【ドッグトレーナー連載】子犬の飼い方・しつけ方 ~室内でのトイレのしつけ方~ by鹿野正顕

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子犬の頃のしつけや適切な飼い方は、その後の飼い主さんとの生活に大きな影響を与えます。特に、生後3週齢から12週齢は社会化期と呼ばれ、この時期の経験が成長後の嗜好性や愛着の形成、様々な刺激への慣れに大きな影響を与えます。

もちろん、社会化期には個体差もあり、12週齢を過ぎたからといってすぐに社会化が終わるわけではありませんが、その頃から警戒心や恐怖心、個性に応じた自我などが強まり、徐々に子犬の扱いが難しくなるため、社会化期から1歳頃までの継続した子犬のしつけは、将来の問題行動の予防のためにも非常に重要となります。

子犬の飼い方やしつけ方の指導で重要なポイントは?

家庭犬として子犬の頃に犬に教えておくべき特に重要なしつけとしては

様々な環境刺激や場所、遭遇する可能性がある環境や状況に慣らす
飼い主以外の人や他の犬へ慣らす
ジェントリング(体を触ること、首輪をつけるなど)や健康管理に慣らす
トイレのしつけ
ハウスのしつけ
かみつきの抑制(人、犬、ものに対して)
基本的なコマンドトレーニング

などが挙げられます。

 

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特に高度なトレーニング技術が必要というわけではなく、それぞれの項目について

子犬にどのような経験をさせればよいのか?
人にとって不適切な学習を防ぐためにどのように飼育環境を設定すればよいのか?
犬とのより良い関係を築くためにはどのような接し方を心掛ければよいのか?

といったポイントについて飼い主さんが事前に知識を持ち、適切な飼育方法ができれば、さほど難しいことではありません。
そこで今回は、室内での子犬のトイレのしつけ方について、その方法をご紹介します。

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適切な環境設定と失敗を防ぐための行動管理

1.寝床の環境設定
子犬に適切な場所でトイレを覚えさせるには、排泄の失敗を予防するための環境設定と行動範囲の制限が必要となります。
例えば、子犬の時期に排泄を我慢できる時間は、「月齢+1時間」程度なので、飼い主の就寝時や外出時など飼い主の目が行き届かない時に行動の制限をしなければ、誤った場所で排泄をしてしまいかねません。そこで、寝床とトイレをサークルで囲った環境を用意します。

犬は一般的に、自分の寝床を汚さないように排泄をする習性があるため、サークルの中で寝床とトイレを設置すれば、必然的にトイレでの排泄の機会が増え特定の場所での排泄を覚えます。また、犬はもともと巣穴で生活していたためベッドタイプの寝床より、囲われたタイプのハウス(クレート)の方が寝床として認識しやすくトイレとの区別もしやすくなります。

トイレの環境_修正_2

 

サークルの中には、囲われたタイプのハウス(クレート)とトイレを設置する
飼い主さんが子犬から目を離してしまうときは、少しの時間でも必ずサークルの中に戻すようにする

2.部屋の中(サークルの外)の環境管理
犬は、土の上など柔らかいところで排泄をする習性があります。そのため、サークルから出して自由にさせる際には、クッション、足ふきマットなどトイレの失敗を誘発しやすい柔らかい素材のものは子犬のそばに置かないようにします。

カーペットや畳などで繰り返し排泄の失敗をしてしまう相談をよく受けますが、これらの素材は排泄物のニオイを完全に取り去ることが難しいため、残ったニオイが排泄の失敗を再び生じさせてしまいます。
そのため、可能であればトイレのしつけが完全にできるまでは、カーペットや畳などの部屋は避け、滑り止めなどの対策をしたフローリングや、撥水性のあるフロアマットなどを敷いた部屋で過ごすことが望ましいでしょう。

MUNYU

マルチマットMUNYU
弾力性と撥水性があるため、フローロングの上に敷くと、子犬の足の負担を軽減し、失敗した排泄物もきれいに処理することができます。

 

排泄の失敗を予防するための対応

1.子犬が排泄をする際のタイミングを知る
一般的に、子犬は

ご飯、水を飲んだ後
寝起き
運動(興奮)した後
おおよその決まった時間

などのタイミングで排泄をしやすいため、寝起き、食事や水を飲んだ後は子犬をすぐにトイレまで連れていき排泄を済ませます。また、部屋で飼い主と遊んでいる最中など子犬が興奮した際も排泄をしやすいため、遊びの時間とトイレに連れていく時間を交互に設け失敗を防ぐようにしましょう。子犬の一日の排尿回数は、8週齢でおよそ10~15回程度、5か月齢で一日6~8回程度ですが、排泄はほぼ同じサイクルで行われる傾向があるため、排泄をした時間を毎日記録しておくことでおおよその予測ができ、事前にトイレに連れていくことで失敗を防げます。

