます。古い絵画などの資料から、平安時代の日本には茶トラがおらず、海外との交易が行われるようになった江戸時代以降に増えたとされています。
また、茶トラは警戒心が少なく陽気なキャラクターで、ごはんのおねだりもストレートという話もよく聞きます。見知らぬ人でも「ごはんちょうだ~い♪」とすり寄ったりするせいで、与えられる食べ物が多く、そのため巨大化しやすいという説もあります(;^ω^)
「サバトラ」は現代の日本でも少ない
サバトラはあまり見ない毛柄です。この銀色の色味は、アメリカンショートヘアの代表的な毛柄「シルバークラシックタビー」と同じです。が、縞の種類が違います。サバトラの虎縞は横腹の縞が平行に並びますが、クラシックタビーは横腹に渦巻き模様があります。
この2つ、遺伝的にはマッカレルタビー(虎縞)のほうが強いため、虎縞の猫とクラシックタビーの猫が交配した場合、虎縞のほうが生まれる確率が高くなります。そうすると……もしかしたら、日本でアメリカンショートヘアがブームになった昭和時代に、外出自由だったアメショと日本の野良猫とが交配してサバトラが生まれたのかも?なんていう仮説が思い浮かびます(当時は純血種でも、外出自由が当たり前でしたよね)。
つまり、毛色はアメショのシルバーを受け継ぎ、縞模様は野良猫の虎縞を受け継いだのがサバトラ?アメショは活発で陽気なので、サバトラの猫もこうした性格を受け継いでいるともいわれます。
そして、サバトラが少ないのは、サバトラの銀色を作る遺伝子がそれほど強くないためでしょう。
例えば、サバトラの銀色を作る遺伝子を持っていたとしても、その猫が同時にO(オー)の遺伝子を持っていれば(オスは1つ、メスは2つ)、O(オー)の遺伝子が優先されて茶トラになるのです(これを専門用語では「遺伝子が上位にある」と表現します)。
マッカレルタビーは虎縞の猫全般を指します。サバトラの猫は英語では「シルバーマッカレルタビー」、茶トラは「レッドマッカレルタビー」です。ちなみに、「マッカレル」とは魚のサバのこと。これを直訳したのが「サバトラ」です。日本でサバトラという場合、サバのように銀色の色味をしている猫を指します。が、俗称のため、キジトラを指して「サバトラ」と呼ぶ人も多いようです。