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2.排泄のサインを知る
排泄の前には、

地面の匂いを頻繁に嗅ぎ始める
ウロウロして落ち着きがなくなる

といった素振りが見られます。このような素振りが見られたらすぐにトイレまで連れていき排泄の失敗を予防しましょう。

3.トイレの数を増やす
子犬の頃のトイレのしつけ相談を行っていると、サークル内のトイレでは成功するものの、サークルの外に出すと失敗するという悩みをよく聞きます。

トイレトレーニングを始めたばかりの頃は、まだ素材だけでなく場所でトイレを覚えます。そのため、サークルの外に出るとトイレの場所を見失い、我慢ができずにトイレ以外の場所で排泄をしてしまいます。子犬が所定のトイレまで移動し排泄するまでは、普段使用しているトイレとは違う場所(サークルの外)にも同じ素材のトイレを数か所設置したり、トイレの場所を定期的に変えたりすることで、トイレの場所まで移動して排泄するようになります。

排泄を失敗してしまった際の対処

1.叱らない
以前は、排泄を失敗したら、失敗した場所まで子犬を連れていき叱りつけるという対処方法が良く紹介されていました。しかし、この方法は、叱られたことで飼い主に対して恐怖心を持ってしまい、ソファーの下やテレビの後ろなど、飼い主の目が届かない場所や飼い主がいない時を見計らって排泄をするようになり失敗を更に悪化させてしまいます。

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叱ったつもりはないものの、慌てて大きな声を出して子犬をびっくりさせると、叱るのと同様の結果をもたらしてしまうことがあります。そのため、排泄を失敗した際には、子犬に対して叱ったり声をかけたりせず、落ち着いて排泄物を処理することが望ましいでしょう。

また、「嫌がらせのためにわざと排泄を失敗している」と考え、感情的になってしまう飼い主さんもいます。しかし、嫌がらせで排泄をするのであれば、犬が自分の排泄物を汚いと認識していなければなりませんが、犬は食糞をしたりコミュニケーションの一環として排泄をしたりすることからも、排泄物自体を汚いものとは見なしておらず、飼い主への嫌がらせのために排泄を失敗することはありません。トイレのしつけは、犬の排泄の特性を人との生活にうまく応用して行うため、犬の排泄の特徴について正しく理解する必要があります。

2.排泄物の処理方法
排泄物の処理に関しては、完全に排泄物のニオイを取り去る必要があります。犬は自分の排泄物のニオイによって排泄が誘発されるため、ニオイが残っている場所で排泄を繰り返してしまいます。

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多くの飼い主さんは排泄物を取り除いた後に消臭スプレーを吹きかけるといった対応を取ることが多いですが、犬の嗅覚は人間をはるかに上回るため、人にとってはニオイが消えたように感じても、犬には嗅ぎ取ることができが再び同じ場所で失敗を繰り返してしまうことがよくあります。排泄物を取り去った後は、食器用洗剤などで十分に洗浄し、その上から消臭スプレーをかけることで同じ場所での失敗を防ぐことができます。

 

ドッグトレーナー 鹿野 正顕(学術博士)

鹿野_photo_150pxスタディ・ドッグ・スクール 代表
株式会社 Animal Life Solutions (ALS)代表取締役社長
麻布大学介在動物学研究室(旧 動物人間関係学研究室)にて、人と犬の関係、特に犬の問題行動やトレーニングの研究を行い、人と犬の関係学の分野で日本初の博士号を取得。
麻布大学卒業後、人と動物の関係に関する専門家の育成・普及を目指し、株式会社Animal Life Solutionsを設立し、飼い主教育を目的としたしつけ方教室「スタディ・ドッグ・スクール」の企画・運営を行いながら、トレーナーとしても指導にも携わっている。2009年には世界的なドッグトレーナーの資格であるCPDT-KAを取得。
日本ペットドッグトレーナーズ協会(JAPDT)事業企画委員
CPDT-KA(Certified Professional Dog Trainer – Knowledge Assessed)
株式会社 Animal Life Solutions
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